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視準

<労働よもやま話>(36) 
能力不足で残業禁止はパワハラ?

Q.上司が能力不足の社員に対し、時間外労働をさせないことはパワハラに当たるか
A.時間外労働をさせない理由や時間外労働をさせないに至るまでの経緯によっては、「業務の適正な範囲」を超える人格権侵害になり、いわゆるパワーハラスメントと評価され得る
『労政時報』3924号(2017・2・10)
 仕事の効率が悪く、仕事内容にもミスが多いため、上司が時間外労働を禁じている社員がいるが、それはパワハラになるか、という質問。
 この事業所は忙しく、問題の社員以外のメンバーは残業が多いとのこと。時間外労働はないにこしたことはないですが、他の人たちが忙しく働いている中でひとりだけ退社せざるを得ないという状況は、想像すると非常につらいものがあります。たとえ同僚たちが表立って非難しなくてもいたたまれないでしょうし、職場で孤立する可能性が高いでしょう。
 厚生労働省が発表した職場のパワーハラスメントの定義は「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」としています。時間外とはいえ、上司が仕事を取り上げ、結果、職場での孤立を招き、精神的な苦痛を得ているという状況はパワハラにあたるといえます。
 もっとも、能力不足は難しい問題でもあります。本来就業時間内で終わらせるべき仕事を時間外で補われても困りますし(残業代も発生)、そうなると仕事の分担量の違いに他の社員が一層不満を募らせる可能性もあります。しかし、解説者も指摘するように、まずは上司も協力して要領や段取りの悪さ、ミスの改善に取り組む必要があるでしょう。
 そういう指導をしたり、補助したりする段階を経ずに、最初から「使えないやつ」と切り捨てて放り出すような態度と行為で、労働者を孤立させたり、精神的な苦痛を与えたりしてしまえば、それはパワハラになるということです。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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