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視準

<労働よもやま話>(74)
過度なダイエットで転倒、労災は?

Q.過度なダイエットが原因で業務中に立ちくらみを起こして転倒し、けがをした場合、業務災害となるか
A.労働者が故意に傷害等の結果やその直接の原因となった事故を生じさせたものとは認められず、業務災害となる
(『労政時報』3990号 2020・3・27)
 高い棚の上のものを取ったり、奥のほうの重い段ボールを移動したり、事務仕事をしていてもちょっと危なっかしい作業というのはあります。
 質問者の会社では脚立から落ちた社員がけがをしたとのこと。ただこの社員は食事を減らして過激な運動をするダイエット中だったようで、そのせいでめまいを起こしたのが事故の原因ではないか、だとすると業務災害として扱ってもよいのかと疑問に感じたそうです。
 業務中に業務が原因で負ったけがなどは業務災害とされますが、それと認められないものも。それは@業務中の私的な行為、業務を逸脱する恣意(しい)的な行為、A故意による行為、B個人的なうらみなどによる第三者による暴行、C天災地変による被災(例外あり)、などによるものです。ですから、たとえ過剰なダイエットという私的な事柄が事故の要因だったとしても、事故がわざと引き起こされたものでなければ、業務災害になるわけですね。
 ちなみに業務中の社員同士のけんかによるけがはどういう扱いになるかというと、それが仕事に関係して起こったものならば労災になる可能性が高いのですが、けんかの原因が個人的な恨みなどであれば業務災害とみなされない可能性があります。
 もっとも、パワハラや職場のいじめが関連しているとその恨みというのが業務上のものか個人的なものかという線引きが難しくなりそうです。
 第三者からの暴行であっても、それが業務にかかわるものであれば業務災害になります。例えばクレーマーからの暴言による精神疾患など。もちろん、働いている人の肉体・精神が脅かされる前に会社が対処して、安全配慮義務を果たすことが大切です。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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