会場で観客を迎えるのは妙心寺屏風(びょうぶ)と呼ばれる大型の屏風だ。天空から風雨をついて現れる龍、そしてそれを迎え咆哮(ほうこう)する虎を描いた重要文化財《龍虎図屏風》は、緊張感と迫力に満ちている。これは狩野山楽が描いたもので、妙心寺の最も重要な法要、開山忌の大方丈での設(しつら)えの一つだ。 この特別展「妙心寺 禅の継承」は、興祖微妙大師六百五十年遠諱を記念し企画されたもので、大阪市立美術館で4月5日まで開かれている。 妙心寺は京都の西、花園の地に位置する臨済宗妙心寺派の大本山だ。1337年に関山慧玄(かんざんえげん)が開き、微妙大師(みみょうだいし)はその関山の唯一の弟子。妙心寺の第二世として寺の基礎を築き上げた人物だ。 展覧会では妙心寺の歴史の紹介はもとより、至宝である禅宗美術、そして桃山時代から江戸時代にかけての日本美術の数々が展示される。桃山時代の絵師、海北友松(かいほうゆうしょう)の手による重要文化財《花卉図(かきず)屏風》、狩野山楽・山雪による天球院の襖(ふすま)絵、白隠慧鶴(はくいんえかく)の《達磨(だるま)像》など。 他にも豊臣秀吉の愛児・棄丸の工芸品や大阪の妙心寺派の寺院に伝わる秘宝など、この特別展でしか見られない宝物が並ぶ。そして大阪市立美術館が開館した折、妙心寺から寄託された作品も。 妙心寺の至宝を通して室町時代から現在まで引き継がれてきた禅の系譜を見る展覧会となった。
|