<労基法でよもやま話>(51) 労働条件、LINEで送れるか?
《質問》LINE等のSNSを利用する場合、PDF等のファイルを添付せずに、本文に直接入力することは可能ですか。 《回答》本文に直接入力する場合でも、紙による出力が可能であれば、「出力することにより書面を作成することができる」ものに該当しますが、労働条件の明示を巡る紛争の未然防止及び書類管理の徹底の観点から、モデル労働条件通知書へ記入し、電子メール等に添付し送信する等、可能な限り紛争を防止しつつ、書類の管理がしやすい方法とすることが望ましいです。 (厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」) 学生がメールを使わなくなったと言われて久しいです。物心ついたころからスマホが存在していた今の大学生にとって、家族や友人との連絡に使うのはLINEが90%以上で次いでインスタグラムのDMです。そして携帯電話・スマホのキャリアーメールを使うのは14・4%(他にGmailが9%超)だったという調査結果があります(東工大新入生調査2023)。他の調べによると、学生の電子メールの使用割合は就活が始まると増えるようです。 2019(平成31)年に労働基準法施行規則が改正されて、それまで書面の交付に限られていた労働条件の明示方法が、FAXや電子メール、SNSでも可能になりました。ただし、「労働者が希望した場合」に限られ、「出力して書面を作成できるもの」である必要があります。 出力して印刷できるかどうかは労働者の事情(プリンターを持っていないなど)によらず一般的に出力できる状態であればよいようです。回答のとおり、SNSの本文に記載したものでも紙に印刷することができれば一応OKです。 今は学生でなくても連絡の手段はもっぱらSNSという人が多いでしょうから、労働条件がLINEで送られてくること自体には抵抗がないかもしれません。しかし、後々のためにはできれば形式に則(のっと)った労働条件通知書のかたちで保存しておいたほうがよさそうです。 エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館) 千本 沢子 |