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視準

<労働よもやま話>(39) 
奨学金返済支援制度、その留意点は

Q.奨学金返済支援制度を導入する際の規定作成上の留意点とは
A.早期退職者の返済について、退職金からの減額(特に支給済みの全額の減額)は、労働基準法16条、退職金の法的性質等との関係で避けるべき。制度を導入する場合には、受給対象者、支給方法等(上限)、使途の限定(返済の確認方法)、 受給資格(支給停止の要件)等を規定することが有用
『労政時報』3931号(2017・6・9)
  中央労福協のアンケート調査によると奨学金の借入総額の平均は312・9万円。しかも学生の2人に1人の割合で奨学金を利用しているとのこと。社会にでて働き始める前からすでに多額の借金を抱えている学生が多くいるわけです。
   質問者の会社では、新卒採用を有利に導くために、奨学金返済支援制度の導入を考えているとのこと。確かに返済が必要な学生には魅力的な条件でしょう。
    ただし、会社としては入社後早期に辞めてしまうことが懸念されるため、入社後5年以内で退職する場合、支給済みの支援金を全額退職金から減額することを規定したいとしています。
     回答者は、退職金からの全額減額は労基法16条の「賠償予定の禁止」に抵触すること、また早期の退職は会社への背信性が高いとはいえないので、減額が無効とされる可能性が高いとしています。また、貸付ではなく手当などとして支給するのであれば、特定の社員を優遇することになるので、他の社員との公平性、支給することが不適当な事態が起こった場合への対応に留意して制度化する必要を説いています。
      それにしても問題の根本は、学生が多額の奨学金(しかも多くは有利子)を得なくては高等教育を受けることができないことです。就職後の支援も結構ですが、将来の労働者たちのために、学費の引き下げ、給付型奨学金の拡大、貸与型奨学金の改善に向けて、先んじて企業から投資・支援をお願いしたいものです。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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