クマと人間 No.347 クマの出没件数が2万を超え、北海道や東北を中心に人身被害が多発している。犠牲者の数も11月5日時点で13人となり、過去最多と言われた昨年の2倍を超えた。 原因はクマの主要な食料であるドングリや栗など木の実の不作や生息域の拡大と言われている。 確かに食べるものがないとなれば、それを探して山を下りるだろうし、そこに食料があるとわかれば、何度もやってくるようになるだろう。クマにとっては生存のための当たり前の行動だ。 とはいえ出会った人間を襲うのであれば、その危険を排除しなければならない。各自治体は対策に追われ、警察官は駆除にライフル銃の使用が解禁され、自衛隊は後方支援で派遣されることに。 かつて山と町の間には里山が広がっていた。たとえクマが食料を求めてやってきても里山にとどまり、町に姿を現すことはなかった。それを思うと、私たち人間の暮らし方の変化や、便利さを求めたゆえの環境破壊が今の事態を招いているとも考えられる。 観光地である嵐山にも出没した。大阪北部でも目撃情報や痕跡が19件あった。なんとか棲(す)み分け策を講じて、共存できないものか。その難しさは十分承知しているのだが。(ぴ)
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