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視準

<労基法でよもやま話>(30)
未払い賃金、時効が延長

《質問》賃金請求権の消滅時効が変わったと聞きました。どのようになったのでしょうか?
《回答》消滅時効に関する民法改正を受けて労基法も改正され、2020年4月1日から施行されています。対象となるのは、同日以降に支払い期が到来する賃金です。
 賃金請求権についての消滅時効期間を賃金支払期日から5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間は3年となります。
 なお、退職金請求権(従来から5年)などの消滅時効期間などに変更はありません。(後略)
(厚生労働省ウェブサイト「確かめよう労働条件」Q&A)
 公益法人へ寄附を行うと、所得から一定額が控除される税制上の優遇を受けることができます。私の勤める公益法人の労働関係専門図書館エル・ライブラリーでもサポート会費や当財団へのご寄附は税の優遇対象となります。そのため、ご寄附くださった方が初めて確定申告をされたのですが、これまで納めていた税金の金額が間違っていたことが判明、還付されたそうです。「でも、5年分しか戻ってこなかったんですよ」とぼやいておられました。民法の債権の消滅時効が原則として5年なので、税の還付請求権も同様に5年となっています。
 ところが、賃金は未払いがあっても遡(さかのぼ)って2年分しか請求することができませんでした(退職金は5年)。しかし、2017年に民法が改正され、すべての債権の時効が、@権利を行使できることを知った時から5年、または、A権利を行使できる時から10年になったことを受け、労働基準法でも賃金請求権の時効が5年に延長されることになりました。ただし、当面の間は3年ということになっています。
 これに伴って、賃金台帳などの記録を保存しなければならない期間も2年から3年に延長されました。時間外や休日労働の割増賃金を後になって請求することもあるため、労働者も自己防衛のために給料明細などは少なくとも3年は手元に残しておいたほうがよさそうです。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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