あぁ賃金 No.326
「24時間戦えますか」というフレーズを知っている人はバブル期を経験した世代だろう。そしてあの頃、家庭を顧みず、子育てにも参加せず、ただひたすらに会社人間として我が身をすり減らしていたのだろう。 ワークライフバランスという考え方が浸透してきた現在、そんな働き方を肯定する企業は、少なくとも表向きにはない。もちろん働き手もそんなブラックな職場は避けて通るだろう。しかしだ。働けば働くほど収入が得られたという、その点だけ見れば、労働が正当に評価され賃金に反映されていた時代と言ってもいいかもしれない。 昨年、最低賃金の全国平均が1000円を超えた。やっとだ。だがこの最低賃金額では1日8時間、1カ月働いて18万円ほどにしかならない。ここから社会保険料や税金が引かれたら手元に残るのは一体いくらだ。これでは、非正規で働く人の中にはダブル、いやトリプルワークしなければ暮らしを支えられないという人もでてくるだろう。 働き方改革はもちろん大事。だがそれ以前にどんな働き方でも「健康で文化的な最低限度の生活(憲法25条)」が実現できる賃金の保障が必要だ。失われた30年。国も企業もこれまで一体何をしてきたのか。(ぴ)
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