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視準

<労働よもやま話>(37) 
差別発言する社員を解雇できるか?

Q.バックヤードで顧客への差別的な発言を繰り返す従業員を解雇できるか
A.直ちに解雇すると無効と判断されるリスクが高いため、まずは軽微な懲戒処分を科し、その後も同様の問題行動が続く場合には、より重い懲戒処分を行っていくという対応が適切である
『労政時報』3927号(2017・3・24)
 店頭では感じよく接客しているものの、従業員だけがいるバックヤードでは一部のお客さんに差別的な発言を繰り返し、同僚から「このような考え方の人と一緒に仕事をしたくない」などと多数の苦情が届いているが、解雇することは可能かという質問。
 差別的な発言をする人と一緒に働きたくない、というのはよくわかります。しかしだから解雇する、というのはどうでしょうか。個人の思想・信条の自由は憲法によって保障された権利ですし、労働基準法3条でも思想・信条を理由としての解雇や懲戒処分は無効であると解説者も述べています。
 たとえ差別的な考えを持ち、発言をしてもそれはその人の自由で、それをもって解雇したり、差別的な待遇をすることはできないのです。ただし、その発言のために会社の生産性が損なわれるような場合は、労働者として適当ではないということで処分を科すことは可能です。
 この件で難しいのは、問題の行為がバックヤードに限られていることでしょう。お客さんに差別的な発言をして不快にさせるというのは会社に不利益を与えているのが明確ですが、同僚が不快に感じているため、職場の生産性が落ちているというのは客観的に計測しづらいものだからです。
 解説者は、注意、処罰を段階をもって科すこと、その根拠となる就業規則を整備することを提示しています。生産性の面からだけでなく、会社として差別的発言を排し公正な態度を支持するという方針を持つこと。就業規則にそれを反映させ、実行するのが大切なのではないかと思います。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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