若冲ファン、垂ぜんの展覧会が京都嵐山の福田美術館で開かれている。それが開館5周年記念「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!展」だ。この長い名前を聞いただけで展覧会の趣旨は一目瞭然。展示の中心は第2章で公開する約3bの絹地に野菜や果物を描いた巻物《果蔬図鑑(かそずかん)》だ。 今回、世界初公開となったこの作品はヨーロッパの個人が所蔵していたもので、それを福田美術館が購入し日本に里帰りさせた。若冲らしい美しい色彩で描かれた柿や冬瓜、ブドウなど、さまざまな種類の野菜や果物に、さすが青物問屋のご隠居とうなずくはずだ。また、若冲と大典が京から大坂へと川を下りながら見た風景に大典が漢詩を添えた拓版画の絵巻《乗興舟(じょうきょうしゅう)》の展示もあり、こちらも興味深い。 そして第1章も見逃せない。最初期の作品《蕪に双鶏図》を皮切りに、水墨画で筋目描きの技法を使った《芦葉達磨図(ろようだるまず)》や得意とした鶏を描いた《柳に雄鶏図》など、初期から晩年までの作品を展示し、若冲の画業の全貌に迫っている。また第3章では、若冲とほぼ同時期に京都で活躍していた円山応挙と曾我蕭白の作品を展示。この二人の表現の違いを、比較しながら作品を鑑賞するのもおもしろい。 秋の京都で若冲三昧。江戸絵画を堪能しては。
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