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視準

<労基法でよもやま話>(36)
兼業・副業、長時間労働に注意

《質問》社員の副業や兼業は、会社の労務提供に支障となる恐れがあること等から原則禁止とし、やむを得ない事情がある場合は、会社の許可を要することとしていますが、問題となることはありますか。
《回答》(前略)副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされています。
 各企業の就業規則においては、長時間労働、企業への労務提供上の支障や業務上の秘密の漏洩(ろうえい)等を招かないようにするため、副業・兼業を禁止しているとか、一律に許可制にしている例が見られますが、裁判例を踏まえると、副業・兼業が各企業の業務に支障をもたらすものかどうか検討し、そういった事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則として、副業・兼業を行うことができる環境を整備することが求められます。(後略)
 (厚生労働省サイト「スタートアップ労働条件」)
 2018 (平成30)年に策定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、長時間労働を防ぐために、労働者が雇用される形で副業・兼業を行う場合、原則として、自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があるとしています。
 労働時間の規制で残業が減ったのはいいものの、残業代もなくなってしまったため生活が苦しく、やむなく早朝・深夜に清掃や飲食業、コンビニなどでアルバイトしているという話を聞きます。しかし、それで長時間労働となり、過労を招くことが心配されます。
 ガイドラインは「人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要であり、副業・兼業などの多様な働き方への期待が高まってい」るとしていますが、100歳まで健康でいるためには、まずは労働者が無理なく生きていくことができる賃金が得られることが必要で、それを社会として保証するようにしていかなければならないのでは思います。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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