機関紙編集者クラブトップページ   会員ページログインへ
視準

<労基法でよもやま話>(56)
副業・兼業は原則禁止できる?

《質問》社員の副業や兼業は、会社の労務提供に支障となる恐れがあることなどから原則禁止とし、やむを得ない事情がある場合は、会社の許可を要することとしていますが、問題となることはありますか。
《回答》(前略)具体的には、副業・兼業については、就業規則等において、労働者は届出等によって副業・兼業ができることを定めたうえで、次の@〜Cに該当する場合には、副業・兼業を禁止又は制限できることとしておくことが考えられます。
 @労務提供上の支障がある場合A企業の秘密が漏洩(ろうえい)する場合B競業により企業の利益を害する場合C企業の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
(厚生労働省サイト「スタートアップ労働条件」)
 厚労省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しました。そこで労働時間以外の時間の使い方は労働者の自由なので、副業・兼業を認める方向で検討するのが適当と示しました。
 副業・兼業で懸念されるのは労働者のオーバーワーク、特に長時間労働だと思います。ガイドラインでは使用者に労働時間の管理を行うことも指示しています。この労働時間とは自社での労働時間と他社での労働時間(労働者の申告による)とを通算したものになります。
 企業としては本業に注力してほしいでしょうし、労働時間の管理も煩雑で面倒ですから、副業・兼業に消極的な企業が多いのではないでしょうか。質問にあるように原則禁止にしたいと考えるのも無理のないことかもしれません。しかし、それは労働者の権利の侵害になりますから、回答に上げられたような場合に限って禁止・制限できることになります。
 労働者の側に立てば、スキルアップやネットワークの拡大をめざして積極的に副業・兼業をしたい人もいれば、やむを得ずせざるを得ない人もいるかと思います。家計のために仕方なく副業をしている人のためには、賃上げがまず必要かと思います。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


機関紙編集者クラブ 530-0041 大阪市北区天神橋3-9-27 PLP会館3階
club@kclub1965.com tel 06-6948-6079  fax 06-6948-6657