2024年 編集サービス 6.20 #2 社会 8月1日は「水の日」 「水は公共性」、限りある「水」について考えよう 全日本水道労働組合近畿東海地方本部 書記長 塚本法章  毎年、8月1日は「水の日」、8月1日〜7日は「水の週間」です。  水資源の有限性、水の貴重さや水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるため、1977年5月31日の閣議了解により政府が「水の日」を定めました。さらに、わたしたち全水道が「水道の公共性」などを長年、法整備の中で求めてきた成果でもある水循環基本法が2014年に施行され、法律で定められた「水の日」となりました。  水循環基本法第10条には、1.国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、水の日を設ける。2.水の日は八月一日とする。3.国及び地方公共団体は、水の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。とあります。  8月は年間を通じてもっとも水の使用量が多く、水についての関心が高まる時期、この「水の週間」には東京での中央行事をはじめ、ポスターの掲示や講演会などの行事が、地方公共団体やその他関係団体の緊密な協力のもと全国的に実施されます。 「水の日」制定の 背景とは  「水の日」制定の背景には、日本は豊かな水資源に恵まれている一方で、一部地域で水不足や水質汚染の問題も発生しており、水資源の適切な管理と保全が必要との認識が高まったことがあります。  また、国際連合も1980年代から1980年代にかけて持続可能な開発の一環として水資源の保護と管理に関する取り組みを強化しました。それに日本も呼応する形で、水の重要性への国民の理解を深め、日常生活や産業活動における水の使い方を見直す機会を提供することを目的として国内の水資源保全活動を推進しました。  海洋、湖、川などの水は、太陽の熱や植物によって蒸発し大気中に上昇します。上昇した水蒸気が雲を形成し、雨や雪、ひょうとなって地上に降り注ぎ、土壌や岩盤に浸透します。それが地下水となり、また地表を流れて河川や湖に到達し、最終的に海へと戻ります。  このように、地球上の水は大気、陸地、海洋などを通じて絶えず移動し、形態を変えながら循環しています。この自然のプロセスが水循環であり、地球上の水資源を維持し、あらゆる生命を支えるために不可欠となります。 生命の水を 守るために  わたしたち全水道は、1957年に成立した水道法において制定された「清浄・豊富・低廉」という三つの目的を柱に「水の公共性」を訴え、水循環を維持し、市民の生命(いのち)の水を守る取り組みを社会に問い続けてきました。しかし、2018年に成立した改正水道法により政府は水道の民営化へと向かっています。  2024年4月に水道行政はこれまでの厚生労働省から国土交通省へと移管されました。政府が新たに打ち出した「ウォーターPPP」では水道事業の官民連携を強く推進しています。安易な官民連携は、水道の安全と水道事業の安定を脅かし、市民生活を危機にさらす可能性があります。  水道行政を強化し、社会的基盤としての水道を守り発展させていくためには、水循環基本法の理念に掲げる「水の公共性」を十分考慮し、幅広い視点での検討が必要です。 (11字×116行) *●写真は昨年の「水の日・水週間」ポスター ミニ情報 地元が生んだおいしい味・郷土料理 <岡山県・ままかり寿司>  ニシン科の魚であるサッパを開いて酢漬けしたものの名前が“ママカリ”だ。それがいまでは、魚自体をそう呼ぶことに。この名前、「あまりにおいしいのでママ(ごはん)が足りなくなり、隣からママを借りてきた」のが由来だという。ままかり寿司は、文字通りママカリ使ったにぎり寿司。岡山では祭やお祝い事などのハレの日に欠かせない郷土料理、家庭料理として伝えられてきた。しかし、現在では飲食店が作って提供するのが普通となった。このママカリ、寿司以外にも刺身や塩焼きなどで食べてもおいしいことから、この地方では旬の10月頃になると、ママカリ釣りに海岸に出かける人が増えるとか。 #3 労働ニュース 公的年金への関心 自分の受け取り額  連合は5月14日、年金に関する調査2024の結果を公表した。  公的年金制度に対して関心が高い項目を聞くと「自分が老後にいくら受け取れるか(55・5%)」が最も高く、「自分が何歳から年金を受け取れるか(28・7%)」、「自分が死亡した場合、家族がいくら受け取れるか(20・2%)」、「自分が障がい状態になった場合にいくら受け取れるか(16・8%)」と続いた。また、「関心がない」は26・8%だった。  高齢期に老齢年金として月にどれくらい受給したいと思うか聞くと「10万〜19万円(42・4%)」が最も多く、「20万〜29万円(30%)」にも回答が集まった。平均は19・5万円だった。  公的年金制度に感じることを聞くと「年金がもらえない、減るかもしれないことが不安(51・4%)」が最も高く、「保険料負担が今後増えるかもしれないことが不安(33・6%)」、「制度が複雑すぎてわからない(31・8%)」、「ライフスタイルや世帯構成に中立的ではない(16・5%)」と続いた。 (11字×39行) 夏ボーナス、理想と現実にギャップ  潟}イナビは6月6日、2024年夏ボーナスと転職に関する調査の結果を公表した。  賞与が少ないことを理由に転職をしたことがある人は49・2%で、転職理由となった賞与の平均額は28・3万円だった。  前年夏の賞与額は平均50・1万円で、今年予想される夏の賞与額は平均51・8万円。だが、自分の仕事に見合う理想の賞与額は平均94・8万円となり、予想と理想の賞与の差は43・0万円だった。また、今年の夏ボーナスに「賃上げの機運を感じているか」を聞いたところ、62・2%が「今回の夏ボーナスに賃上げの機運は感じていない」と答えた。  前年夏の賞与額に納得感があるかを聞くと、51・6%が「そう思わない」と回答するなど、半数以上は賞与額に納得していないことがわかる。  賞与への納得感がない理由は「世間一般の平均額に遠く及ばない」、「全員が一律の金額だから」など金額への不満のほか、「賞与額の計算方法の周知がされていない」など算定基準が不明瞭なため自身の成績が金額に反映されていないように感じるという回答が目立った。 (11字×42行) 令和5年の労災 死亡者数が過去最少  厚生労働省は5月27日、令和5年の労働災害発生状況を公表した。  令和5年1月から12月までの労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となった。業種別では、建設業が223人(前年比58人、20・6%減)、製造業が138人(同2人、1・4%減)、陸上貨物運送事業が110人(同20人、22・2%増)となった。事故の型別では、「墜落・転落」が204人(前年比30人、12・8%減)、「交通事項(道路)」が148人(同19人、14・7%増)、「はさまれ・巻き込まれ」108人(同7人、6・1%減)だった。  休業4日以上の死傷者数は13万5371人(前年比3016人増)と3年連続で増加した。業種別では、製造業2万7194人(対前年比500人、1・9%増)、商業2万1673人(同29人、0・1%減)、保健衛生業1万8786人(同1549人、9・0%増)。事故の型別では、「転倒」が3万6058人(前年比763人、2・2%増)、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が2万2053人(同1174人、5・6%増)、「墜落・転落」が2万758人(同138人、0・7%増)となった。 (11字×43行) サービス業のカスハラ 2年で約10%減少  UAゼンセンは6月5日、カスタマーハラスメント対策アンケート調査結果を公表した。サービス業に従事している組合員を対象に3万3133件の回答をまとめた。  カスタマーハラスメント被害にあった方の割合は46・8%で、2020年と比べて9・9ポイント減少した。  最も印象に残っている顧客からの迷惑行為について聞くと、2020年同様「暴言(39・8%)」「威嚇・脅迫(14・77%)」「同じ内容を繰り返すクレーム(13・8%)」で半数以上を占めた。また「長時間の拘束(11・1%)」「セクハラ被害(3・7%)」「SNS・インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷(0・8%)」が増加した。  迷惑行為のきっかけとなった具体的な理由を聞くと、2020年同様「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ(26・7%)」「わからない(17・3%)」「消費者の勘違い(15・1%)」で半数以上を占めた。  企業で実施されている迷惑行為への対策を聞くと「マニュアルの整備(28・6%)」「専門部署の設置(23・4%)」「迷惑行為対策への教育(21・0%)」「被害者へのケア(9・2%)」などの取り組みが見られたが「特に対策はなされていない(42・2%)」が最も多かった。 (11字×45行) #4 労働安全衛生 数える労働安全衛生(190) 労働者の認識は2割? ストレスチェックによる職場改善  自殺者の数が目立って増加したのは2010年頃だった。統計数値が3万人を超える状態がその後10年以上続く。  その増加部分の多くを働き盛りの男性が占めるという状況から、職場のメンタル不調対策が急務であるとされた。その結果として法制化されたのが、2015年12月に施行されたストレスチェック制度だ。  自らの置かれているストレスの状況を労働者自らが把握するとともに、職場ごとに分析をして結果にもとづき対策につなげる。メンタル不調の元となる職場のストレスを改善する第一次予防として、効果が期待されている。  制度が義務をなってすでに10年近くたつが効果はどうだろう。  たしかに法令が実施を期待する調査結果の集団分析は、多くの職場で実施されているのだが、職場環境改善につながっているかというと難しいようだ。  集団分析を実施した事業場のうち、5〜6割が職場環境改善を実施したと答えているが、所属する労働者が改善されたと認識している割合はなんと2割以下で、「ない」「分からない」が8割を占めていたという(2021年厚労省調査結果)。半面、職場環境改善があったと労働者が認識している事業場では、「効果があった」という答えが8割だった。 データを活用してストレス対策につなげる取り組みが実施されたらその効果は明らかだが、そうでなければ意味がないというわけだ。  とくに小規模な事業場など、地域の専門機関の援助を受けるなど対策強化が不可欠だ。 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸 (10字×65行) 情報 京都国立近代美術館「倉俣史朗のデザイン」 語りかけるデザイン  6枚の板ガラスを組み合わせた《硝子(ガラス)の椅子》。透明でシンプルなのに人を引きつけてやまない。赤いバラの造花を封入したアクリルブロックの椅子、《ミス・ブランチ》もまた。  これらは家具やインテリアのデザイナーとして名声を博した倉俣史朗(1934〜91)の代表作だ。そんな彼の作品と資料、約200点が一堂に会する回顧展「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」が京都国立近代美術館で開かれている。  デザイナーとして歩きだした初期から絶頂期へと進んでいく過程を作品を通して見せる展示構成だ。観客は一本のスプリングが足となった《スプリングの椅子》やS字にカーブした《変形の家具 Side1》などに驚き、全体がスケルトンの《プラスチックの家具、洋服ダンス》に浮遊感と未来性を感じるだろう。  高度成長期という時代、大都会・東京に寄り添いながら独自のデザインを追究してきた倉俣史朗。その素顔が垣間見える夢日記や書簡などの資料も必見だ。  国際的に実力が認められ、ますますの活躍が期待されていた1991年、倉俣史朗は56歳で急逝した。会場を訪れた人はその才能を惜しみ、次に生まれてくるはずだった作品たちに思いをはせるだろう。 ▼会期/8月18日(日)まで▼会場/京都国立近代美術館(京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ)▼開館時間/10時〜18時、金曜日は20時閉館(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は開館、翌火曜日休館▼観覧料/一般1700円、大学生1100円、高校生600円、中学生以下・心身に障がいのある方(付添者1人含む)無料(要証明)▼TEL075(761)4111(11字×66行) *赤いバラが浮遊しているように見える椅子、《ミス・ブランチ》は倉俣の代表作だ。会場に透明な存在感が広がる #5 コラム ニュースな暮らし(61) 「蛍の名所」に取り組む スポーツ公園  雨が早朝から降っていたが、夕暮れ時には上がった。こんな日はよく飛んでいると思い、近所の丘の上にあるスポーツ公園に蛍狩りにでかけた。  敷地の奥には、整備される前の森林、草むらが残されている。そこを流れる小川から池のあたりまでの200メートル区間をゆっくり歩く。薄暗いなかで、葉に止まったり水辺の上を飛ぶ蛍火が見え始めた。ゾーンごとに十数匹ずつ光を点滅させながら乱舞していた。  この蛍は、施設の管理者がゲンジボタルの幼虫と、餌になるカワニナを6年前から放流し育てている。一昨年は三十数匹、それが倍倍と増え今年は131匹までカウントできた。ここ数年、大学の先生を講師に「観察会」も開かれている。今年は蛍の数の7倍を超える950人が参加した。  私が訪れた日は、10人ほどが鑑賞していた。飛んでいる蛍にそっと手を差し出すと、私の指先に止まってきた蛍がいた。薬指の先で淡い黄緑色を発光している。なかなか手から離れない。大きく腕を振ると、すーっと渓流の方に飛び去って行った。つかの間メルヘンな気分を味わった。  「蛍の名所」にしたいというこの公園のふもとは、近郊農業の田んぼが広がる地域だった。以前住んでいた人は「40年前は5月になると家の前の川をたくさんの蛍が飛んでいたよ」と。その後、宅地開発などで徐々に姿を消したそうだ。  雀(スズメ)の涙ほどの減税に「恩恵」を感じろと、給与明細に減税額の明記を義務付けた総理。初夏の風物詩を堪能できた「恩恵」に感謝し帰路に着いたが、公園管理者は環境保全に努めていると声高に叫んだりしていない。 浜床たかし (11字×61行) 労働コラム 労基法でよもやま話(39) 父は亡くなったとうそ。内定は? 《質問》採用面接で、詳しく家庭のことを聞かれ、心ならずも父親は母親と離婚して別居し、再婚しているのに、亡くなっているという虚偽の答えをしてしまいました。これが発覚すると内定取消になるのでしょうか。 《回答》(前略)結論 採用面接時に父親について聞かれて虚偽の回答をしたとしても、そのことはその応募者の労働者としての適性や能力には関係のないことは明らかであり、その意味でそのこと自体で採用内定の取消は認められないと考えられます。また、そもそも、父親について採用面接で聞くことが適切ではないという点からみても、仮にその回答が事実でなかったとしても、より一層、そのことをもって採用内定の取消をすることはできないということは明らかであると考えられます。 (厚生労働省サイト「確かめよう労働条件」)  日経新聞の名物連載「私の履歴書」を読んでいると父が戦死して「片親」のため、心ならずも就職先を変更したという話をたびたび目にします。しかし、今はもう2020年代。婚姻した夫婦の3組に1組は離婚するという時代だというのに、いまだに離婚後別居して再婚している父がいるのを採用面接で話すのがためらわれるということに驚かされます。  採用面接は、応募者が労働を提供するのにふさわしい適性や能力を持っているかを見極めるために行われます。また、内定を取り消すというのは相当に重大な事由がある場合に限られるとされています。  回答にもあるとおり、質問者の虚偽は直接には仕事に関係のないことですし、特に重大な内容とも言えないので内定を取り消すことはできないでしょう。  厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、採用で配慮すべきこととして家族や家庭環境に関することを面接で聞くことをあげています。そもそも家庭のことを面接で聞くことが不適切なのです。面接はビジネスライクに仕事に関連することのみに徹してほしいものです。 大阪産業労働資料館エル・ライブラリー 千本沢子 (11字×78行) #6 社会 スキマバイト小咄(3) バックヤードの実態は  タイミーで多い募集のひとつが、飲食店のバックヤード。とくにファミリーレストランや牛丼チェーン店などの皿洗いには、年齢層が高めの男女も多く就業していました。  私も皿洗いの現場は好きでした。どの現場も食洗機を使っているので、作業の段取りは変わりません。誰とも話さず黙々と食洗機に皿を突っ込み、洗い上がったら種類別にわける作業を続けていると、いつも何かを考えている私が、珍しく無心になっていたものでした。  しかし、飲食店のバックヤードに入ってみると、驚くことばかり。食材や什器(じゅうき)などの衛生管理が、店によってあまりにもまちまちなのです。  あるステーキチェーン店では、床のあちこちに外国産の食材が転がっていました(さすがに袋には入っていましたが)。食べ放題のサラダバーの中身も、新しい商品の上に古い商品をのせて補充するのですが、高校生バイトは平気で古い商品の上に新しい商品をのせていました。この店は、タイミーの扱いがひどく(店長も私と同世代のパート女性でしたが、なかなか舐(な)めた態度でした)、二度とこの店で働くことも食べることもないでしょう。  同じくパート女性が店長を務める牛丼チェーン店は、食材の衛生管理はもちろん、洗い終わった箸を、さらに消毒器に入れて殺菌していました。消毒器から出したばかりの箸の熱いこと!  ただし、洗い場の床が異常に滑りやすかった。こけないよう両足で必死に踏ん張りながら大量の丼を洗い続けていたのですが、若い男性の調理スタッフから「遅い!今の倍の速度で洗え」と叱責(しっせき)されてしまいました。コックシューズ必須の滑りやすい現場なら、募集要項にそう書いておけばいいのにと感じました。  カフェチェーン店の洗い場は、きれいに整理されていましたし、食材の衛生管理も徹底されていて、一番安心した現場でした。野菜はすべて国産で、すべての食器を消毒していました。このお店ならいろいろ安心♪と思った私は、タイミーとしてだけではなく、客としてもお店に通っています。  飲食店の皆さま、タイミーはよくお店の状態を観察していますよ! エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織 (11字×81行) 情報 兵庫県立美術館「描く人、安彦良和」 安彦良和という表現者  誰もが知っている「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインをした安彦良和。彼の創作活動に焦点をあてた展覧会「描く人、安彦良和」が兵庫県立美術館で開かれている。  本展は、クリエイターとしての基礎を形成した少年時代から青年期、そしてアニメーター、漫画家としての活躍を経て現在の創作に至るまでを振り返る回顧展だ。これまでも特定のジャンルの個展はあったが、約1400点ものマンガやアニメ作品の資料を集結させ、創作の全貌に迫る展覧会は今回が初めてだ。  1947年、北海道で生まれた安彦は、幼い頃から絵を描くことが好きで、卓越した画力はすでに中学生の頃から発揮。授業をまとめたノート「重点整理帳」には、文字での説明以上に雄弁に語るカットが描かれており、中学生とは思えないそのレベルに驚く。  その後、漫画家をめざすものの進学した大学では学生運動に参加。紆余(うよ)曲折を経てアニメーターの道へと進んだ。そして後の世代に影響を与えるアニメ作品に参加したことからカリスマアニメーターとなった。  一方、いまやライフワークと言えるのが緻密な時代考証と豊かなイマジネーションで描き出す日本の古代、近代史をテーマにした漫画だ。魅力あふれる創作はこれからも。表現者、安彦良和を見続けていたい。 ▼期間/9月1日(日)まで▼会場/兵庫県立美術館(阪神「岩屋(兵庫県立美術館前)」駅から南へ徒歩約8分)▼開館時間/10時〜18時(入場は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし7月15日と8月12日は開館、翌火曜日は休館▼観覧料/一般1900円、大学生1000円、高校生以下無料、70歳以上950円▼TEL078(262)1011 (11字×65行) *安彦良和の名を一躍有名にした「機動戦士ガンダム」。漫画と並行して今なおアニメ制作にも携わっている #7 健康 こころとからだの健康づくり(291) 疲労の回復には まず冷えの改善を  体温が下がると疲れやすく、免疫も落ちていきます。  寝ても疲れが取れない場合、体が冷えていることがあります。体は平熱が一番良い状態です。体の冷えがあると内臓などの働きが悪くなり、疲れやすく、免疫も下がっていきます。  冷えの原因は運動不足、筋肉が落ちて不足するからです。筋肉は体脂肪を燃やして体温を保ちます。運動をしないと筋肉が落ちて体温が下がりやすくなります。  運動不足の弊害はもう一つあります。筋肉は心臓を助けて、血液を全身に巡らせるポンプの役割を持っています。深部で作った熱を末端まで運ぶのは血液なのですが、筋肉が減ると血液が十分に行き渡らず末端が冷えやすくなります。  胃腸が弱くなったり、朝から元気がないのは血液の巡りが悪い状態だからかもしれません。そしてストレスがあると、自律神経の交感神経が優位に働くので、血管がさらに縮みやすくなり血流が滞り、冷えが生じやすくなります。  次の内容で自覚があれば冷え性かもしれません。 @痩せ型で下半身が細い A胃腸が弱く下痢をしやすい B疲れやすい C皮膚が青白い D入浴はシャワーで済ませることが多い E運動らしい運動をしていない F朝が弱く、起きてもぼんやりしている Gストレスが多い生活をしている  日頃の運動不足とストレスで冷えは加速します。生活の中で一つでも良いので、意識をして運動不足を解消し、冷えの改善を行ってみてください。 冷えの解消には @湯船にしっかり全身を浸ける。できない場合は手や足だけでも良いので、温めて血液を全身に巡らせましょう。 A3首を温める。手首、足首、首すじは心臓からの血液を運ぶ動脈が体表の近くを通っています。外部からの影響を受けやすいので、温めてみましょう。 B朝は白湯(さゆ)を飲みましょう。内臓を温めて働きを良くしましょう。 C浴槽入浴をするなら自然塩を入れてみましょう。自然塩には血行を促す効果が期待できます。 D生姜(しょうが)紅茶などを飲んでみましょう。発酵食品は体を温める陽性食品です。紅茶やウーロン茶、プーアル茶は茶葉を発酵させているので、陽性食品になります。紅茶などにすり下ろした生姜を入れると、体が温まる最強のホット飲料になります。  これからの季節はクーラーの中での生活が多くなり、体も冷えやすくなります。冷えると疲労も溜(た)まりやすくなるので、温活をして体調を整えておきましょう。 健康運動指導士 竹田 薫 (11字×100行) 情報 ピースおおさか ワルシャワ蜂起展  ピースおおさかでは、ワルシャワ蜂起80周年記念関連事業として特別展「ワルシャワ。灰の中から甦(よみがえ)る不死鳥」を7月14日まで開いている。これはポーランドにあるワルシャワ蜂起博物館による特別展だ。  第二次世界大戦後期の1944年、ポーランドの首都ワルシャワでレジスタンスがドイツ軍に対して武装蜂起した。それがワルシャワ蜂起だ。しかし、レジスタンスの戦いはドイツ軍に鎮圧され、ワルシャワは徹底的に破壊された。  特別展では、占領下のワルシャワの姿と、戦後、多大な戦争被害の中から不死鳥のごとく立ち上がり、現代的な大都市へと発展していった姿、そしてワルシャワ蜂起の歴史をパネルと映像で紹介している。 ▼会期/7月14日(日)まで▼会場/ピースおおさか特別展示室(大阪メトロ「森ノ宮」駅1号出口から西へ200b、JR環状線「森ノ宮」駅北出口から西へ400b)▼開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日▼入館料/一般250円、高校生150円、中学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料(要証明)▼問い合わせ/ピースおおさか(大阪国際平和センター)TEL06(6947)7208、FAX06(6943)6080 (11字×47行) #8 自然 生命の海の生きもの(53) 不老不死!? 若返り!? 「ベニクラゲ」  『不老不死』それは古来より権力者が追い求めてきた、人類の夢とも言えるものだ。フィクションの世界のものだった不老不死を、現実のものとした生物の存在が明らかになったのは1991年のこと。イタリアの研究者によるチチュウカイベニクラゲの研究論文によって、世界初の不老不死が発表された。  不老不死の話をする前に、ベニクラゲの説明をしておこう。ベニクラゲは直径4〜10_程度で、鈴のような傘の縁から触手が生えた、小さなクラゲだ。傘の中心の赤い消化器が目立つことからベニクラゲの名がついている。世界中の、温帯から熱帯にかけての暖かい海に生息し、日本周辺にも生息している。  このベニクラゲ、不老不死と言われているが、他の生きものに捕食されればもちろん死ぬ。海から出されても死ぬ。海の環境が悪化しても死ぬ。もちろんながら絶対的な不死ではない。ではなぜ不老不死と言われるかというと、「寿命による死」がないからだ。  ベニクラゲの不老不死を理解するには、クラゲの生活史を知らなければならない。クラゲの繁殖は、オスが放出した精子をメスが取り込み、受精するところから始まる。受精卵がプラヌラという幼生になると海中を泳ぎ、岩場などに着底して逆三角形に触手がついたようなポリプとなる。ポリプは生育すると三角形の部分にくびれができ、花弁が積み重なったようなストロビラになる。やがてストロビラが一枚一枚はがれてエフィラとなり、成長するとよく知るクラゲの形になる。ちなみに成体のクラゲはギリシャ神話の蛇の怪物にちなんでメデューサと呼ぶ。  普通のクラゲはこのメデューサの状態でさらに成長するとやがて寿命による死を迎える。しかしベニクラゲは死ぬのではなく、ポリプの状態に戻り、再び成長を始める。要するに若返るのだ。  日本におけるベニクラゲ研究は、京都大学フィールド科学教育研究センターに在席していた久保田准教授(当時)がその第一人者として知られる。一般には京大白浜水族館として知られる瀬戸臨海実験所に久保田さんが所属していた関係で、同じ和歌山県の湯浅城、天守内が温泉宿になっている珍しい施設の一角に「ベニクラゲ再生生物学研究所」が設置されている。一般見学もできるので、不老不死に興味のある方はぜひ訪れてほしい。(和) (11字×87行) *不老不死のベニクラゲ、メデューサと呼ばれる成体になると若返り、再び成長を始める 情報 明石市立文化博物館 香川元太郎の世界  明石市立文化博物館では夏季特別展として「迷路遊びからお城イラストへ―香川元太郎の作品世界―」を7月13日から開く。  子どもの頃にのめり込んだ迷路遊びがきっかけとなり、迷路のような日本の城のつくりに関心を持った香川さん。いまでは入念な時代考証と現地踏査に基づいて城を描くイラストレータとして活躍している。  会場では明石城を模したダンボール迷路や姫路城の迷路で城の複雑なつくりを体感し、絵の中に隠れているモチーフを探す「さがし絵遊び」をするなど、遊びながらイラストを鑑賞できる仕掛けとなっている。また明石城のイラストからは、城好きさえ納得するほど城郭に関する知見の深さが見て取れるはずだ。  作品の背景やそれが生まれるまでのエピソードも紹介される展覧会、大人も子どもも楽しめる。 ▼会期/7月13日(土)〜9月1日(日)▼会場/明石市立文化博物館(JR・山陽電車「明石」駅より北へ徒歩約5分)▼開館時間/9時半〜18時半(入館は閉館の30分前まで)▼会期中無休▼観覧料/一般1000円、高・大学生700円、中学生以下無料、65歳以上・障害者手帳などをお持ちの方(介護者含む)は当日料金の半額▼TEL078(918)5400 (11字×48行) #9 PC情報 個人的DXのススメ(13) 無料版でも「GPTs」が使える 「メンション」を活用しよう!  これまで有料版のユーザーだけが使えたGPTsが無料版でも使えるようになった。ただし、無料版ではGPTsを作成できないため、有料版のユーザーが作成し、公開しているものを使うことになる。  GPTsはChatGPTをカスタマイズして、特定の処理に特化させることができるサービスだ。GPTsを使えば、同じプロンプトを何度も入力することなく、欲しい回答を得ることができる。  例えば、文章校正に特化したGPTsを使うと、文法の誤りやスタイルの不統一をチェックし、改善案が提示される。さらに、ビジネス文書なども入力するだけで、文法ミスを指摘し、効果的な表現に修正することができるようになる。  GPTsは、あらかじめ設定してあるプロンプトに基づいてChatGPTが処理を行う機能だ。これにより、ChatGPTを特定のタスクに最適化できる。そして、このGPTsの活用に便利なのが「メンション」という機能だ。  メンションは、特定のGPTsを呼び出して活用する際に役立つ。ChatGPTのプロンプト入力の際、「@(半角)」を入力すると、最近使ったGPTsを簡単に呼び出すことができる。  例えば「文章校正GPT」というGPTsがあったとして、このGPTsを「@」でメンションして呼び出し、校正したい文章を貼り付ければ、プロンプトを入力せずに文章の校正を依頼することができる。  GPTsを使う方法としては、@ChatGPTのサイドバーにある「GPTを探す」をクリックし、Aカテゴリ別に分類されたGPTsを表示させ、B「GPTを検索する」にキーワードを入力して、目的に合ったGPTsを探す。  よく使うGPTsをサイドバーに常に表示させておくこともできる。その手順は、@常駐させたいGPTsのチャット画面で画面左上にあるGPTsの名前をクリックし、A「サイドバーに表示する」を押す。また、同じ手順で非表示にすることも可能だ。  このメンション機能により、日々のChatGPTを使った作業の効率がさらに向上する。ぜひ試してみてほしい。 (11字×77行) 報告 第55回広報宣伝セミナー 写真の力を引き出す  機関紙編集者クラブは6月15日、第55回広報宣伝セミナーを大阪市内で開いた。今回のセミナーは「機関紙写真の悩みを解決―写真ひとつで紙面が激変」がテーマで、14人が参加した。  写真は機関紙を手に取ったとき、真っ先に目に飛び込んでくるもの。読者を記事へと導く重要なポイントだ。しかし、意外と学ぶ機会が少ないのも写真。セミナーでは日頃から機関紙づくりに携わっている人を講師に迎え、撮影のコツやトリミングなどについて学んだ。  午前中の講座は実証編。講師の辻義治さん(機関紙編集者クラブ)は、「機関紙写真はアート作品ではなく、組合活動の『リアル』を写すもの」としたうえで、その写真が読み手に「見せて・読ませて・引き入れる」ものとなるよう仕上げなければならないとした。そのためには「写真の強さを際立たせること」と強調。その後、撮影のポイントとしてモチーフとして一番強い人物を有効に入れることや、密集度の高さなどに注意することなどを説明した。また、より強調するため写真の余分な部分を省く「トリミング」、そして写真の説得力を高める「キャプション(写真説明)」の重要性を語った。  午後の講座は、自治労愛知県本部の入江義寛さんを講師に迎えた実践編。受講生が撮影した写真をもとに、トリミング方法や機関紙へのハメ込みなどの実践を行った。その後、2人1組でインタビュー写真を撮影。被写体の表情や手の動きひとつで、写真のインパクトが大きく変わることなどを学習した。 (11字×57行) *実際の紙面をスクリーンに映し出し、写真の処理やはめ込みなどを説明する入江講師 #10 食べもの おいしいもんめぐり(92) 朝からプチ贅沢  バタートーストにゆで卵、そしてコーヒーが定番のモーニングセット。だが、ゆとりのある朝にはいつもと違うモーニングセットを食べたい。そんな時、便利なのが雑誌などで紹介されている優雅な朝食だ。今回はそんな特集記事で見つけた「農園直送野菜モーニング」を食した。  出かけた店は大阪北浜、ミシュランを獲得したシェフが考案したパンを販売する「パンカラト ブーランジェリーカフェ」。パン販売が主体なのでさほど広くないイートインスペースに案内され、期待を込めて注文。提供されたプレートには約20種類の新鮮野菜が盛られ、その上に温泉卵と鳥取産大山ソーセージが。そして店自慢のパンと野菜スープ、ミニ紅茶がついてきた。まさに優雅なモーニングだ。  野菜に添えられた色とりどりのドレッシングが美しい。もちろんどれを食べてもおいしいうえにボリュームたっぷりときた。1日の始まりの朝食に、そしてときには昼食を兼ねたブランチにぴったりだ。  スペースの関係もあり、利用は一組60分まで。満席で待たされることもあるが、それでも食べたいモーニングだった。 <農園直送野菜モーニング> ▼価格(税別)/1100円(お任せパン2種盛り)〜▼販売店/パンカラト ブーランジェリーカフェ(大阪メトロ「北浜」駅3号出口すぐ)▼営業時間/8時〜20時(モーニング販売は8時〜14時)▼TEL06(65759)7540 (11字×55行) *もちもちパンとたっぷり野菜。見た目以上のボリュームで満腹に 情報 大阪市立東洋陶磁美術館「シン・東洋陶磁」 新たな魅力に会う  国宝《油滴天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)》と国宝《飛青磁花生(とびせいじはないけ)》を所蔵している東洋陶磁美術館が、約2年間の改修工事を経てオープンした。そのリニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」が9月29日まで開かれている。  ここでしか目にすることができない中国陶磁や韓国陶磁、そして日本陶磁も。この美術館の根幹をなす「安宅(あたか)コレクション」と「李秉昌(イビョンチャン)コレクション」を中心に珠玉の名品約380件が一堂に会した。そして、人気の高い国宝「油滴天目茶碗」には、専用独立展示ケースが設けられ、美しい斑紋や繊細な光彩などあふれる魅力を360度から鑑賞できる。まさにオールスターが出そろった祝祭のごとき展覧会だ。  そして展示以外でも見どころが。それが新設されたエントランスホールだ。一面ガラス張りの開放感あふれるスペースとなっている。館内からは目の前に大阪市中央公会堂が見え、その美しさにハッとするだろう。  展覧会のあとは新しくなったカフェでくつろぐのもよし、ミュージアムショップで思い出の品を探すのもよしだ。リニューアルでシン・東洋陶磁美術館、堪能したい。 ▼会期/9月29日(日)まで▼会場/大阪市立東洋陶磁美術館(京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ、大阪メトロ・京阪「淀屋橋」、大阪メトロ・京阪「北浜」各駅から約400b、大阪市中央公会堂東側)▼開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日・振休の場合は開館し翌日休館▼観覧料/一般1600円、高・大学生800円、中学生以下・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人を含む)・大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)▼TEL06(6223)0055 (11字×65行) *新設の「体感!国宝 油滴天目茶碗」は、茶碗型コントローラーを使って、スクリーン上で国宝「油滴天目茶碗」を自在に動かす体験プログラムだ #11 本 最近読んだ本 本棚には裏がある 酒井順子 著 エッセイストが 本を読めば  物書きというのはこんなに広範でかつ多彩な本を読んでいるのか、と実感させてくれたのが本書。書店で何の気なしに手に取ってそのまま買い求めたものだ。  著者はエッセイストの酒井順子。2003年に発表した『負け犬の遠吠え』がベストセラーになり、各賞を受賞した作家といえばおわかりだろう。彼女が週刊文春に連載を続けているエッセイ「読書日記」の2014年〜23年の回から抜粋し、まとめたものがこの本だ。  小説にノンフィクション、ルポに旅の本とあらゆる種類の本が登場する。著者は前書きで「本を読むことが得意か、と問われたら、首をかしげざるを得ません。難しい本は、わからない。皆が知っている名作は、ほとんど読んでいない。読んだ内容をすぐ、忘れる」と書くが、いやいやどうして、著者の読書熱は相当なものだ。この広大な書籍の海の中からよくぞこんな本を探し出したなと感心せざるを得ない本ばかり登場する。  例えば、『千葉からほとんどでない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』という長いタイトルの本。内容はまさにタイトル通りだとし、「著者は実家の部屋にこもっているけれど、/精神的には良い意味で他動。「好き」とか「知りたい」という強い気持ちを持つ人の突破力は、ただ外にだけ出ている人を、はるかに凌駕(りょうが)するだった」とひもとく。  また、『「暮らし」のファシズム 戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた』というタイトルの、戦時下、生活に介入してきたプロパガンダの手法を解き明かした本からは、「お上が国民をまとめて動かしたいと思った時、日々の暮らしに忍び寄る足音を聞き逃す危険性は、今も存在し続けているだろう」と警鐘を鳴らす。  さまざまな本の紹介と導き出される著者の思い。そこには著者自身が感じている理不尽さと、それがゆえに持たざるを得なかった強さ。そして今という時代が反映されていた。(ぴ) (11字×76行) *毎日新聞出版 本体1600円+税 おすすめBOOK 「だるまさん」シリーズ かがくい ひろし 作  累計900万部を突破した絵本「だるまさん」シリーズ。0歳から読める「ファーストブック」の新定番で「だるまさんが」、「だるまさんの」、「だるまさんと」の全3作品で構成されている。  シリーズ最初となる「だるまさんが」では、だるまさんがリズムに合わせて動いたり、びよーんと伸びたり。さまざまなアクションに赤ちゃんは声をあげて喜び、読みきかせをする側も楽しくなる。  2、3作目の「だるまさんの」、「だるまさんと」は言葉覚えや子どもとのスキンシップに向いている。ストーリーがあるわけではないが、描かれている絵から音や動きが伝わってくる。小さな子にも非常にわかりやすく、わが子も読み聞かせていると声を出して笑う。  「ファーストブック」購入を考えている方にぜひおすすめしたい。(K) (11字×31行) *ブロンズ新社 本体2805円(税込) #12 食べもの 暮らしの中の魚(166) タコ  関西では農村地帯を中心に半夏生にタコを食べる風習がありました。半夏生とは雑節のひとつで半夏(烏柄杓(からすびしゃく))という薬草が生える時期にあたり、夏至から数えて11日目からの5日間で、今年は7月1日から5日です。この頃の雨を半夏雨(はんげあめ)と呼び、大雨になることが多いので、古来より田植を終わらせておく目安になりました。  梅雨時分になると海の中ではエビやカニ、貝類などが増え、それらを餌にするタコが成長して旬をむかえています。重労働である田植の骨休めにタコを食べて英気を養ない、タコの足のように稲がしっかり大地に根を下ろして豊作になることを祈念しました。しかし農村集落が衰退しこの風習は廃れていきました。  今では半夏生になるとスーパーなどでタコの特売が組まれ、生産地は国産からアフリカなどに代っています。しかし、タコを食べる風習は人々の生活に根づいています。  さて旬の活だこを使った柔らか煮を作ってみましょう。活だこは魚屋さんで内臓とヌメリをとったものを購入します。タコ500c、水200t、料理酒200t、重曹小さじ半分、濃口しょう油100t、三温糖70c、みりん大さじ1を用意します。鍋にタコ、水、重曹を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にしておとし蓋(ぶた)をしてください。アクを取りながら20分くらい煮込みます。次に砂糖、みりん、しょう油を順番に入れてさらに20分くらい煮込みます。煮ている間に水分が足りなくなったら水と重曹を少し継ぎ足してください。ポイントは火加減に注意しコトコトと炊くことです。  重曹を少し入れるのは、重曹がタコのたんぱく質に作用し、筋肉繊維の結合を弱めることで柔らかくなるからです。サツマイモや南瓜と炊き合わせにすると良いおかずになりますし、辛子を添えて酒の肴(さかな)にも最適です。  今年も猛暑とか。健康の維持にはバランスの良い食事が大切です。タコは低カロリーで高たんぱく、疲労回復に効果を発揮するタウリンを含んでいます。食事に取り入れることで暑さに負けない毎日を送ってください。 (11字×76行) *旬のタコ。柔らか煮もおすすめだが、たこ飯や天ぷらにしてもおいしい エッセイ いつもランラン(330) 再びの加藤和彦  おらは死んじまっただ〜と甲高い声で歌いだす『帰ってきたヨッパライ』。この曲を書いたのは当時学生だった加藤和彦。友人たちと組んでいたバンド、ザ・フォーク・クルセダーズの自主制作レコードに収められた一曲だった。  録音したテープを早回して実現した歌は異彩を放ち、ラジオで流れた途端若者のあいだで大反響。1年限定でメジャーデビューし大ヒットを放った。コミカルでテンポ良く、他に聞いたことがない『帰ってきたヨッパライ』。小学生だった私もこの曲に夢中になった。  そして今、改めて聞くとメロディーにはビートルズの曲が活用され、間奏にはクラシック曲の一節が挟まれているなど遊び心あふれる構成に驚く。フォークでもないロックでもない、新しい音楽を生み出したのが加藤和彦だった。  その後、『あの素晴らしい愛をもう一度』を創り、サディステック・ミカ・バンドとして活躍し、さまざま歌手たちに楽曲を提供し、プロデュース。彼の時代の最先端を行くセンスに誰もが魅了された。  その加藤和彦が亡くなって15年。彼の足跡をたどる映画が公開され、インタビュー本が出版された。今もなお注目を集め再評価が進む。(ぴ) (11字×46行) #13 映画 流麻溝十五号 2022年/台湾/1時間52分/原作:ツァオ・シンロン/監督:ゼロ・チョウ/出演:ユー・ペイチェン(ユー・シンホェイ)、リエン・ユーハン(チェン・ピン)、シュー・リーウェン(イェン・シュェイシア)/配給:太秦 真の自由を信じて 己の信念を貫く  考えることが罪?≠ニ書かれたチラシが衝撃的な映画『流麻溝(りゅうまこう)十五号』。このタイトルは台湾の離島、緑島に作られた強制収容所施設の住所そのもの。  1950年代国民党政権が反政府運動を激しく弾圧した台湾白色テロの時代に、思想改造および再教育を目的として作られた強制収容所「新生訓導処」。ここに収監された人間は名前を奪われ番号で管理され重労働を強いられる。  絵を描くことが好きで誰にでも優しい高校生のユー・シンホェイ、子どもが生まれて間もなく投獄された看護士のイェン・シュェイシアは正義感が強く、いかなる場合も信念を曲げない。モダンダンスのダンサーであるチェン・ピンは妹を拷問から守るため自ら逮捕された。この3人を中心に、考えることをやめられない女性政治犯たちが描かれる。  考えることを諦めない彼女たちは、さまざまな方法を考えだして生き延びようとする。日本語で会話をするシーンがたびたびでてくるがそれもその一つなのだろう。  やがて施設では、男性には刺青(いれずみ)をいれることを、女性には血書を書くことを強要するようになる。息子をたてにとられ、血書を迫られた元看護師のイェン・シュェイシアだったが、「母子の縁がなかったのでしょう」と拒否した。この意志の強さはどこから生まれるのだろう。  そして拷問など悲惨なシーンが続くのだが、それに対し描かれるのがチェン・ピンの赤いドレスを着たダンスシーンだ。緑の島に映える鮮やかな姿。信念を貫く女性たちの姿を象徴的に表している。  家族や生活を奪われても真の自由を信じ、信念を曲げない彼女たちの意志の強さは羨望(せんぼう)と共感を呼ぶ。台湾の人たちが、2度、3度とこの映画を見たということに納得する。  監督はジェンダーの視点から作品を撮り続けてきた周美玲(ゼロ・チョウ)。『Tattoo 刺青』(2007年)ベルリン国際映画祭テディ賞受賞。『彷徨う花たち』(2008年)シネゴアック芸術祭出品。『花耀たゆたう想い』(2013年)シアトル国際映画祭出品。『愛・殺』(2020年)タリン・ブラックナイト映画祭出品。  考えることが罪?¢苻pの過去の出来事が、今の私たちを取り巻く状況とリンクしているように感じるのは錯覚だろうか。 岡野 万里子 ▼公開日/7月26日(金)〜/<大阪>シネマート心斎橋TEL06(6282)0815、<京都>都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>元町映画館TEL078(366)2636(近日公開) (11字×97行) *囚人として施設に連行された彼女たち。名前ではなく番号で管理され、重労働の日々を過ごすことになった *(C)thuann Taiwan Film Corporation #14 映画 東京カウボーイ 2023年/アメリカ/1時間58分/監督:マーク・マリオット/脚本:デイヴ・ボイル、藤谷文子/出演:井浦新(坂井英輝)、藤谷文子(増田けい子)、ゴヤ・ロブレス(ハビエル)/配給:マジックアワー 異文化の地で 生き直してみたら  今最も旬の役者の一人、井浦新の最新作はアメリカ映画である。大手食品商社の社員として大きな買収プロジェクトを成功させるなど、上昇志向に乗ってがむしゃらに働くサラリーマン坂井英輝(ヒデキ)が井浦の役どころ。上司である副社長が婚約者で、藤谷文子が脚本も兼ねて演じる。  ヒデキは会社が保有する採算不良のアメリカの牧場を立て直すためにモンタナ州へやってきた。自信たっぷりで和牛の飼育を地元の牧場主に提案するが、完全に無視される。神戸牛の専門家の和田を同行しているにもかかわらず、和田は怪我(けが)をして入院してしまう。ピンチに陥ったヒデキは果たしてどうやって危機を突破するのか?  この映画のプロットは、「主人公が異文化に出会って価値観の転換を迫られ、生き直しを図る」というもの。よくある話なので新鮮味はない。結末まで全部見通せる。しかも何か特別な事件が起きるわけでもなく、アクションもなければラブシーンもほぼ無い。退屈と思う人には退屈な映画かもしれないが、これが見ていて実に気持ちがいいから不思議だ。  その心地よさの源は、主人公の真面目さにある。スーツ姿のエリート社員が一転してカウボーイハットをかぶった野生児もどきになる。彼はモンタナのラテン系若者に出会って、郷に入れば郷に従うことを学んだのだ。ひとたび学ぶと、根が真面目なのですっかりその気になってしまう。その姿が微笑ましいし、最初はおずおずと地元の人たちとの距離を測っていたヒデキも、いつの間にか心から楽しそうにしている。  地元の人たちとの交流が大切だと知っただけではなく、彼はこれまで自分が手がけた仕事に「魂」ともいえる部分がなかったことにも気づかされる。そのきっかけとなるエピソードもユーモラスだ。  本作の笑える面白い部分をほとんどさらっていったのが國村準。この人は本当に芸達者で英語も上手い。この映画に國村準を配したのはキャスティング担当の手柄だ。  働くとはどういうことか。物を生み出すとはどういう価値を与えることなのか。そして、人が変わっていくとき、そのきっかけを手放さない真摯(しんし)さと努力が大切だという、当たり前のことに改めて気づかされる映画だ。  主人公は決して劇的には変わっていない。むしろ彼の本質は何も変わっていないように見える。彼の土台にある真面目さが生き直しを可能にしたのだろう。その本質を井浦新が体現している。モンタナの雄大な風景も共に劇場でぜひご覧あれ。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館)館長 谷合佳代子 ▼公開日程/<大阪>6月21日(金)〜テアトル梅田(旧シネ・リーブル梅田)TEL06(6440)5930、<京都>6月21日(金)〜アップリンク京都TEL075(600)7890、<兵庫>6月22日(土)〜元町映画館TEL078(366)2636 (11字×109行) *経営不振のアメリカの牧場を建て直すためモンタナ州にやってきたヒデキだったが、地元の牧場主に相手にされない。このピンチを脱するため彼がとった行動とは #15 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 流麻溝十五号 ▼2022年/台湾/1時間52分/原作:ツァオ・シンロン/監督:ゼロ・チョウ/出演:ユー・ペイチェン(ユー・シンホェイ)、リエン・ユーハン(チェン・ピン)、シュー・リーウェン(イェン・シュェイシア)/配給:太秦▼公開日/7月26日(金)〜 真の自由を信じて 己の信念を貫く  考えることが罪?≠ニ書かれたチラシが衝撃的な映画『流麻溝(りゅうまこう)十五号』は、1950年代国民党政権が反政府運動を激しく弾圧した台湾白色テロの時代を描く。  思想改造および再教育を目的とした強制収容所「新生訓導処」に収監されたのは、考えることをやめられない3人の女性政治犯人だ。映画はこの3人を中心に進む。絵を描くことが好きな高校生のユー・シンホェイ、子どもが生まれて間もなく投獄された正義感が強い看護士のイェン・シュェイシア、妹を拷問から守るため自ら逮捕されたモダンダンスのダンサー、チェン・ピン。彼女たちは番号で管理され重労働を強いられる。  やがて男性には刺青(いれずみ)を、女性には血書を書くことが強要され、拷問なども行われる。それでも信念を貫く女性たちは、考えることを諦めずさまざまな方法を考えて生き延びようとする。  家族や生活を奪われても真の自由を信じ、信念を曲げない彼女たちの意志の強さは羨望(せんぼう)と共感を呼ぶ。台湾でヒットしたことがうなづける。  考えることが罪?¢苻pの過去の出来事が、今の私たちを取り巻く状況とリンクしているように感じるのは錯覚か。 岡野 万里子 (11字×45行) *囚人として施設に連行された彼女たち。名前ではなく番号で管理され、重労働の日々を過ごすことになった *(C)thuann Taiwan Film Corporation 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 東京カウボーイ ▼2023年/アメリカ/1時間58分/監督:マーク・マリオット/脚本:デイヴ・ボイル、藤谷文子/出演:井浦新(坂井英輝)、藤谷文子(増田けい子)、ゴヤ・ロブレス(ハビエル)/配給:マジックアワー▼公開日程/<大阪・京都>6月21日(金)〜、<兵庫>6月22日(土)〜 異文化の地で 生き直してみたら  井浦新の最新作はアメリカ映画。大手食品商社の社員として上昇志向に乗ってがむしゃらに働く坂井英輝(ヒデキ)が、その役どころ。  ヒデキは会社が保有する採算不良の牧場を立て直すために米国モンタナ州へやってきた。自信たっぷりで和牛の飼育を地元の牧場主に提案するが、完全に無視される。想定外のことが続くヒデキはピンチをどうチャンスに生かすのか?  この映画のプロットは、「異文化に出会って価値観の転換を迫られ、生き直しを図る」というもの。よくある話なので新鮮味はない。一見退屈な映画と思われるかもしれないが、これが見ていて実に気持ちがいいから不思議だ。  その心地よさの源は、主人公の真面目さにある。彼の本質は決して変化したようには見えない。むしろその真面目さという美点が、彼の生き直しを可能にしたのではないか。本作は働くことの価値を考えさせられる労働映画でもある。  そして、ユーモラスな部分をほとんどさらっていったのが國村準。最高の脇役を得た。モンタナの雄大な風景にも心洗われ、見終わって穏やかな気持ちになれる。 エル・ライブラリー館長 谷合佳代子 (11字×45行) *経営不振のアメリカの牧場を建て直すためモンタナ州にやってきたヒデキだったが、地元の牧場主に相手にされない。このピンチを脱するため彼がとった行動とは #16 パズル クロスワードパズル <タテのカギ> 1 危険物がないか調べるため直接身体に触れる検査 2 ←→前 3 花の首飾り 4 ←→濃口 5 椰子 6 日が暮れてしばらくの間 7 ホエール 8 生まれた土地。ふるさと 9 異状や悪い所がないかどうか調べること 10 出る◯◯は打たれる 11 実際に起こった事柄 12 呼吸 13 大都市の中心部 14 カギ <ヨコのカギ> 1 勝手気ままにふるまうこと 8 サイン、◯◯◯◯、タンジェント 15 師から教えを受ける人 16 ある人の意見に賛成し、あと押しをすること 17 骨折りをねぎらうこと 18 テニスで球を打つ道具 19 囲まれた区域のかど 20 決められた時間に遅れること 21 グー、◯◯◯、パー 22 一緒に行動する仲間 23 積極的に何かを行おうとする心 24 雑学などの知識を問う問題 25 前輪を上げ後輪だけで走る走法 *■AからHまでの文字をならびかえると… *■答えは「コラボレーション」 情報 体験型ミュージアムで ポスト印象派  堂島リバーフォーラムでは、音と映像により視覚体験を超えて、絵画の世界に没入する体験型ミュージアム「イマーシブミュージアムオオサカ2024」を8月21日まで開いている。  壁といい床といい視界一面に名画が映し出される。観客は会場に足を踏み入れた途端、名画の世界に入り込んでしまう。これが最新のテクノロジーで芸術世界をよみがえらせた没入体験型ミュージアムだ。ゴッホにセザンヌ、スーラなどポスト印象派の絵画が特別な音響効果とともに観客に迫り、作家たちが見たであろう作品世界が再現される。新しいアート体験をぜひ。 ▼会期/8月21日(水)まで▼会場/堂島リバーフォーラム(JR東西線「新福島」駅、阪神本線「阪神福島」駅、京阪中之島線「中之島」駅から徒歩約5分)▼開催時間/10時〜20時(入場は19時まで)▼入場料/一般(平日)2700円、(土日祝)2900円、高・中学生2000円、小学生1000円、障がい者手帳などをお持ちの方2200円、*8月13日〜21日は土日祝料金▼問い合わせ/キョードーインフォメーションTEL0570(200)888 (11字×43行) #17 情報 シネマはやっぱりおもしろい −6・7月公開の映画− 言えない秘密  音楽大学を舞台に、一つの旋律に導かれ出会った男女のラブストーリー。彼らの切ない恋が描かれる。  イギリス留学から帰国した樋口湊人。青葉音楽大学に復学したが、あるトラウマからピアノと距離を置いていた。ある日、ふと聞こえてきたピアノの旋律に導かれて旧講堂の演奏室に足を踏み入れた湊人。そこにはいたのは美しい少女、内藤雪乃だった。そしてさっきの旋律の曲名を問いかけると耳元で「秘密」とささやいた。そのミステリアスな雰囲気に心引かれる湊人。  別の日、悪友の棚橋と広瀬が湊人を強引に連れ出した。そこはピアノ王子と呼ばれている門倉とのピアノバトルの場。気乗りしない湊人だったが、ピアノを弾き始めると門倉と互角の演奏で周囲を圧倒した。だが、その脳裏に突然よみがえったのは、イギリスで講師に罵倒された自身の姿。思わず演奏を止めてしまう湊人。  のしかかるプレッシャーとトラウマに彼は傷つきピアノをやめようとしていた。その姿を心配し、見つめていたのは幼なじみのひかりだったが、湊人の心を開くことができたのは雪乃だけだった。  雪乃と過ごすたわいのない時間が湊人の心を癒やし、次第に二人は恋心を募らせる。だが、ある出来事をきっかけに雪乃が姿を消してしまった。そして雪乃を求める湊人は…  ラブストーリーでありながら予測できないミステリアスな展開に観客は翻弄(ほんろう)される。全編を彩るピアノ曲が魅力的だ。 ▼2024年/日本/1時間54分/監督:河合勇人/脚本:松田沙也/出演:京本大我(樋口湊人)、古川琴音(内藤雪乃)、横田真悠(浅野ひかり)/配給:ギャガ▼公開日/6月28日(金)全国ロードショー▼上映館/<大阪>TOHOシネマズ梅田TEL050(6868)5022、他、<京都>TOHOシネマズ二条TEL050(6868)5035、他、<兵庫>OSシネマズ神戸ハーバーランドTEL078(360)3788、他 (11字×75行) *(C)2024「言えない秘密」製作委員会 #18 情報(シネマ) フェラーリ  巨匠マイケル・マンが構想30年をかけて完成させたのが、この作品。描いたのは、フェラーリ社の創業者、エンツォ・フェラーリが過ごした激動の1年だ。  F1の帝王と呼ばれた元レーサーのエンツォ・フェラーリが妻とともにフェラーリ社を創業したのは1947年。6戦目のローマーグランプリで自社のマシーンが優勝し、世界中のレーサーがシートを争う名チームとなった。  だが、設立から10年たった1957年。競合他社がフェラーリのスピード記録を破り始めたため、車の売り上げが減少、破産寸前の危機に陥っていた。そのうえ、前年には一人息子のディーノを難病で亡くし、妻のラウラとの関係が冷え込んでしまった。  そんな彼を支えていたのは愛人のリナ・ラルディだ。二人のあいだには12歳になるピエロという愛する息子もいた。しかし、当時のイタリアは離婚を認めていなかったため、ピエロはいまだエンツォの息子として認知されていない。  そんな頃だった、ラウラがリナとピエロの存在を知ったのは。そして夫婦の関係はさらに険悪に。フィアットやフォードからの買収工作と私生活の問題。窮地に陥ったエンツォは、社運をかけ、イタリア全土を縦断する公道レースミッレミリアに参戦することにしたが…  なんと言っても見どころはレースシーンだ。スクリーンいっぱいに展開される激走に、見るものは圧倒される。 ▼2023年/アメリカ/2時間10分/原作:ブロック・イェイツ著『エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像』/監督:マイケル・マン/脚本:トロイ・ケネディ・マーティン/出演:アダム・ドライバー(エンツォ・フェラーリ)、ペネロペ・クルス(ラウラ)、シャイリーン・ウッドリー(リナ)▼配給:キノフィルムズ▼公開日/7月5日(金)全国ロードショー▼上映館/<大阪>TOHOシネマズ梅田TEL050(6868)5022、他、<京都>T・ジョイ京都TEL075(692)2260、他、<兵庫>kino cinema 神戸国際TEL078(230)3580、他 (11字×79行) *(C)2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 情報 あべのフィルム ライブラリー  大阪市立阿倍野市民学習センターで開いている上映会「あべのフィルムライブラリー」。7月の上映作品はドキュメンタリーの「アフガンに命の水を〜ペシャワール会26年目の闘い〜」(56分)だ。  2003年3月から6年の歳月をかけて全長24`の用水路を開いた中村哲医師と日本人青年、そしてのべ60万人にも上るアフガニスタンの人々。戦乱と干ばつに見舞われた大地をよみがえらせるための水を確保する闘いの日々を追いかけたドキュメンタリーだ。  今は亡き中村医師。彼の不屈の魂を感じることになる。 ▼日時/7月25日(木)10時開演▼会場/大阪市立阿倍野市民学習センター(大阪メトロ谷町線「阿倍野」駅下車7号出口すぐ)▼定員/70人(当日先着順)▼参加費/無料▼問い合わせ/阿倍野市民学習センターTEL06(6634)7951、FAX06(6634)7954 (11字×34行) ノーモアヒバクシャ 枚方の集い  原水禁枚方地区実行委員会が主催する集会「原爆も原発も 放射能は いのちを蝕む〜ノーモアヒバクシャ 枚方の集い」が7月20日に開かれる。  ヒロシマ、ナガサキ、第五福竜丸、そしてフクシマと世界でもまれな被爆体験を持つ日本。その日本では、地震大国・火山大国にもかかわらず原発が稼働し続けている。しかも処理方法がない核のごみなどの問題を抱えて。いつ何時、事故が起こるかわからない。そんな次なる大惨事を引き起こさないために学ぶのがこの集会の目的だ。  講演には、2014年福井地裁で大飯原発の運転差し止めの判決を命じた樋口英明さんと、「原発はごめんだ広島市民の会」の代表、木原省治さんが招かれる。  これ以上、ヒバク者を出さないための行動の第一歩となる。 ▼日時/7月20日(土)13時半開場、13時50分開演▼会場/枚方市総合文化芸術センター別館6F(京阪電車「枚方市」駅から徒歩約5分)▼参加費/無料▼問い合わせ/枚方市教職員組合TEL072(841)2997、FAX072(846)5855 (11字×42行) #19 情報 アートが好き 開催中とこれからの展覧会 特別展「生誕110年 佐藤太清展 水の心象」 ▼会期/7月7日(日)まで▼奈良県立万葉文化館(近鉄「橿原神宮」前駅東口または「飛鳥」駅より周遊バス(かめバス)乗車(約20分)、「万葉文化館西口」下車すぐ)▼開館時間/10時〜17時半(入館は17時まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌日▼観覧料/一般800円、焉E大学生500円、小・中学生300円▼問い合わせ/奈良県立万葉文化館TEL0744(54)1850 (11字×16行) *佐藤太清 《夢殿》 1972(昭和47)年 (C)Masako Sato 2023/JAA2300061 「没後60年 洋画家・辻愛造 ―風景・風俗・挿絵―」 ▼会期/7月15日(月・祝)まで▼会場/西宮市大谷記念美術館(阪神「香櫨園」駅下車、南西に徒歩6分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/水曜日▼入館料/一般1200円、高・大学生600円、小・中学生400円、ココロンカード・のびのびパスポート・障害者手帳などを呈示の方(介助者1人含む)は無料、西宮市内在住の一般の方1000円、西宮市在住の65歳以上の方600円(要証明)▼TEL0798(33)0164 (11字×19行) *辻愛造 《道頓堀弁天座前》 1962―63年 ガラス絵 西宮市大谷記念美術館蔵 「コレクション展T」 ▼会期/7月28日(日)まで▼会場/兵庫県立美術館(阪神「岩屋(兵庫県立美術館前)」駅から南へ徒歩約8分)▼開館時間/10時〜18時(入場は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし7月15日は開館、翌16日休館▼観覧料/一般500円、大学生400円、高校生以下無料、70歳以上250円、障害者手帳等をお持ちの方(一般・大学生)100円(要証明)、その介助の方1人は無料▼TEL078(262)1011 (11字×18行) *白髪一雄 《黄帝》 1963年 兵庫県立美術館蔵 「泉茂 1950s 陽はまた昇る」 ▼会期/7月28日(日)まで▼会場/市立伊丹ミュージアム(阪急「伊丹」駅から北東へ徒歩約9分、JR「伊丹」駅から北西へ徒歩約6分)▼開館時間/10時〜18時(入館は17時半まで)▼休館日/月曜日、ただし7月15日は開館、翌16日休館▼観覧料/一般500円、高・大学生300円、小・中学生200円(兵庫県内の小・中学生はココロンカード提示で無料)▼TEL072(772)5959 (11字×17行) *《机上》 1952年 市立伊丹ミュージアム蔵 「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 ときめきの髪飾り ―おしゃれアイテムの技と美―」 ▼会期/8月4日(日)まで▼会場/細見美術館(京都市バス「東山二条・岡崎公園口」下車、東へ徒歩約3分、地下鉄東西線「東山」駅2番出口より北へ徒歩約10分)▼開館時間/10時〜17時▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌日▼入館料/一般1800円、学生1200円▼TEL075(752)5555 (11字×13行) *《桜狩嵌装象牙櫛「芝山」銘》 澤乃井櫛かんざし美術館蔵 「没後30年 木下佳通代」 ▼会期/8月18日(日)まで▼会場/大阪中之島美術館5階展示室(京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ徒歩約5分。大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口から西へ徒歩約10分)▼開場時間/10時〜17時(入場は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし7月15日、8月12日は開館▼観覧料/一般1600円、高・大学生1000円、中学生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方(介助者1人含む)は当日料金の半額(要証明)▼問い合わせ/大阪市総合コールセンターTEL06(4301)7285 (11字×21行) *木下佳通代 《む36》 1976年 大阪中之島美術館蔵 #20 ボランティアインフォメーション  各種の団体やイベントでは、広くボランティアを募集している。単発のボランティア(1回だけの活動)や初心者、親子参加を歓迎するものも多い。興味のある活動、分野に参加し、新しい世界にチャレンジしよう。 *掲載している情報はKVネット(https://www.kvnet.jp)から転載したものです。 ▼内容の詳細、相談、参加希望などは、それぞれの活動の「問い合わせ先」に直接連絡を。 ●多文化交流イベントのボランティア募集  8月3日に開かれる多文化交流イベントを手伝ってくれる運営ボランティア募集します。活動内容は、イベント当日の案内、総合受付、会場受付、会場設営、片付けなどです。なお、当日朝には運営ボランティア説明会があります。利用者さんとのふれあいを大切にしてくれる人の応募をお待ちしています。 ▼日時/<イベント>8月3日(土)11時〜16時半(予定)、〈運営ボランティアの当日説明会〉9時半〜(予定)▼場所/大阪国際交流センター2階(大阪メトロ谷町線・千日前線「谷町九丁目」駅から徒歩10分)▼募集対象・人数/運営ボランティア・30人▼活動条件/当日8月3日9時30分〜(予定)の説明会に必ず参加▼申込締切/定員になり次第▼申込方法/次のURLから申し込む。https://forms.gle/p1XPoQj3ArB8mfTSA▼問い合わせ/(公財)大阪国際交流センター、アイハウスde多文化体験」担当TEL06(6773)8989、FAX06(6773)8421 ●障がい者施設でのボランティア募集  利用者の見守りや軽作業補助、レクリエーションなどの手伝いをお願いします。具体的には、知的障がいのある20代から80代の方の日常生活支援で、食事介助・入浴介助・排泄介助、レクリエーションなど。また施設のお祭りやグラウンドの草むしり、裁縫、利用者の外出付き添いなどもあります。 ▼日時/随時▼場所/第一博愛(南海電車・大阪メトロ堺筋線「天下茶屋」駅から徒歩15分、ホームズ南津守店の隣)▼募集人数/2〜3人▼申込方法/左記にお問い合わせください▼問い合わせ/社会福祉法人枚方療育園第一博愛TEL06(6656)7001、FAX06(6656)7006、Eメール:1haku@bienetre-k.jp URL:https://bienetre-k.jp ●イベントの運営補助、一日ボランティア募集  ほほえみ広場というイベントを開きます。つなごう〜過去から未来、人と人、社会と障害者〜をテーマに、バザー、授産製品販売、動画上映、啓発など、障害のある人もない人もいっしょに楽しむイベントです。来場者が楽しく過ごせる手伝いと、出展する障害者団体の運営の手伝いをお願いします。具体的には、チラシの配布、受付、上映補助、ごみ回収、会場設営補助などです。 ▼日時/10月5日(土)10時〜16時、※事前学習としてYouTube視聴(30分)必須▼場所/KBSホール(地下鉄烏丸線「丸太町」駅2番出口から左に徒歩8分、「今出川」駅6番出口から右に徒歩8分、KBS京都放送会館:(http://www.kbs-c.co.jp/inquiry/)▼費用/交通費・昼食代として2000円支給▼募集人数/35人▼参加条件/事前学習として、当センターボランティア講座をYouTube視聴し、当日10時から16時に活動できる方▼申込締切/8月7日▼その他/ボランティア活動証明書の発行が可能▼申込フォーム/https://forms.gle/FYPUx6TuBdNAc7Hv9▼問い合わせ/京都市福祉ボランティアセンター、担当・河村TEL075(354)8735 ●居場所支援をともに作りましょう  NPO法人サードプレスが主催する居場所支援「ぱぶすぺ」では、居場所をともに作り上げてくれるボランティアを募集しています。配慮が必要な子どももそうでない子どもも、そしてまた親も一緒に過ごせるインクルーシブな居場所をめざしています。活動内容は、子どもたちと一緒に遊んだり、話を聞いたり。宿題補助もお願いします。※現場には責任者が常駐。支援が必要な子どもには親や事業所側の付き添いあり。ボランティア証明書を発行。 ▼日時/毎月第2、第4水曜日。14時半〜17時半の間で決める▼場所/中大江校下センター(大阪メトロ谷町線「谷町四丁目」駅から歩5分)▼費用/交通費支給(上限2000円)▼募集人数/数人▼申込方法/メールまたは電話で問い合わせを▼問い合わせ/NPO法人サードプレイス、担当・中西TEL080(2022)7230、Eメール:hello@thirdplace-npo.com URL:https://thirdplace-npo.com/ <情報提供/大阪ボランティア協会TEL06(6809)4901> (11字×165行) #21 ミニニュース 世界の平均寿命 新型コロナで短縮  新型コロナウイルスが猛威を振るった2019〜21年に、世界の平均寿命は2年近く短くなったとする調査結果を世界保健機関(WHO)が5月24日、世界保健統計の2023年版で発表した。平均寿命と健康寿命は着実に伸びてきたが、新型コロナにより後退したとしている。  WHOの年次報告書によれば、2021年の世界の平均寿命は1・8歳短くなり、71・4歳。健康寿命は1・5歳縮まり、61・9歳。いずれも2012年と同水準に落ち込んだ。  英医学誌ランセットに今年1月掲載された論文では、新型コロナの流行時に平均寿命は1・6歳短くなったとの調査結果が明らかにされていたが、WHOの報告はそれを上回る落ち込みとなっている。  同論文の研究チームは、新型コロナはこの半世紀のどんな要因よりも平均寿命に「多大な影響」を与えたと指摘した。  だが、WHOの調査によれば、平均寿命は世界中で一律に短くなったわけではない。新型コロナの影響が最も大きかった北南米と東南アジアで平均寿命は約3歳縮まったが、最も影響が少なかった西太平洋では、わずか0・1歳の短縮にとどまった。 (11字×45行) アナログ規制 フロッピーが全廃に  河野太郎デジタル相は6月14日、政府が進める「アナログ規制」の撤廃のうち、法令でフロッピーディスクでの提出などを求める行政手続きが近く全廃されると明らかにした。1034件のうち1033件で見直され、残る1件も環境省が省令改正の手続き中という。記者会見で「今月には完了すると思っている。ファクス(による手続き廃止)をはじめ、必要な見直しを進めたい」と述べた。  インフラの目視点検や職員の常駐義務などを含むアナログ規制全般の見直しでは、法令などで対応が必要な6364件のうち4332件で、告示や通知、通達に基づく規制は1758件のうち1206件と、それぞれ見直し済みだと説明した。 (11字×27行) 「心筋シート」承認へ ベンチャー企業が申請  大阪大学の澤芳樹特任教授らのチームが開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った「心筋シート」について、澤氏が最高技術責任者を務めるベンチャー企業クオリプスが秋ごろをめどに、厚生労働省に製造販売承認を申請する方向で検討していることが5月24日、関係者への取材で分かった。iPS細胞由来の医療製品の承認申請は初めてとみられる。  チームは2020年1月、心筋シートを重症心不全患者の心臓に移植する治験を開始。昨年までに大阪大学のほか、東京女子医大や九州大学などで計8人に移植した。いずれも経過は良好で、この結果も踏まえて申請することを決めた。  他人のiPS細胞から作製した心筋細胞をシート状にし、心臓表面に貼り付けたこの治療、定着すれば新たな血管ができ、心機能回復が期待できるとされている。  心筋シートの材料となるiPS細胞は京大iPS細胞研究所が提供する。 (11字×36行) お知らせ ログインにはユーザー名とパスワードを  機関紙編集者クラブの公式ホームページ「機関紙@編集者クラブ」をご活用いただき、ありがとうございます。  毎月本紙「編集サービス」発行から2〜3日後に更新しているこのホームページですが、会員向けのメンバーページへアクセスするためには、ユーザー名とパスワードを入力するログインが必要となっています。またパスワードは毎月1日を基準として1カ月ごとに変更しています。なお、ユーザー名およびパスワードにつきましては別表をご確認下さい。  会員の皆様にはお手数をおかけすることになりますが、セキュリティーの強化のため、ご協力いただきますようにお願いします。  なお、記事や写真のダウンロードなどメンバーページの利用方法は従来通りですので、会員皆様の機関紙作成にご活用ください。 ホームページ URL http://www.club2010.sakura.ne.jp メンバーページ ログイン  <ユーザー名>  club  <パスワード>  txpn79gn(6月末日まで)  fu349msf(7月1日より) #22 データウォッチング 空き家の増加が止まらない 主な要因は高齢化  23年10月時点での全国の空き家は900万戸。過去最多となり、5年前に比べ51万戸も増えていると、総務省の住宅・土地統計調査でわかった。  総住宅数に占める割合も過去最高の13・8%で7戸に1戸が空き家状態だ。また使用目的がない空き家が増加しており、このまま放置が続くと倒壊などの危険や治安の悪化が懸念される。  国や自治体は対策強化を急ぐが、団塊世代の高齢化もあり、空き家の増加は今後も続きそうだ。 (11字×18行) *2024年5月1日朝日新聞