2024年 編集サービス 10.20 #2 労働 ストレスチェック制度と過労死防止 創設から10年 制度は役立っているか? 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸  毎年6月に厚生労働省が公表する、前年度の「過労死等の労災補償状況」をみると、精神障害の請求件数増加が著しい。「仕事が原因で精神疾患を発症した」と労災保険の請求をした件数は年々増えて、2019年度で2060件だったのが、昨年度は3575件になった(図参照)。  労災認定の基準で、発症の原因となった出来事の類型にパワーハラスメントを取り入れるなどの改正があり、マスコミなどでも取り上げられたことは増加原因の一つとみてよいだろう。しかし、職場のメンタルヘルス不調を予防する取り組みが進められてきた昨今の状況からみて、その効果はどうなのか、疑問がわくところでもある。 ストレスチェックの目的は不調の未然防止  事業者にストレスチェックを義務付けるとした労働安全衛生法改正が国会で成立し、公布されたのが2014年6月のことだから、もう10年が経過した。  ストレスチェックとは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するために個々の労働者に「心理的な負担の程度を把握するための検査」を実施し、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めるというものだ。  アンケート形式の調査票に答える形式で行われるストレスチェックの結果は、実施者である医師などの専門家から労働者本人に通知され、まずは自身による気付きを促す。高ストレスと判定された場合には、本人の申し出により、事業者は医師による面接指導を実施する。その面接指導の結果、事業者は医師から意見を聴取し、必要な場合は何らかの措置をとる…とここまでが義務となっている。  しかしストレスチェック制度の目的は、職場改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防止するということだ。そのために、この制度設計で重点が置かれているのは、職場の集団ごとに結果を集計・分析し、単位ごとのストレス状況を把握して、その後の職場改善に生かすというプロセスということになる。  法令上の規定では、次のように記述されている。「事業者は、検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない。  事業者は、前項の分析の結果を勘案し、その必要があると認めるときは、当該集団の労働者の実情を考慮して、当該集団の労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければならない。」  未然防止のためには、検査の結果明らかになった高ストレスの原因を集計・分析により突き止めて、職場を改善して除去しなければならない。この制度の趣旨からすると、ここまできて目的達成ということになるのだが、条文の記述は「努めなければならない」という努力義務の規定となっている。たしかに、集団分析の手法の例は行政通達で示されているとはいえ、職場ごとの事情はさまざまで画一的なものにはできず、職場改善のすすめ方となると、それこそ千差万別だから具体的な措置の義務付けは意味がなさそうだ。  ただそうは言っても、事業者が実施機関に委託して、お定まりの「職業性ストレス簡易調査票」にもとづく検査を実施し、それで義務を果たしたから終りというのではこの制度の意味はない。むしろ検査による情報収集だけが行われるとなると、個人のストレス情報がもてあそばれるだけとなってしまい、マイナスの効果しかうまない。 集団分析から職場改善の工夫を  厚生労働省は、2021年にストレスチェック制度の効果検証のための調査を実施し、その結果をHPに公表している。  このアンケート調査によると、集団分析を実施する事業場は85・0%だが、職場環境改善に取り組んでいる事業場は30%台後半で推移というものだった。  集団分析についてはマニュアルで紹介されており、検査実施機関が分析結果報告まで行うことができるので、比較的簡単に進むこととなる。しかし問題は、ここから職場改善をどのように進めるかということなのだが、どうもうまくいっていないようだ。  ストレスチェック制度はそれだけで完結するものではなく、職場のメンタルヘルス環境の改善のためのツールとして位置付けなければ意味がない。職場の問題点を掘り下げる取り組みが労働者の参加で進められ、結果として改善が実現でき、さらに一定期間後にフォローの取り組みがされる。そのようなストレスチェックを端緒とした働きやすい職場作りができたとしたら、この制度の効用があったことになるだろう。職場ごとの工夫ある取り組みが望まれるところだ。 (11字×174行) ミニ情報 地元が生んだおいしい味・郷土料理 <山口県・瓦そば>  数年前の人気ドラマ、「逃げるは恥だが役に立つ」にも登場し、全国的に知られている瓦そば。山口県を代表するソウルフードだ。熱々の瓦の上に茶そば、その上には錦糸卵、レモンというスタイルは、一度目にしたら忘れられない。料理の起源は西南戦争。薩摩軍の兵士が瓦の上で肉や野草を焼いて食べていたことにある。それにヒントを得た下関・川棚温泉の旅館が開発し、客に出したのがこの瓦そばだ。今ではホテルや旅館、飲食店などで提供されている。またスーパーマーケットでは、家庭で調理できるよう茶そばとつゆのセットを販売しているという。添えられたレモンや紅葉おろしで味の変化が楽しめる一品だ。 #3 ボランティアインフォメーション  各種の団体やイベントでは、広くボランティアを募集している。単発のボランティア(1回だけの活動)や初心者、親子参加を歓迎するものも多い。興味のある活動、分野に参加し、新しい世界にチャレンジしよう。 *掲載している情報はKVネット(https://www.kvnet.jp)から転載したものです。 ▼内容の詳細、相談、参加希望などは、それぞれの活動の「問い合わせ先」に直接連絡を。 ●福祉サービス事業所の感謝を込めたお祭り  青い鳥福祉会は、心身に障害のある人たちが地域で働き、共に生きていこうという願いを実現するためにつくられた福祉サービス事業所です。  12月1日には、地域への感謝を込めたお祭りを5年ぶりに開きます。この祭りを一緒に盛り上げてくれる人を募集中。施設を利用している方の付き添いや模擬店の手伝い、会場の設営や撤去をお願いします。 ▼日時/12月1日(日)9時〜15時、※祭りは10時〜14時(雨天決行)。終日参加が原則だが、午前、午後のみを希望の場合は応相談▼場所/青い鳥工房(JR学研都市線「住道」駅から大東市コミュニティバス「住道駅前(北)」行に乗車、「三箇公園」下車、徒歩1分)▼費用/交通費500円と昼食(模擬店の商品)を支給▼募集人数/50人▼参加条件/高校生以上▼申込締切/11月15日▼■申込方法/左記に問い合わせを▼問い合わせ/第二青い鳥、担当・田中TEL072(803)6206、FAX072(875)4115、URL:https://www.aoitori-fukushi.com/ ●勉強で子どもたちの居場所をつくろう  私たち学習支援ボランティアは、子どもたちに安心して学べる居場所と学習機会を提供する活動を、熊取町交流センターで週2回行っています。個別指導や宿題のサポートを通じて学力向上を図り、子どもたちが自信を持てるよう支援しています。この活動にあなたも参加しませんか。 ▼日時/月・土曜日、18時50分〜20時45分の間で相談▼場所/熊取町交流センター・すまいるず煉瓦館(JR阪和線「熊取」駅から徒歩10分)▼費用/無料、ボランティア保険は団体で加入▼募集人数/10人▼参加条件/勉強を教えられる方、子どもとの関わりが好きな方▼申込締切/なし▼申込方法/申し込みフォーム(https://forms.gle/pVFQZXbVGMqHb1Y58)から、または電話で▼問い合わせ/NPO団体PEACE、担当・伊ア理倫TEL080(4971)9825、Eメール:peace.npo12@gmail.com <情報提供/大阪ボランティア協会TEL06(6809)4901> (11字×85行) #4 労働ニュース ハローワーク業務 AI活用のPT設置  厚生労働省は9月30日、ハローワーク業務でAI(人工知能)を活用することを検討するための省内PT(プロジェクトチーム)を設置することを公表した。  民間分野を中心として、労働力需給調整分野でAI活用の検討が進んでいる。厚生労働省でも、ハローワークのオンラインサービス提供を行っている「ハローワークインターネットサービス」について、AI活用を検討することとした。  検討事項としては「AI活用が考えられる内容」「AI活用によって生じる効果」「AI活用の課題や留意事項」を想定している。 (11字×23行) 過労死等防止白書 医療・芸能を重点分析  厚生労働省は10月11日、「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表した。白書には、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で調査研究の重点対象とされている業種(医療、芸術・芸能分野)や、調査研究の必要性が指摘されているDXなどの先端技術担当者の調査分析結果を記載した。  医療従事者について、平成22年度から令和2年度まで11年間の労災支給決定(認定)事案のうち精神障害事案を分析したところ、近年増加の傾向を示しており、医師では「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」、看護師は「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が最多となった。  芸術・芸能従事者への調査では、1週間当たりの拘束時間が60時間以上が全体では35・2%だったが、技術スタッフは46・2%で最多だった。また「うつ傾向・不安」は、一般就業者が26・5%だったのに対し、制作職種全体では30・5%と高い結果となった。  DXなど先端技術担当者への調査では、1週間当たりの労働時間や「うつ傾向・不安」が、他の職種に比べて若干多い傾向だった。先端技術関連の仕事に就くにあたり感じた負担では「いままで担当していなかった先端技術関連の仕事に就いたために、技術の習得に時間がかかった」が29・6%で最も多かった。 (11字×50行) 平均給与460万円 3年連続増加  国税庁は9月25日、令和5年分民間給与実態統計調査結果を公表した。平均給与は460万円で前年に比べて0・4%増加した。平均給与は3年連続で増加となった。  このうち、男性が569万円(前年比0・9%増)、女性が316万円(同0・7%増)、正社員が530万円(同1・3%増)、正社員以外202万円(同0・7%増)だった。  平均給与の内訳では、平均給料・手当が388万円(前年比0・5%増)、平均賞与は71万円(前年比0・3%減)だった。 (11字×21行) 物価高で業務に影響 保育職の8割  潟}イナビは10月11日「保育職に関する調査」の結果を公表した。2022年以前から現在の勤め先で同じ職種で働いている保育職と一般会社員を対象に調査した。  昨今の円安や物価高騰による業務への影響を聞くと、8割の保育士が「影響があった」と答えた。影響があったと感じる部分は「適切な人員配置がされず業務過多(40・7%)」が最も多く、「園内の節電(36・3%)」、「教材や制作物素材の買い控え」「給食内容の変更」(いずれも32・3%)と続いた。  自分の働きに見合うと思う年収額を聞くと、平均524万円で、実際の年収額の平均374万円とは、150万円の差があることが分かった。一般会社員では自分の働きに見合うと思う年収額は平均573万円だったのに対し、実際の年収額は平均484万円で、その差は89万円で、保育職のほうが「自分の働きに年収が見合っていない」と感じている。  保育職に、現在の仕事に充実感ややりがいを感じているかを聞くと、77・0%が「感じている」と回答した。一般会社員(47・0%)と比べると30ポイント以上高く、大きな差が出た。 (11字×43行) 情報 市立伊丹ミュージアム 福知山線のあゆみ  市立伊丹ミュージアムでは、JR福知山線が全通120年を迎えたのを機に「福知山線120年のあゆみ―駅弁・駅スタンプとともに―」展を開いている。  展示されるのは、かつて福知山線の駅で販売されていた駅弁の掛紙や国鉄時代の駅スタンプなど、福知山線に関係する資料約140点だ。また最終日には、Nゲージ鉄道模型運転会などもある。詳細は問い合わせを。 ▼会期/11月9日(土)まで▼会場/市立伊丹ミュージアム(阪急「伊丹」駅から北東へ徒歩約9分)▼開館時間/10時〜18時(入館は17時半まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌平日▼観覧料/無料▼問い合わせ/市立伊丹ミュージアムTEL072(772)5959 (11字×28行) #5 労働安全衛生 数える労働安全衛生(194) 医師への聴取率40% 小規模事業場の健診結果  年に1回の健康診断は、労働者を雇用する事業者に実施義務があることはよく知られている。労働者のほうはというと、受診義務はあるが、事業者指定の医師が嫌なら他の医師の健康診断を受けて報告する必要がある。つまり、賃金を受けて働く限り健康診断は必須だ。  それでは事業者は、健康診断を実施しさえすれば義務を果たしたことになるだろうか。いやそうではない。健診の結果、異常の所見があると診断された労働者については医師から意見を聴取し、必要な場合は事後措置を実施する義務が法令に明記されている。  じつはこの医師の意見聴取の実施率が、小規模な事業場では低いのだ。労働者数10〜29人の事業場では40・0%、30〜49人で44・9%、50〜100人でも55・0%となっている(2022年労働安全衛生調査)。50人未満なら実に半分以上が、有所見者がいても、医師の意見を聞いていないのだ。  結果に応じた配置や作業内容の転換、労働時間の短縮のような措置が必要かもしれないのに対応ができていないということだ。  どこまで対処すべきか判断に戸惑う事業者のために、厚生労働省は「健康診断の結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表している。また、労働基準監督署の所轄地域ごとに地域産業保健センターが設置されていて、その気にさえなれば、専門家のアドバイスも容易に受ける体制はできている。  法令上の義務付けは理由があるわけで、順守を徹底したい。 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸 (10字×65行) 情報 大阪中之島美術館「塩田千春 つながる私(アイ)」展 三つの「アイ」で表現  会場である5階のロビーに現れたのは、天井から伸びる赤く長い糸で織りなされた森、その中で存在感を放つ巨大な赤いドレス。オーストラリアの強制収容所に着想を得たという《インターナルライン》だ。コンセプトは「愛/ai」。来場者は赤の色彩に包まれ、さながら母親の胎内をたどる気分で展示室の入り口にたどり着く。  作者は塩田千春。ベルリンに拠点を置き、国際的に活躍する現代アーティストだ。大阪中之島美術館で開かれている「塩田千春 つながる私(アイ)」は、16年ぶりに出身地で開く大規模個展となった。そのテーマは「つながり」。「私/I」「目/EYE」「愛/ai」の三つの「アイ」を通してアプローチしている。  絡まり合う白い糸がドームを作り、水滴がしたたり落ちる―《巡る記憶》―。赤い糸がつくり上げた家々―《家から家》―は、心の奥底に存在する自身とつながりを表現したインスタレーションだ。そして展示された絵画や映像作品などからも作者のあふれでる内面を感じる。  最後に現れた《つながる輪》が圧巻だ。天井からの無数の赤い糸。そこに編み込まれ大きな円を描いているのは、「つながり」をテーマに人々から寄せられた声の紙片だ。そして来場者は、いつの間にか作品に共感し取り込まれ、参加することになる。 ▼会期/12月1日(日)まで▼会場/大阪中之島美術館(京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ徒歩約5分)▼開場時間/10時〜17時(入場は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし11月4日は開館、翌日休館▼観覧料/一般2000円(平日1800円)、高・大学生1500円、中学生以下無料▼問い合わせ/大阪市総合コールセンターTEL06(4301)7285 (11字×66行) *赤い糸に編み込まれた無数の紙片。そこには「つながり」をテーマした人々の声がある 《つながる輪》 #6 コラム ニュースな暮らし(65) 最低賃金は 全国一律が世界の常識  今年も10月から、最低賃金が引き上げ改定された。適用されるのは、事業規模にかかわらずすべての民間企業。この金額未満で働かせると、使用者は罰則の対象になる。直接的な影響を受けるのは、パートやアルバイトなどの非正規労働者だ。  一方、公務職場の非正規職員の賃金もこの額が考慮されている。そのため、最低賃金が上がれば、民間、公務の正規職員の賃金にも波及がある。その結果、退職者の年金額も調整される場合がある。  最低賃金の引き上げは、多くの国民の所得、暮らしに影響を与える。しかし今の地域別の金額のままでいいのか疑問だ。  改正額を見ると、東京都1163円(前年比+51円)、鹿児島県953円(同+56円)で、その差は210円。格差が一番大きかった2014年に比べると縮まっている。しかし月160時間働くと月約3万4千円、年で40万円ほどの差になる。全国で一般的に流通する食料品や衣料品などの価格を見ても、生活にかかる最低限の金に、都市部と地方でそこまで違いがあるとは思えない。  最近、人口ピラミッドを調べる必要があった。20年の年齢別人口構成の全国の形に比べ、九州や東北各県は20〜34歳の層が少なく、逆に東京は極端に多い。最低賃金の低い地域から、高い地域に移動していることが一目で分かった。  世界的に見ても、地域別最低賃金はわずか3%で、全国一律が大多数だ。自民党総裁選で候補者の多くが「改革」を訴えていた。「全国一律の最低賃金」こそ大胆な地方改革と思うが。世襲議員候補らは「民の竈(かまど)」など気にならないようだ。 浜床たかし (11字×61行) 労働コラム 労基法でよもやま話(43) 給与が差し押さえられる? 《質問》賃金は差し押さえられることができるということですが、差し押さえられると、どうなるのでしょうか? 《回答》労働者の賃金が差し押さえられた場合には、民事執行法の規定によって債権者が債権の取り立てをすることができるようになっています。例えば、労働者が金融機関から借金をしていてこれを支払わなかったために金融機関(債権者)が労働者(債務者)を相手に貸金請求の訴訟を提起してその判決をもらい、この判決に基づいて労働者の賃金債権の差押をしたとしましょう。この場合、差押をした金融機関は差押命令が労働者に送達されて1週間を経過すれば直接会社(「第三債務者」)から取り立てることができます(民事執行法155条)。(後略) (厚生労働省サイト「確かめよう労働条件」)  新米が出回るようになって夏の終わりに騒ぎになっていた米不足は解消しましたが、去年に比べて値段が上がりました。豚肉もぐんと高くなりましたし、他の食品も価格が上昇するばかり。子育て中の方は特に大変だと思います。  母子世帯の養育費の受給率は24・3%(平成28年度調査)。養育費の取り決めをしているのは42・9%なので18%以上に養育費が支払われていません。  行政による立替払い制度(養育費も回収)がある国もありますが、日本では相手への請求も取り立ても自分でしなければいけません。しかも強制執行手続(預貯金口座や給与債権の差押え)をするためには相手の勤務先や口座を特定する必要があります。  これが難しかったのですが、2020年に民事執行法が改正され、第三者から情報を得ることができるようになりました。例えば、給与債権は市町村、日本年金機構などから情報を得て勤務先を特定、回答にあるように給与を差し押さえて、会社から直接取り立てることができます。  なお、差し押さえは賃金の四分の一までしかできません。ただし、月額が44万円を超える場合は差し押さえが禁止されるのは33万円です。 大阪産業労働資料館 エル・ライブラリー 千本沢子 (11字×79行) #7 社会 スキマバイト小咄(7) 現場で見たフードロス  飲食店の洗い場や、ホテル宴会場などの現場では、多くのフードロスを目にしてきました。  食習慣も生活習慣も異なるインバウンド客は、好奇心からか、日本の多様な食に関心を示すようです。私の数少ない海外出張の経験では、カザフスタンもドイツも、とにかく肉料理ばっかり! その調理法も結構おおざっぱです(でも、カザフスタンで飲んだレモネードは、一生忘れられない美味(おい)しさでした)。  だからこそ、ワンプレートできれいに盛り付けられたホテルのモーニング(しかも千円)を「食べないと損する」とばかりに注文します。けれども、退席したあとを見ると料理はグチャグチャにかき回された無惨な姿に変わり果て、そしてほとんどは食べてもいないのです。  また、ほぼ日本人を見かけない大阪ミナミの牛丼屋では、わざわざご飯の大を注文して(ご飯の量は選べます)、上の肉しか食べない。あるいはこれもまたグチャグチャにかき回して一口も食べていないことが本当に多かったです。  牛丼屋の洗い場の生ゴミバケツはあっという間に一杯です。もったいないやら、悲しいやらで、私の胸は痛みました。  でも、フードロスは日本人相手でも変わりません。ホテル宴会場では、中華料理の大皿コースを提供していました。前菜盛り合わせからメイン料理が続き、最後はご飯物と麺類、デザートです。  10分ごとに次の料理が出てくるため、食べられていない料理は小皿にわけて盛り付け、客が手に取りやすいようにします。そして次の料理が出てくると、また同じ作業の繰り返しです。  それでも客の箸は進まず…宴会で来る客のほとんどは、酒を飲んでしゃべりたい方々ばかりなので、食事にはあまり関心を示さないのです。したがって、料理の半分以上が残ってしまいます。  客によっては持ち帰りを希望してくれる場合もありますが、これはレアケースです。ヒレ肉の炒め物やエビチリを無慈悲にゴミ箱に投げ込みながら「ヒトは何のために生き物の命を頂くのか」と考え込んでしまった私なのでした。 エル・ライブラリー  特別研究員 黒川伊織 (11字×80行) 情報 大阪歴史博物館・特別展「川瀬巴水」 旅で見つけた日本の原風景  「旅情詩人」と呼ばれた川瀬巴水は、大正から昭和にかけて活躍した木版画家だ。その彼の生涯を作品から見る特別展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が大阪歴史博物館で開かれている。  鏑木清方に師事し、画家の道を歩き出した巴水だったが、版元の渡邊庄三郎に出会ったことから木版画「新版画」の制作に携わるようになった。  第1章は、初期から関東大震災発生前までの作品を紹介。『旅みやげ第一集』や『東京十二題』など風景シリーズが並ぶ。続く第2章では、関東大震災後、画風が変化した作品を展示。より写実的で明るい色彩となったこれらの作品によって国内外からの評価は高まり、彼の名声が確立された。代表作の《芝増上寺》や《馬込の月》もこの時期に制作されている。  また旅を重ね、それぞれの地の風景を描いた巴水。関西・大阪にも何度か訪れており、《大坂宗右衛門町の夕》や《大坂道頓堀の朝》《大坂天王寺》など、彼の目線で描いた「大阪」を残している。  そして第3章は、画家仲間の誘いで出かけた朝鮮半島への旅で新境地を得て制作した作品や、戦後、海外の需要を意識した作品、そして晩年に至るまでを紹介している。  巴水が描いた日本の風景の数々。誰もが郷愁を覚える展覧会となった。 ▼会期/12月2日(月)まで▼会場/大阪歴史博物館(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅下車、2・9番出口)▼開館時間/9時半〜17時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/火曜日▼観覧料/一般1300円(常設展共通1770円)、高・大学生700円(常設展共通1030円)、中学生以下・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人含む)は無料(要証明証)▼問い合わせ/TEL06(6946)5728 (11字×65行) *浮世絵の技術に新しい表現を取り入れ、確立した「新版画」。その詩情あふれる作品に魅了される #8 健康 こころとからだの健康づくり(295) 血糖を消費する筋肉 糖尿病の効果的な薬  日々活動できるのは筋肉のお陰です。美しい姿勢を保つことができる、しっかり歩けるのも筋肉がついているからです。そして筋肉は血糖を消費する器官でもあります。  筋肉は人の体重の約70%を占め、600以上の種類があります。このうち骨格筋は体重のおよそ40%の重さになる最大の器官です。体を動かすための器官だと考えられていた骨格筋ですが、動作を生み出すだけではなく、摂取した糖の約70%を消費しているのです。  体内の血糖値が上がりすぎると、インスリンというホルモンが分泌されます。インスリンが血液を介して骨格筋に到達すると、血糖を細胞に取り込ませるという役割をします。体内の血糖値を上昇させるためのホルモンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、グルカゴン、成長ホルモンなどいくつかありますが、血糖値を下げるためのホルモンはインスリンのみになります。  この貴重なインスリンに並ぶ機能を筋収縮は持っています。これまでインスリンは血糖の取り込みを促進する唯一の因子と考えられてきましたが、筋収縮が同様の働きをするのです。体を動かす、骨格筋を収縮させることは、糖の代謝と密接に関係し、生命活動にとっても重要なのです。筋肉は想像以上に大切な器官です。  日本人の糖尿病の95%以上を占め、生活習慣に起因するとされている2型糖尿病(2型糖尿病疾患者)は、インスリンの分泌力が低下しているだけでなく、インスリン抵抗性も生じています。インスリン抵抗性とは、インスリンが出ていても効き目が鈍くなっていることを言います。つまり、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンに反応しにくくなってしまっている状態です。  インスリン抵抗性が生じ、インスリンによる糖の取り込みルートの機能が鈍い糖尿病患者にとって、骨格筋の収縮によるルートの存在は大きいのです。  運動による糖の取り込みは、健常者でも2型糖尿病患者でも同程度に生じます。医師が運動を勧めるのもそのためです。さらに運動には骨格筋のインスリン感受性を亢進(こうしん)させ、生じてしまったインスリン抵抗性を改善する効果もあります。  研究で、運動した脚と安静にしていた脚にインスリンを打ち、糖の取り込み量を比較したところ、運動していた脚の方が取り込み量が多いという実験結果が出ています。これは運動がインスリン感受性を高めることを示唆しています。運動は糖尿病に効果的な薬になります。  また継続的な運動は、古くから体に良いとされ、生活習慣病の予防にもなります。運動が効果的だと言われている疾病も多く、便秘が治る、ガンの発症率を下げる、鬱(うつ)に良いなどの報告もあります。  生活の中で筋肉を刺激しましょう。例えば、@歯を磨く時にかかとを上げ下げすると、ふくらはぎの筋肉、下腿(かたい)三頭筋が刺激されます。A歩く時は下腹に力を入れて、胸の位置を高くして歩くことで、お腹の筋肉、腹直筋、背中の筋肉、広背筋が刺激をされます。B立って電車などを待つときは、お尻に力を入れて立つことで、内臓を支えている骨盤底筋が刺激されます。  意識して筋肉を動かしていきましょう。 健康運動指導士 竹田 薫 (11字×122行) 情報 大阪自然史博物館で 自然史フェスティバル  大阪市立自然史博物館では、関西文化の日にあたる11月16日、17日に「大阪自然史フェスティバル2024」を開く。これは自然に関わるサークルや自然保護団体など、100以上の団体が一堂に会する自然の文化祭だ。  各出店団体は、自然に関する活動の紹介や作品販売をするほか、ワークショップやイベントを行う。自然観察会もあり、16日には野鳥写真家を講師に迎えたバードウォッチングが、17日には野鳥観察が初めてという方でも参加できる探鳥会が開かれる。他にもイラストレーターによる楽しい鳥の絵の描き方講習会やシンポジウムなどが予定されている。  *イベントなどの詳細は問い合わせを。 ▼期間/11月16日(土)、17日(日)▼会場/大阪市立自然史博物館(大阪メトロ御堂筋線「長居」駅下車3号出口より東へ約800b、長居公園内)▼開館時間/9時半〜16時半(入館は16時まで)▼入場料/関西文化の日のため無料▼問い合わせ/大阪自然史フェスティバル事務局TEL06(6697)6262 公式webサイト:http://www.omnh.net/npo/fes/2024/ (11字×42行) #9 自然 生命の海の生きもの(57) 貝よりヒトに近い生きもの 「ホヤ」  ホヤという生き物をご存じだろうか。中部以西ではほぼ流通していないので知らない方も多いかもしれない。関東以北、特に東北地方で珍味として、刺身や酢の物、塩辛などさまざまな形で食べられている不思議な生き物、ホヤについて紹介する。日本で食用にされるマボヤは宮城・秋田以北の近海に生息するが、ホヤの仲間は二千種以上が知られ、冷たい海に限らず世界中のさまざまな海域に生息する。  ごつごつした岩のような形で、一見すると動物とすら認識できないようなホヤ。「海のパイナップル」と言われるように植物のようにもみえるが立派な動物だ。触ってみても固いような柔らかいような不思議な触感で、とにかく得体のしれない生物だ。  「ホヤガイ」などと呼ばれることもあるが、軟体動物に属する貝の仲間ではなく、尾索動物というグループに分類される。この尾索動物は進化の過程を考えるのに重要な分類で、私たちヒトが属する脊椎動物、いわゆる背骨のある動物の原型となった生物だ。ホヤの成体に背骨はないが、幼生は全く違ってオタマジャクシのような形をしており海中を泳ぐ。その尾の部分の中に、原始的な背骨、「脊索」をもつ。数ミリしかない小さな幼生「オタマボヤ」は、やがて海底の岩などに根を生やすように付着すると、尾が縮み脊索は吸収され、よく知られるホヤの形に変化していく。  ヒトを含む脊椎動物に近い特性から、実験動物としてよく用いられる。動物の中で7番目にドラフトゲノム配列(全遺伝子の配列の概要)が解読された動物であることからもその重要性が分かるだろう。医学の分野では免疫に関する研究から、ホヤを使った薬品の生成など極めて多くの研究に利用されている。  工業面でもホヤには大いに期待が寄せられている。バナジウムという物質をご存じだろうか。合金などの材料、触媒、顔料・塗料、さらには半導体の材料など多用途に利用される金属だ。ホヤの一種、バナジウムボヤというそのままの名前を付けられたホヤは、海水中のバナジウムを約一千万倍の濃度に濃縮して蓄積していることが明らかになっている。  この仕組みが解明できれば、海水からのレアメタル分離技術や廃水中の毒性重金属などの除去技術の基盤になると期待されている。ホヤが世界を救うかもしれない。(和) (11字×87行) *西日本ではなじみのないホヤ。「海のパイナップル」と呼ばれ、関東以北で食されるとか お知らせ ログインにはユーザー名とパスワードを  機関紙編集者クラブの公式ホームページ「機関紙@編集者クラブ」をご活用いただき、ありがとうございます。  毎月本紙「編集サービス」発行から2〜3日後に更新しているこのホームページですが、会員向けのメンバーページへアクセスするためには、ユーザー名とパスワードを入力するログインが必要となっています。またパスワードは毎月1日を基準として1カ月ごとに変更しています。なお、ユーザー名およびパスワードにつきましては別表をご確認下さい。  会員の皆様にはお手数をおかけすることになりますが、セキュリティーの強化のため、ご協力いただきますようにお願いします。  なお、記事や写真のダウンロードなどメンバーページの利用方法は従来通りですので、会員皆様の機関紙作成にご活用ください。 ホームページ URL http://www.club2010.sakura.ne.jp メンバーページ ログイン  <ユーザー名>  club  <パスワード>  91ce4g9n(10月末日まで)  36337emx(11月1日より) #10 デジタル 個人的DXのススメ(17) 少数ショットプロンプトで AI応答に一貫性を持たせる  大規模言語モデル(AI)は、プロンプトにいくつかの例を示すことで応答の内容を誘導することができる。この提示例の数を「ショット」と呼び、@複数の例を与えてタスクを実行させる方法は「少数ショット(Few―Shot)プロンプト」、Aひとつの例だけを与える方法は「ワンショット(One―Shot)プロンプト」、そして、B例を示さずにタスクを実行させる方法を「ゼロショット(Zero―Shot)プロンプト」と呼ぶ。  例えば、AIに「水色」と入力すると、「青と白が混ざり合った淡い色」や「冷静さ」「清涼感」といった説明を返すことが多い。しかし、入力:赤色、出力:熱い[改行]入力:水色、出力:[空欄]というプロンプトを与えると、AIは「冷たい」と応答する。  ここで注目すべきは、プロンプト自体には、AIの回答を制約する明確なルールが示されていない点だ。AIは、与えられた情報を基に応答すべき内容を推測し、「赤色」に対して「熱い」という例が示されたため、「水色」には「冷たい」という応答を返した。  このように、AIに例を与えることで、その応答にパターンや一貫性を持たせることができる。  具体的には、AIにブログの記事からタイトルを生成させる際、いくつかのタイトル例を示すことで、生成されるタイトルに類似のパターンを持たせたることができる。  ただし、少数ショットプロンプトは、AIに複数の例を与えて応答の精度を向上させられる一方、ステップが多い問題や複雑なタスクでは、正確な応答を必ず得られるとは限らない。 (11字×59行) 情報 京都国立博物館「法然と極楽浄土」 名宝でたどる浄土宗  法然が、「なむあみだぶつ」と称えるだけで誰でも極楽浄土に往生できると説いた承安5年(浄土宗開宗の年)から数えて850年。それを記念して全国規模で開催される巡回特別展が「法然と極楽浄土」だ。東京に続き、京都国立博物館で開かれている(福岡は来秋)。京都での大規模な法然展は13年ぶりだ。  法然自筆を含む文書、消息、関連経典、国宝『法然上人絵伝』(四十八巻伝)など、京都会場では国宝6件、重要文化財66件を含む156件もの宝物が出展される(前後期展示替えあり)。中でも、国宝『綴織當麻曼陀羅(つづれおりたいままんだら)』(當麻寺)が奈良県外で公開されるのは初めてであり、また、修理後初公開となった国宝『阿弥陀二十五菩薩来迎図(あみだにじゅうごぼさつらいごうず)(早来迎)』(知恩院)にも注目が集まりそうだ。  1階には関係する仏像の秀作が並ぶ。その中でひときわ目を引くのが四国高松の法然寺三仏堂の『仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)』だ。「仏涅槃図」を立体化したものだが、他に知ることがないという。江戸時代前期の作であり、釈迦(しゃか)の涅槃を悲しむ動物たちの表情がなんともかわいい(今回は82点中の26点を通期で展示・撮影自由)。そして、ここに登場している象と猫はぬいぐるみとなってミュージアムショップで販売されているので、探してみては。 ▼会期/12月1日(日)まで▼会場/京都国立博物館(京都市バス「博物館三十三間堂前」下車すぐ、京阪「七条」駅下車、東へ徒歩7分)▼開館時間/9時〜17時半、金曜日は20時閉館(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし11月4日開館、翌日休館▼観覧料/一般1800円、高・大学生1200円、小・中学生700円、障害者手帳を提示の方(介護者1人を含む)無料▼TEL075(525)2473(テレホンサービス) (11字×65行) *修理後初公開された国宝『阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)』(鎌倉時代・14世紀、京都・知恩院蔵、11月6日〜12月1日展示) #11 食べもの おいしいもんめぐり大阪(94) フランス菓子にうっとり  フランス・リヨンに本店を構える菓子店、セバスチャン・ブイエ。日本には2017年、東京に初出店し、シンプルでおいしいフランス菓子を紹介・販売する。関西は阪神梅田本店のみに出店し、マカロンとタルトを中心に販売している。  そんなフランス菓子専門店で購入したのは秋限定販売の「アソート ロートンヌ」、タルトと焼き菓子の詰め合わせだ。栗やサツマイモ、ナッツなど秋の味覚がふんだんに使われており、見た目も楽しい。  さて実食したのはWタルトレットマロンWだ。しっかりしたタルト生地は歯応えがあり、なかに詰められたヘーゼルナッツクリームとの相性は抜群だ。中央の渋皮栗がアクセントで、食べれば口中に秋が広がる。手のひらに乗るほどの小さなタルトだが、以外と食べ応えがあり驚いた。  他にもショコラ味のタルト生地に紫芋のマドレーヌを詰めたWタルトレット紫芋Wや紅はるかのペーストが入った焼き菓子など六つの菓子がセットになっていた。  通常販売のタルトもドライイチゴが使われていたり、抹茶風味のマドレーヌに黒豆が入っていたりと、なかなか興味深い。手土産に自分のご褒美にぴったりの菓子だった。 <セバスチャン・ブイエのタルトレット> ▼価格/「アソート ロートンヌ(6個入り)」2400円(税別)▼販売店/セバスチャン・ブイエ(阪神梅田本店地下1階)▼営業時間/阪神梅田本店に準じる▼TEL06(6345)0582 (11字×55行) *おいしいフランス菓子がセットに。まるでお菓子の宝石箱だ 情報 原発からの撤退を 24関西集会  脱原発政策実現全国ネットワーク関西・福井ブロックが主催する関西集会がドーンセンターで開かれる。タイトルは「原発・核燃からの撤退を!南海トラフ巨大地震が来る前に24関西集会」だ。  地震国日本で原発を稼働し続けることには大きなリスクがある。一度原発で事故が起こるとどうなるか。それは福島原発事故で経験したはずだ。だが国は脱原発に舵を切るどころか、老朽化した原発をさらに稼働させようとしている。  集会では、ジャーナリストの青木美紀さんが「脱原発を阻むもの」を、医師の三田茂さんが「4000人の子どもの血液を調査して」と2本の講演がある。また六ヶ所再処理工場に関してのDVD報告やアピールなども予定されている。 ▼日時/11月16日(土)13時20分開場、13時50分開演▼会場/ドーンセンターホール(大阪メトロ谷町線・京阪「天満橋」駅下車、1番出口から東へ350b)▼参加費/前売り1000円、当日1300円▼問い合わせ/ストップ・ザ・もんじゅ事務局TEL072(843)1904、Eメール:stopthemonju@nifty.com (11字×42行) 自治研の公開講座 万博から考える大阪  大阪地方自治研究センターが主催する公開講座「万博から考える、大阪の『未来社会のデザイン』」が開かれる。  「大阪・関西万博」開幕まで半年あまりとなった。だが会場建設の遅れや、メタンガス爆発事故などネガティブな報道があとを絶たない。このまま万博開催となれば、むしろ大阪・関西の経済的停滞や活力の減退を象徴するものとなりかねない。  そこで公開講座では、市民の立場から万博の問題点を検証するとともに、本来の万博の意義に立ち返って、大阪の「未来社会のデザイン」のあり方を考え直すこととする。 ▼日時/11月9日(土)13時半〜16時半▼会場/PLP会館5F大会議室(大阪メトロ堺筋線「扇町」駅4番出口より徒歩3分、JR環状線「天満」駅より徒歩約5分)▼参加費/資料代1000円▼申込み方法/申込みフォーム(https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdnnuH-XCEN6BbfeEgeheGoYhIYEw12Xl2k8WGlbyGgLjAp7A/viewform)から▼問い合わせ/大阪地方自治研究センターTEL06(6242)2220、Eメール:jichikencenter@jichiro-osaka.gr.jp (11字×45行) #12 本 最近読んだ本 若冲になったアメリカ人ジョー・D・プライス物語 著者 ジョー・D・プライス インタビュアー 山下裕二 江戸絵画を愛した ひとりのアメリカ人  江戸時代中期、京都では円山応挙や池大雅など才能あふれる絵師が活躍していた。中でもひときわ個性的だったのが伊藤若冲。相国寺に色彩あふれる30幅の『動植彩絵』と3幅の『釈迦三尊像』を寄進し話題となった人気絵師だ。だが時代の変化とともに傍流扱いとなり、明治以降、忘れ去られていた。  そんな若冲に魅了された人物がいた。それがアメリカ人のジョー・D・プライスさんだ。20代のはじめ、ニューヨークで若冲の『葡萄(ぶどう)図』に出会い衝撃を受け、作者が誰かも知らず購入した。それ以降、己の審美眼だけを信じて若冲作品を中心にあまたの江戸時代の絵画を購入、世界でも有数の江戸絵画コレクションを築き上げたのだ。  本書は、そのジョー・D・プライスさんのインタビュー集。生い立ちに始まり、若冲作品との衝撃の出会い、妻となったエツコさんのこと、コレクション形成の足取り、日本人研究者との交流、そして若冲や日本絵画の魅力などを語り尽くしている。  「掛軸のひとつに目がとまり、そうなると気になって仕方なかった。それが若冲の『葡萄図』/絵そのものに惹(ひ)かれたのです」と若冲作品との出会いを語り、日本での収集活動では、「エツコという協力者を得たことで、日本で動きやすくなった/東京国立博物館で琳派(りんぱ)展が開かれた一九七二年までは、市場にいいものが流通していました」と語る。  そして、2006年に「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」を開く際、東京国立博物館の副館長になぜ展覧会をしたいのかを聞かれ、「私が展覧会をしたいのではない、作品自体が、多くの人に見られる場を欲しているのです」と答えている。  ひたすら若冲を、江戸絵画を愛し、研究者に開かれた場を提供したジョーさん。2000年に始まり、今に続く若冲ブームもエツコ&ジョー・プライス・コレクションがあったからこそだ。  2023年に夫妻は相次いでこの世を去った。だが、彼らの意志は受け継がれていく。(ぴ) (11字×76行) *小学館文庫 本体690円+税 本 おすすめBOOK 死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで 雨宮処凛 著  「働けなくなったら」「お金がなくなったら」「親の介護が必要になったら」…。アラフィフ世代にとって、これらの不安は現実的な問題。頼る人がいなければ、どうする?はたまた自らの死後、大切なペットは?スマホやサブスクの解約は?そんなこと考えたことなかったなぁと手に取ったのが本書。  著者が長年培ってきた「生きていくための知恵」を惜しみなく公開。独り身でお金に困っている人から散骨まで、さまざまなテーマをカバーし、社会保障を使いこなすコツや各種困り事の相談先など、具体的なサバイバル術が満載だ。  著者自身の経験を交えながら、社会保障制度の現状、労働者の権利、そして自分自身でできることを具体的に解説する。単なるハウツー本というより、人生の窮地で取り出したい巻物だ。(T) (11字×31行) *光文社新書 本体900円+税 #13 食べもの 暮らしの中の魚(170) マダイ  マダイは季節によって呼び名がの変わる風情のある魚です。春は産卵にそなえて栄養を蓄えてうま味が増し、婚姻色が出てピンク色を帯びてきます。これを桜の花に例えて桜鯛(さくらだい)と呼んでいます。  初夏は産卵を終えて痩せ、味の落ちる時期で、麦の収穫期に当たることから麦わら鯛(だい)と呼びます。瀬戸内海に比べて産卵が遅れる福井県に行くと、麦わら鯛はおいしいマダイの代名詞ですから、同じ呼び名でも地域によって評価は対照的です。  夏場はエビやカニなどを餌に体力を徐々に回復させ、10月頃からは脂がのり、体の色に赤みが増すことから紅葉鯛(もみじだい)と呼ばれます。桜鯛が表の旬であれば、紅葉鯛は裏の旬といえるのです。  瀬戸内海の東部はマダイの名産地が多いことでも有名です。淡路島は天然の魚礁と呼ぶにふさわしく、明石海峡、紀淡海峡、鳴門海峡という潮の流れの速い海域があり、身の引き締まったマダイが水揚げされます。海峡付近の岩場では釣り漁法が発達し、周辺の砂地では底引き網で水揚げされています。明石や淡路島に行くとマダイのいるところに狙いを定め、網で掬(すく)いとるようにして捕獲する「ごち網」という伝統漁法も行われています。  残暑もようやく落ち着き食欲の秋の訪れです。この時季には紅葉鯛を堪能しましょう。  型のよい新鮮なものはお造りが一番。朝に活〆(いけじめ)にされたマダイは夕方にうま味を増して食べ頃となります。造り身を醤油(しょうゆ)につけるとさらっとした軽い脂が広がるような魚がおいしいのです。皮は軽く湯引きにして酢の物に。  頭やかまは酒蒸しがおすすめです。粗塩をしっかり振って40分置き、水で塩を洗った後、熱湯をかけてウロコや血を洗い流します。フライパンに昆布を敷き、魚を入れて塩を満遍なく振り、日本酒をひたひたになるくらい注ぎます。落とし蓋(ふた)をし、さらに蓋をして中火で加熱、沸騰すれば弱火にして10〜15分煮るとできあがりです。火を止める前にキクナを入れて器に盛付け、スダチやカボスを振りかけて食べると至福のひと時がやってきます。 (11字×76行) *マダイはアラからも良いだしが出るのでお吸い物やあら炊きなどに活用し、余すところなく食べましょう エッセイ いつもランラン(334) 不安定な世の中で  石破茂は自民党総裁に選ばれた途端、それまでの言葉を翻し、総理に就任してもいないのに解散総選挙を公言した。イスラエルはガザ地区の死者が4万人を超えても停戦しないばかりか、レバノン・ヒズボラへ攻撃を開始した。ウクライナ情勢も厳しいままで、いまだ解決の糸口すら見えない。  TVでこんなニュースを見るたびに不安な気持ちになる。党利党略しか考えない政治家ばかりが国会を牛耳るこの国の行く末はもちろん、全ての国を巻き込む第三次世界大戦前夜のような、昨今の世界情勢に。  そんな中届いたうれしい知らせ。それが袴田巌さんの無罪確定であり、日本被団協のノーベル平和賞受賞だ。特に前者では、あまりにも長い時間がかかったとはいえ、ようやく冤罪(えんざい)を晴らし、検察が提出した証拠を捏造(ねつぞう)と認定した判決に司法の良心を見た気がした。そしてこれまで、本当に三権分立かと疑いたくなる判決が多かった司法を、もう一度信じてもいいような気持ちにもなった。  さて、衆院選の投票日が近づいている。「自分の一票では何も変わらない」という人もいるが、本当にそうか。たとえ一票でもその投票が不安な世の中を変える一歩となるはず。その手段を手放すべきではない。(ぴ) (11字×46行) #14 映画 オン・ザ・ロード 〜不屈の男、金大中〜 2024年/韓国/2時間9分/ドキュメンタリー/監督:ミン・ファンギ/日本語版編集:平野一樹/日本版ナレーション:ソウジ・アライ/配給:スモモ 信念貫いた政治家 金大中の人生  金大中(キム・デジュン)韓国15代大統領の、民主化に取り組んだ軌跡を描いたドキュメンタリー映画『オン・ザ・ロード 〜不屈の男、金大中〜』が、生誕100周年を記念してが制作された。  日本の植民地時代に生まれ、木浦で青年実業家として成功していた金大中が政治家になろうと思った。その理由として語ったのが、「朝鮮戦争で死ぬ寸前だったのだから死んだと思って独裁と戦おう、政治をやろうと決心しました」。  死んだと思って闘い始めた金大中に、その後、本当に死の危険が何度も迫る。日本のホテルで拉致された事件でも、まずホテルで殺されそうになった。だがその近くに人がいたため中止に。その後、クロロホルムを嗅がされ神戸のアジトから工作船に乗せられた。そして、甲板から海に投げ込まれそうになるが、そこに事件を察知した日本の海上保安庁の船が駆けつけたため工作船は釜山まで逃亡した。結局、殺害を断念した実行犯はソウルの自宅前に金大中を放置した。この事件一つとっても「危機一髪」が何度あったことか。あまりにもスリリングだ。  「落選専門家」といわれるほど選挙に落ち続け、何度も危険な目に遭うことになった金大中。だがそれでもあきらめず信念を貫き通せたのはなぜだろう。あきらかな嘘(うそ)を平気で口にし、手のひらを返したような発言を繰り返す人が多い今の世の中、しっかり考えたい。  金大中が演説しているシーンが数多く映しだされる。どの会場にも、ものすごい数の人が集まり鳥肌がたつ。お年寄りが「うちの大中 うちの大中」と、こぞって演説を聞きに来る。サインを求めて1000人もの人が並ぶ。「私は命を差し出してでも皆さんの味方です」という金大中の思いや信念が人々に伝わり、受け入れられている証だろう。  「光州事件」が起こり、内乱陰謀事件とされた。金大中はその首謀者として死刑判決を受けた。だがその後無期懲役に減刑、そして米国に出国をうながされた。3年後、強行に帰国。光州(クァンジュ)を訪問するが、その途中の停車駅には人があふれ、線路脇にも人が押し寄せている。到着した光州の会場(墓地)で、涙が止まらない金大中の様子が記録されている。感動的なシーンだ。  大統領への道がまだまだ先だった頃、発した言葉。勇気を持って信念をあきらめず、「民主化は国民の力で実現するものであって暗殺によってなされるべきではない」。それを貫き、ねばり強く民主主義を追求し続けた姿は韓国史、東アジア史そのものではないか。  今度は、常に横にいる李姫鎬(イ・ヒホ)さんの目線で描かれた金大中を見てみたい。 岡野万里子 ▼公開日程/<大阪>11月23日(土)〜第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>11月29日(金)〜京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>12月14日(土)〜、元町映画館TEL078(366)2636 (11字×109行) *民主主義の実現をめざし、命の危機も顧みず突き進んだ金大中。その生き様がスクリーンに映し出される *(C)2024 MYUNGFILMS & CINEMA6411 ALL RIGHTS RESERVED #15 映画 拳(けん)と祈り −袴田巌の生涯− 2024年/日本/2時間39分/ドキュメンタリー/監督・撮影・編集:笠井千晶/出演:袴田巌、袴田秀子/ナレーター:中本修、棚橋真典/配給:太秦 無実への闘いの日々 その生涯の記録  本作は10月9日に冤罪(えんざい)が晴れて、無罪が確定した元死刑囚、袴田巌の生涯を追うドキュメンタリーである。まさに時宜にかなった公開といえよう。  冒頭、袴田が警官から逮捕状を読み上げられる声が流れる。袴田巌30歳。彼は観念したかのように投げやりな応答をして、逮捕状を「能書き」だと吐き捨てるように言う。「犯人でない者を犯人にした」とも。  そして47年7カ月後の場面へと飛ぶ。2014年に再審開始が決定され、彼は釈放されたのであった。しかし、完全無罪が確定するまでそこからさらに10年の年月が必要だった。  笠井千晶監督は地元テレビ局のディレクターとして袴田事件の取材を始めた2002年から22年間、カメラを回し続けてきた。弟の無実を信じて支援のためだけに生涯を捧げてきたような姉・袴田秀子の密着取材をはじめとして、知られざる舞台裏が次々と画面に現れる。  一審の死刑判決を書いた裁判官・熊本典道が2007年になって「袴田巌は無実である」と告白して世間を驚かせた、その場面だけではなく、熊本元裁判官が袴田に面会を求めて拘置所へ赴く場面もカメラは捉えている。熊本裁判官は袴田事件で意に反して死刑判決文を書いたことに耐えられず、判決の7カ月後には裁判官を辞めていた。この後彼が酒浸りになって苦悩する日々は、映画「BOX 袴田事件 命とは」(高橋伴明監督、2015年)というドラマとして映画化されている。  そしてこのたびのドキュメンタリーでは、事件や裁判の経過は最小限に控えられ、袴田巌の生涯を振り返り記録することに重点が置かれている。彼がボクサーとして生きた青年時代の写真や証言によってその人生を彫り進め、2014年の釈放後は、姉秀子との日常生活に迫る。袴田は拘禁反応と呼ばれる精神疾患により自らを神と呼ぶなど、意思の疎通ができない部分もあるが、その後も再審のための闘いを続けていく。  彼は死刑囚というスティグマによってしか語られないことが多いが、ボクサーとしての夢を育てていたこともこの映画ではしっかり描かれている。袴田の、ありえたはずの生涯へも心を馳(は)せる力作である。  冤罪という権力犯罪の罪深さに暗澹(あんたん)たる思いが募るが、カメラがついに回るのをやめる時が来たことを私たちは知っている。劇場公開に合わせて、映画の最後に「袴田さんの無罪確定」というテロップが追加されるのだ。その文字が読めることを励みに映画館へ行こう。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館)館長 谷合佳代子 ▼公開日程/<大阪>10月26日(土)〜第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>10月25日(金)〜京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>11月9日(土)〜、元町映画館TEL078(366)2636、他 (11字×107行) *プロボクサーだった袴田さんが逮捕されたのは30歳の時。その日から58年間、闘いの日々を過ごした *(C)Rain field Production #16 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> オン・ザ・ロード 〜不屈の男、金大中〜 ▼2024年/韓国/2時間9分/ドキュメンタリー/監督:ミン・ファンギ/日本語版編集:平野一樹/日本版ナレーション:ソウジ・アライ/配給:スモモ▼公開日程/<大阪>11月23日(土)〜、<京都>11月29日(金)〜、<兵庫>12月14日(土)〜 信念貫いた政治家 金大中の人生  生誕100周年を記念して制作されたドキュメンタリー映画『オン・ザ・ロード〜不屈の男、金大中〜』は、金大中(キム・デジュン)韓国15代大統領が民主化に取り組んだ軌跡を描く。  木浦で青年実業家として成功していた金大中だったが、「朝鮮戦争で死ぬ寸前だったのだから死んだと思って政治をやろうと決心した」。そして闘い始めた金大中に迫る死の危機。例えば日本での拉致事件だ。そのときも殺されそうになったが、すんでのところで邪魔が入り、実行犯たちは殺害を断念した。  選挙に落ち続け、何度も死の危険に遭いながらも信念を貫き通した金大中。彼が演説する会場には、常にものすごい数の人が集まってくる。そして、サインを求めて延々と並ぶ人々。「命を差し出してでも皆さんの味方です」という金大中の思いが、彼らに受け入れられている証だろう。  「民主化は国民の力で実現するものであって暗殺によってなされるべきではない」という自らの言葉を貫き、ねばり強く民主主義を追求した金大中。その姿は韓国史、東アジア史そのものではないか。  常にそばにいる李姫香鎬さんの目線で描かれた金大中も見てみたい。 岡野万里子 (11字×45行) *民主主義の実現をめざし、命の危機も顧みず突き進んだ金大中。その生き様がスクリーンに映し出される *(C)2024 MYUNGFILMS & CINEMA6411 ALL RIGHTS RESERVED 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 拳(けん)と祈り −袴田巌の生涯− 2024年/日本/2時間39分/ドキュメンタリー/監督・撮影・編集:笠井千晶/出演:袴田巌、袴田秀子/ナレーター:中本修、棚橋真典/配給:太秦▼公開日程/<大阪>10月26日(土)〜、<京都>10月25日(金)〜<兵庫>11月9日(土)〜 無実への闘いの日々 その生涯の記録  10月9日に冤罪(えんざい)が晴れて無罪が確定した元死刑囚、袴田巌の88年の生涯を追うドキュメンタリー。まさに時宜にかなった公開といえよう。  冒頭、袴田が警官から逮捕状を読み上げられる声が流れる。そして47年7カ月後の場面へと飛ぶ。2014年に再審開始が決定され、彼は釈放されたのであった。しかし、完全無罪が確定するまでそこからさらに10年の年月が必要だった。  笠井千晶監督は地元テレビ局のディレクターとして袴田事件の取材を始めた2002年から22年間、カメラを回し続けてきた。弟の無実を信じて決してあきらめない姉・袴田秀子の密着取材をはじめとして、知られざる舞台裏が次々と画面に現れる。  一審の死刑判決を書いた裁判官・熊本典道が、病を得た姿で袴田に詫(わ)びる場面は胸に迫るものがある。タイトルの「拳」はケンと読ませる。本作は裁判経過の説明を最小限に控えて、袴田巌のボクサーとしての夢や日常生活を描くことに比重を置いている。「死刑囚」というスティグマによってしか語られないことの多い袴田の、ありえたはずの生涯へも心を馳(は)せる力作である。 エル・ライブラリー館長 谷合佳代子 (11字×45行) *プロボクサーだった袴田さんが逮捕されたのは30歳の時。その日から58年間、闘いの日々を過ごした *(C)Rain field Production #17 パズル クロスワードパズル <タテのカギ> 1 現金を送るため特別の扱いをする郵便 2 都道府◯◯ 3 販売すること・売り上げ 4 花が開くこと 5 ミート 6 戸びら 7 集会が終わり、集まっていた人の行動が自由になること 8 植物を植えて育てる鉢 9 悪だくみの仲間・共謀者 10 カルチャー 11 スノー 12 肉体的、精神的に多くの労力を使うこと 13 トゥモロー <ヨコのカギ> 1 アメーバやゾウリムシなど 7 河馬 14 元素記号Zn 15 きのこ・かび・酵母などの総称 16 ある事を行うため、計画を立てること 17 熱い汁を掛けただけのそば 18 ふところやポケットの中 19 金で作られた硬貨 20 野球、ソフトボールなどの回 21 はっきりしていて確かなこと 22 明るさの単位 *■AからHまでの文字をならびかえると… *■答えは「エンゲルケイスウ」 情報 リニューアルオープン 大阪・科学館で企画展  大阪市立科学館が、8月のリニューアルを記念した企画展「日本の科学館は大阪から」を11月24日まで開いている。  大阪市立科学館の前身は、1937年に開館した大阪市立電気科学館だ。東洋初のプラネタリウムを設置し、瞬く間に人気の施設となった。それから87年。1989年にバトンを受け継いだ現科学館は、当初からのコンセプト、プラネタリウムや体験展示で科学をわかりやすく紹介するという日本初のそれを踏襲し運営を続けている。  企画展では電気科学館開館当時のパンフレットや入館チケットなど、科学館が所蔵する貴重な資料を展示し、87年の歩みを振り返るとともに、リニューアルした展示場や新たな活動を紹介する。 ▼会期/11月24日(日)まで▼会場/大阪市立科学館(大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅3号出口から西へ約500b、京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ約400b)▼開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日(祝休日の場合は翌日)▼入館料/大人400円、高・大学生300円、中学生以下無料▼問い合わせ/TEL06(6444)5656 URL:https://www.sci-museum.jp/ (11字×45行) #18 情報 シネマはやっぱりおもしろい −11月公開の映画− アイミタガイ  何気ない日常の中にある「相身互い」。その助け合いの思いは巡り巡っていつか自分の元へと戻ってくる。人のつながりと不思議な縁を感じる作品が誕生した。  梓と叶海は中学生時代からの親友だ。梓はウェディングプランナーとして名古屋で働き、叶海は大阪を拠点に活躍するカメラマンとなった。ある日、叶海が帰省し、久しぶりに会った梓はつい愚痴をこぼす。それを受け止め、彼女を応援する叶海。互いを思う気持ちは昔のままだった。  だがそんな叶海が事故で亡くなった。二人で会った直後、撮影で行ったパプアニューギニアでのことだった。突然の出来事を受け止めきれない梓は、叶海が生きていたときと同様、たわいもないメッセージを日々送り続ける。  叶海の死を受け入れられないのは彼女の両親も同じだ。四十九日を終えても遺品の整理もスマホの解約もできないままだった。そして見つけたのがスマホに送られてくるメッセージだ。  梓にとって叶海は心の支えだった。転校した中学校でいじめられていたとき、助け出してくれたのは叶海だ。そして親友となり互いを思い合って生きてきた。その彼女を失った悲しみはあまりにも大きく、梓は立ち直れない。  だが、そんな梓を支えたいと願う人物がいた。それが梓の恋人、澄人。そして、そのためには二人の関係をもう一歩進めなければと考えていたのだが…。  美しい映像で描かれるやさしい物語。映画が終わる頃には温かい気持ちで満たされるだろう。 ▼2024年/日本/1時間45分/原作:中條てい『アイミタガイ』(幻冬舎文庫)/監督・脚本:草野翔吾/出演:黒木華(梓)、藤間爽子(叶海)、中村蒼(澄人)/配給:ショウゲート▼公開日/11月1日(金)ロードショー▼上映館/<大阪>TOHOシネマズ梅田TEL050(6868)5022、他、<京都>TOHOシネマズ二条TEL050(6868)5035、他、<兵庫>OSシネマズミント神戸TEL078(291)5330、他 (11字×77行) *(C)2024「アイミタガイ」製作委員会 #19 情報 アートが好き 開催中とこれからの展覧会 第76回正倉院展 ▼会期/10月26日(土)〜11月11日(月)▼会場/奈良国立博物館(「近鉄奈良」駅から登大路を東へ徒歩約15分)▼開館時間/8時〜18時、ただし金・土・日曜日、祝日は20時閉館(入館は閉館の60分前まで)▼会期中無休▼観覧料(事前予約制・要「日時指定券」購入)/一般2000円、高・大学生1500円、小・中学生500円、障害者手帳をお持ちの方(介護者1人を含む)は無料、〈レイト割〉一般1500円、高・大学生1000円、小・中学生無料、詳細はHPを▼TEL050(5542)8600、HP:https://shosoin-ten.jp (11字×23行) *南倉 《黄金瑠璃鈿背十二稜鏡》 特別展「今井祝雄―長い未来をひきつれて」 ▼会期/11月17日(日)まで▼会場/芦屋市立美術博物館(阪神「芦屋」駅から南東へ徒歩約15分、阪急「芦屋川」駅から阪急バス「新浜町」行きに乗車、「緑町」下車3分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし11月4日は開館、翌日休館▼観覧料/一般900円、高・大学生500円、中学生以下無料、65歳以上・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者を含む)は各当日料金の半額、*11月9日、10日はあしやつくるば開催のため観覧無料▼TEL0797(38)5432 (11字×21行) *今井祝雄 《Red Light-L》より 1976年 ゼラチンシルバー・プリントに一部手彩色 作家蔵 生誕100年記念「人間国宝 志村ふくみ 色と言葉のつむぎおり」 ▼会期/11月17日(日)まで▼会場/滋賀県立美術館(JR琵琶湖線「瀬田」駅からバス「大学病院」行き乗車、「県立図書館・美術館前」または「文化ゾーン前」下車、徒歩約5分)▼開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし祝休日の場合は開館、翌日休館▼観覧料/一般1200円、高・大学生800円、小・中学生600円、障害者手帳などをお持ちの方は無料▼TEL077(543)2111 (11字×18行) *志村ふくみ 《梔子熨斗目》 1970年 滋賀県立美術館蔵 特別展「法華経絵巻と千年の祈り」 ▼会期/11月24日(日)まで▼会場/中之島香雪美術館(京阪中之島線「渡辺橋」駅12番出口、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口直結、中之島フェスティバルタワー・ウエスト4F)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼夜間特別開館/10月31日、11月19日〜22日は19時半閉館(入館は19時まで)▼休館日/月曜日(祝・休日の場合は翌日)▼入館料/一般1700円、高・大学生1000円、小・中学生500円▼TEL06(6210)3766 (11字×19行) *平家納経模本(益田本)のうち寿量品 大正〜昭和時代 東京国立博物館蔵<後期展示> 「漆芸礼讃―漆工・三砂良哉―」 ▼会期/11月24日(日)まで▼会場/逸翁美術館(阪急宝塚線「池田」駅から北へ徒歩約10分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし11月4日は開館、翌日休館)▼入館料/一般1000円、高・大学生800円、中学生以下無料▼TEL072(751)3865 (11字×13行) *三砂良哉 《黒地百合蒔絵螺鈿中次》1951(昭26)年 阪急文化財団蔵 秋季特別展「眷属」 ▼会期/11月24日(日)まで▼会場/龍谷大学 龍谷ミュージアム(JR・近鉄・地下鉄烏丸線「京都」駅から徒歩約12分、西本願寺前)▼開館時間/10時〜17時、10月25日は20時閉館(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし11月4日は開館、翌日休館▼入館料/一般1600円、高・大学生900円、小・中学生500円、障害者手帳などを提示の方(介護者1人を含む)は無料▼TEL075(351)2500 (11字×18行) *二十八部衆立像のうち《迦楼羅王立像》 木造古色 鎌倉時代 奈良国立博物館蔵 画像提供:奈良国立博物館 #20 データウォッチング 本を読まなくなった日本人 スマホ動画の普及が原因か  読書離れが加速。文化庁の「国語に関する世論調査」の結果、1カ月に1冊も本を読まない人が6割を超えたとわかった。これまで「本を読まないのは二人に一人」と言われていたが、それ以上の実態に関係者も驚く。  文化庁はその要因として、「動画などのアプリの多様化でスマホの利用頻度が高まり、読書の時間に取って代わった」と推測する。  このままでは国語力の養成に影響が出かねない。読書環境の整備を。 (11字×18行) *2024年9月18日毎日新聞