<労基法でよもやま話>(41) トラック、待機時間は労働時間?
《質問》トラック運転業務において、荷主先の駐車場等で長時間の待機が強いられ、トラック内から出られない状況が生じています。この待機時間は、労働時間に当たるのでしょうか。 《回答》(前略)労働時間に該当するか否かは個別具体的に判断されますが、設問でのトラック運転者の荷待ち時間は、使用者等から車内での待機を義務づけられている限り、労働時間に該当します。(後略) (厚生労働省サイト「確かめよう労働条件」) 先年、知り合いが運送会社をたたみました。親の代に軽トラ一台で始めた会社は一時はたくさんのトラックと運転手を抱えていましたが、近年は運転手が高齢化。いつ事故を起こしてしまうかとひやひやしていたとか。営業終了日、最後のトラックが帰ってきたときにはみんなで万歳したそうです。 TVなどで連日報道されている「流通の2024年問題」。2024年からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に上限規制され、拘束時間の上限や休息期間なども改正されたことから、運転手の労働時間が短くなり、物流に大きな影響がでることを指します。 トラック運転手の長時間労働を解消するため、このような措置が取られるようになったのですが、運転手が長時間拘束される背景にはいくつもの要因があります。質問の待機時間(荷待ち時間)もそのひとつです。 流通においては荷主が優先され、搬入する際に待機させられる事態が常態化しています。しかも、運転手がトラックを離れられる場合は労働時間とカウントされないことも多いのです。全日本トラック協会では待機時間解消のため、予約システムの導入や出荷・受け入れ体制の見直しを求めています。 給与の面でも昔の中・長距離トラックの運転手と違い低い水準となっています。労働環境の向上とともに適正な給与を得られるようにしなければ、ますます運転手のなり手は減っていくばかり。利用者も負担を共有することを受け入れる必要があるかもしれません。 エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館) 千本 沢子 |