シンプルな線で描かれたドローイング、淡い色彩が温かい気持ちを呼び起こす水彩画。初めて見た作品でも、どこか見たことがあるような親近感を抱く。そんなフォロンの世界を旅する展覧会「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」があべのハルカス美術館で開かれている。 フォークやプロペラといった無機質な物を擬人化させた彫刻は、ユーモラスでまか不思議。帽子にコート姿の等身大の彫刻は作品に度々登場するリトル・ハット・マンか。そして背中についているネジはなにを意味する…。来場者は会場に足を踏み入れた途端、フォロンのとりことなり空想が広がる。 日本で30年ぶりとなった大回顧展には初期から晩年まで、彫刻やドローイング、水彩、ポスターなど多彩な作品、約230点がそろう。 そして会場には、頭から矢印が伸び、さまざまな方向を指している人の絵、一見美しいが実は多数のミサイルが飛んでいる絵などが並ぶ。フォロンの創作の源はこの日常、現実世界だ。そして日々感じる小さな疑問や、環境、平和といった深い問題までもが作品の中にちりばめられている。 作品に秘められた謎やメッセージ、それを見つける空想旅行となる。
|