機関紙編集者クラブトップページ   会員ページログインへ
視準

<労働よもやま話>(60)
正社員の待遇引下げで格差是正?

Q.非正規の待遇改善目的に正社員の手当を改定手当廃止できるか
A.正社員の待遇引下げによる格差是正に合理性認められ難い
(『労働基準広報』No1985 2019・2・21)
 質問者の会社では正社員と非正規社員の待遇改善のために正社員の家族手当と住宅手当の廃止を検討しているとのこと。これに対して回答者は家族手当や住宅手当を廃止することは賃金総額を減額させるものであり、労働条件の不利益変更にあたるので認められ難いとしています。
 正社員の給与は「基本給+諸手当」であることが多いと思いますが、非正規社員に対して手当を支給する会社は少ないと思います。しかし、2018年の働き方改革関連法の成立や最高裁判決を受け、同一労働同一賃金の観点から仕事の内容や責任が同じであれば作業手当や精勤手当などの職務に関連する手当は、非正規社員にも支払わなければならないという流れになってきています。
 一方同じ手当でも、家族手当や住宅手当などの生活関連手当は正社員に対する会社からの生活保障や福利厚生であるとして非正規社員と差があっても構わないと、今のところ解されています。ですから、回答者も家族手当や住宅手当を廃止する前にまず職務関連手当について均等になるように是正すべきと助言しています。
 なお通勤手当についても、全く同じ条件で同じ仕事をしている正社員と非正規とで差がありすぎるのは法律に違反するという判決も2018年に出ましたので、交通費の支給についても今後改善を迫られる会社があるかと思います。
 さて、正社員と非正規社員の格差の是正が進むのは非常に良いことなのですが、それにあたってこの例のように正社員の待遇が引き下げられることが危惧されており、厚生労働省から出されたガイドラインでも注意が促されています。
 一方的な不利益変更にならないように労働者側もきちんと条件を確認し、職場で話し合い、交渉していく必要があるでしょう。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


機関紙編集者クラブ 530-0041 大阪市北区天神橋3-9-27 PLP会館3階
club@kclub1965.com tel 06-6242-2144  fax 06-6948-6657