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視準

<労基法でよもやま話>(44)
年休とったら査定に響く?

《質問》私の会社では有給休暇を取得すると賞与の査定にあたってマイナスに評価されてしまいます。会社は有休を取得しなかっただけ多く働いたのだから当然と言っていますが、これは法律上問題ないのでしょうか。
《回答》労働基準法に定められた年次有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止について、労働基準法附則第136条は、使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないということを規定しています。年次有給休暇の取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことはこの規定に抵触することになりますので許されません。
(厚生労働省サイト「労働基準法に関するQ&A」)
 上司である当館の館長からたびたび「年休とってね、法律違反になるから!」と言われています。
 2019年に労働基準法が改正され、年に10日以上年休を付与される労働者には使用者が時季を指定して5日は取得させることが義務となりました(時季を指定するにあたっては労働者の意見を尊重する必要あり)。
 我が職場は常勤職員が館長と私しかいないので休みをとるのが難しいのですが、年に5日は年休をとらなければいけません。
 年5日の年休付与が義務化されてから「会社から消化できなかったら大変だから年休を早めにとれと言われている」という声を耳にするようになりました。労務行政研究所の調査によると年休の取得率は2019年62・1%から2023年67・8%へと若干増加しています。
 ところで、若年労働者への各種のアンケート結果を見るとワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強いことが見て取れます。休みはきちんととりたいと考える若い人たちが、質問のように年休をとることで査定を下げるような考え方の会社を選ぶでしょうか。
 そもそも、回答にあるように年休をとることにペナルティを科すこと自体が許されていません。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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