2025年 編集サービス 8.20 #2 労働 障害者雇用支援月間(9月) ともに働く、未来をつくる 連合大阪総合政策・ジェンダー平等推進・中小支援グループ 副事務局長 澤谷誓之  2022年に障害者雇用促進法や障害者総合支援法などの束ね法案である「改正障害者総合支援法」が成立した。そして2024年4月から一部を除いて施行。現在、1年がたち本格運用が進んでいる。 2026年7月から 法定雇用率2・7%に  障がい者法定雇用率は、2024年4月から2・5%となり、2026年7月に2・7%に引き上げられる。  厚生労働省が公表している「障害者雇用状況集計結果2024年度」では、雇用障がい者数67万7461・5人(対前年比5・5%増)に対して、雇用障がい者法定雇用率達成企業の割合は46・0%(前年比4・1%減)。事業規模別では、100人未満で45・4%(前年比1・8%減)、100〜300人未満で49・1%(前年比4・2%減)、1000人以上で54・7%(前年比12・8%減)と事業規模が大きいほど達成率は高くなっているものの、すべての規模で前年より低下した。  また、障がい者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は3万6485社あり、未達成企業に占める割合は、57・6%となっている。  法定雇用率の引き上げに伴い、特に中小企業では達成率の低さが続いており、制度への対応力における格差が一層鮮明になっている。 2025年4月から 除外率制度の見直し  除外率制度とは、障がい者の就業が一般的に困難と認められる業種に対して適用される仕組みで、法定雇用率を一定割合を控除することで、障がい者の雇用義務を軽減する制度である。2002年の法改正以降、段階的な縮小・廃止が進められており、2025年4月には全業種で一律10ポイントの引き下げが実施された。  これに伴い、除外率が高かった製造業や建設業でも、障がい者雇用への一層の取り組みが求められるようになった。 障がい者雇用状況と 連合大阪の取り組み  大阪労働局が2024年12月20日に公表した調査データによると、大阪府の民間企業の雇用障がい者数は6万2038・0人(身体3万5241・0人、知的1万3068・5人、精神1万3728・5人)だ。そして対前年度比で見ると「身体」2・8%増、「知的」5・1%増、「精神」18・6%増といずれも前年よりも増加しており、特に精神障がい者の増加が大きい。また、実雇用率は2・44%(前年2・35%)と過去最高を更新している。しかし、2・5%の法定雇用率を達成している企業の割合は41・7%(前年46・1%)と前年を下回る状況にある。  4月の法定雇用率引き上げにより、障がい者雇用義務の対象となる民間企業はさらに増加する。これまで以上の障がい者雇用への理解促進やノウハウの提供にあわせて、政府の補助金・助成金などの有効活用と実効性を高める取り組みの重要性が増している。  そうした中、連合大阪では毎月9月の障害者雇用支援月間に、認定NPO法人大阪障害者雇用支援ネットワーク(以下、ネットワーク)と連携した啓蒙活動を行っている。その一つが、「はたらく障がい者なんでも相談キャンペーン」である。障がいのある働く人・働きたい人やその家族、障がい者を雇用する(雇用したい)事業主や支援者などを対象に、それぞれの働く場での悩みや就労支援策、職場でのサポート方法など、多様な相談に対応できるよう相談員を配置し対応している。今年も昨年同様、9月4日から6日までの3日間で実施する。  また、このキャンペーンに連動して9月22日に「障がい者雇用フォーラムin大阪」を開く。このフォーラムはネットワークに加え大阪府とも連携し、「障がい者とともに働き育む社会のかたち」をテーマに実施する。フォーラムでは、企業と福祉と連携しながら障がいのある方々が安心・安全に働き続けられる、包摂的で多様な社会の実現に向けた取り組みなどを紹介する。 多様な人材が 活躍する社会へ  障がい者の多様な就労ニーズに応えるためには、個々の特性や希望に応じた柔軟な職場環境の整備と、継続的な支援体制の構築が不可欠である。合理的配慮の提供や職場内での理解促進など、障がいのある方が安心して能力を発揮できる環境づくりが求められる。これを実現していくためには単なる制度対応にとどまらず、企業文化や職場の風土そのものを変えていく必要がある。  また、障がい者の就労は、経済的自立や社会参加を促進するだけでなく、職場における多様性の価値を高め、職場の中で互いの違いを尊重し合い、協働の中から新たな発想や創造性が生まれる。こうした職場のあり方は、企業の持続可能性や社会的責任の観点からも重要である。  連合大阪がめざす「働くことを軸とする安心社会」は、多様な人材が活躍できる職場や社会を築くことでもある。労働組合としても、障がいの有無に関わらず、働くことを希望する誰もが安心して働き続けられるよう、それぞれの職場で積極的に取り組んでいただきたい。 (11字×178行) ミニ情報 地元が生んだおいしい味・郷土料理 <福岡県・ぬかみそ炊き>  江戸時代、北九州・小倉に伝わったぬか漬け。そのぬか床は代々受け継がれており「100年もの」を誇る家もあるという。この長年手入れされてきたぬかみそを使った郷土料理がぬかみそ炊き。イワシやサバといった青魚をしょう油・みりん・砂糖を加えた煮汁で炊き、ある程度火が通ったら一握りのぬかみそを入れ、さらにトロ火で炊くという料理だ。ぬかみそを加えることで青魚の臭みがなくなり、発酵によるうま味が付与される。保存性もよく各家庭では手軽に食べられるおかずとして重宝されている。また北九州の名物として飲食店で提供されているので、旅行で訪れた際にはそこで地元の味を堪能してみては。 #3 ボランティアインフォメーション  各種の団体やイベントでは、広くボランティアを募集している。単発のボランティア(1回だけの活動)や初心者、親子参加を歓迎するものも多い。興味のある活動、分野に参加し、新しい世界にチャレンジしよう。 *掲載している情報はKVネット(https://www.kvnet.jp)から転載したものです。 ▼内容の詳細、相談、参加希望などは、それぞれの活動の「問い合わせ先」に直接連絡を。 ●チアダンスのダンスボランティア募集  スペシャルオリンピックス西宮のチアダンスの活動です。知的障害があるアスリートたちと一緒にチアダンスを踊りませんか。ダンスの経験がなくても大丈夫。コーチが丁寧に教えます。 ▼日時/9月7日(日)13時半〜15時▼場所/百合学院高等学校体育館(阪急「園田」駅より南西へ徒歩約12分)▼費用/交通費は自己負担▼募集対象・人数/10人。男女国籍問わず15歳以上の方で子ども好きな方。日本語で基本的なことが伝えられる方▼ボランティア参加の注意事項/@参加のアスリートに個人的に連絡先などを教えない。Aゆとりを持って。体調が悪いときは無理をしない。B個人情報保護のため、館内での写真撮影は一切禁止。Cボランティア活動中のトラブルはスペシャルオリンピックスのスタッフに対応してもらう。D参加予定の日から2週間以内に法定伝染病、または感染性疾患に罹(かか)った場合、または罹患(りかん)した同居家族がいる場合は参加不可▼申込締切/9月4日まで▼申込方法/ハンズオン東京のホームページ(https://www.handsontokyo.org/topics/28/)よりボランティア登録をし、その後、イベントカレンダー(https://www.handsontokyo.org/events/)からハンズオン関西をソート。この活動を見つけてサインアップを。待ち合わせ場所などは活動ページに記載▼問い合わせ/認定特定非営利活動法人ハンズオン東京、担当・浅沼真実TEL090(1549)5482、Eメール:mami.asanuma@handsontokyo.org URL:https://www.handsontokyo.org/ ●エンタメ×手話で社会を変えよう!  手話とエンタメを掛け合わせ、手話や聴覚障害について楽しく学べるワークショップやパフォーマンスを行っています。一緒にステージに立ってワークショップやパフォーマンスをしてくれる人、この活動を広める広報に協力してくれる人を募集しています!※手話未経験でもOKです♪ ▼活動日/依頼が入ったタイミングで募集。自身が参加できる時に参加を▼活動時間/9時〜22時の間で相談。稽古は毎週木曜日に実施▼稽古場/新大阪KOKO PLAZA(JR・大阪メトロ「新大阪駅」から徒歩5〜10分▼費用/会員:一般、年5000円、学生、年2500円、サポート会員:会費なし。※交通費や食費などは自己負担▼募集対象・人数/性別・年代・経験者問わず。ステージでワークショップやパフォーマンスをしたい人。カリキュラムや脚本を考えることが好きな人。パフォーマーを支えるマネージャー的存在になりたい人。この活動を伝えてくれる人(文章やイラストを描くのが好きな人)▼申込締切/なし▼申込方法/次のフォーム「ご見学(体験)」より申し込む。https://www.oioi-sign.com/visit/▼問い合わせ/一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioi、担当・口、Eメール:oioi@oioi-sign.com URL:https://www.oioi-sign.com/ <情報提供/大阪ボランティア協会TEL06(6809)4901> (11字×120行) #4 労働ニュース 最低賃金の目安 63円で過去最高額  厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会は8月4日、令和7年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を取りまとめた。  最低賃金引き上げの目安額は、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円となり、ランクごとの加重平均はAランク5・6%、Bランク6・3%、Cランク6・7%となった。  目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合、全国加重平均は1118円で、この場合、全国加重平均の上昇額は63円(昨年度は51円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となる。  今回の答申に対し、労働組合の連合は「過去最高となる6%の目安は、賃上げの流れを未組織労働者へと波及させ、社会全体の賃金底上げにつながり得るもの」として高く評価するとともに、今後は地方における審議で目安額を軸とした活発な議論と早期の発効に向けて取り組むとした。 (11字×35行) 国家公務員志望動機 「公共のため」最多  人事院は7月29日、総合職試験などからの新規採用職員に対するアンケート調査の結果を公表した。  国家公務員になろうとした主な理由を聞いたところ「公共のために仕事ができる(73・0%)」が最も多く、「仕事にやりがいがある(54・8%)」、「スケールの大きい仕事ができる(53・8%)」と続いた。  どのようなタイプの上司の下で仕事がしたいかを聞いたところ「部下と積極的にコミュニケーションを取る(60・2%)」が最も多く、「指示が明確である(49・4%)」、「言動に一貫性がある(39・1%)」と続いた。一方、回答が少なかったのは「厳しく育ててくれる(6・6%)」、「任せてくれる(8・5%)」だった。  公務の魅力向上のために必要と考えられる取り組みを聞いたところ「給与水準の引き上げ(78・2%)」が最も多く、「超過勤務・深夜勤務の縮減(54・4%)」、「フレックスタイム制やテレワークの活用推進、業務効率化等(33・4%)」と続いた。 (11字×39行) 違法な時間外労働の 事業場に指導  厚生労働省は7月30日、長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表した。この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1カ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としている。  対象となった2万6512事業場のうち、1万1230事業場(42・4%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行った。このうち「1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場」は、5464事業場(48・7%)だった。  また「賃金不払残業があったもの」は、2118事業場(8・0%)、「過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの」は、5691事業場(21・5%)だった。 (11字×32行) SDGsの企業意識 減少し53・3%  樺骰巣fータバンクは7月25日、SDGsに関する企業の意識調査(2025年)を公表した。  自社におけるSDGsへの理解や取り組みを聞いたところ「意味および重要性を理解し、取り組んでいる(または取り組みたい)」とした企業は53・3%で1・2ポイント減となり、2020年の調査開始以来、これまで増加傾向だったものが初めて減少することとなった。  企業規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71・1%で、全体(53・3%)を大幅に上回った。「中小企業」では50・2%、「小規模企業」では40・8%となった。  SDGs17の目標の中で、力を入れている項目を聞いたところ「働きがいも経済成長も」が34・1%で最も高く、「気候変動に具体的な対策を(24・3%)」、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(24・2%)」、「つくる責任つかう責任(22・9%)」が続いた。  現在SDGs各目標に力を入れている企業に、取り組みによる効果を聞いたところ「効果を実感」している企業の割合は69・9%となった。具体的な効果としては「企業イメージの向上」が40・5%で最も多く、「従業員のモチベーションの向上(32・1%)」、「経営方針等の明確化(17・3%)」、「採用活動におけるプラスの効果(17・0%)」が続いた。 (11字×50行) #5 労働安全衛生 数える労働安全衛生(204) 職場改善実施は49% ストレスチェックの効果  ストレスチェックが義務となったのは2015年のことだ。健康診断と同じように、年に1度、職場のストレス調査票が配布され、一人ひとりに評価が返される。  すでに10年が経過しつつあるが、効果はどうだろうか。各種の研究報告によると、労働者自身のストレスへの気付きに加え、集団分析により職場環境改善への取り組みなどの効果が確認されたという。  ただ、ストレスチェック制度は、得られた回答を集団分析して、その職場のストレス状況に応じた職場改善につなげていくことまでを含めて、「メンタル不調の未然防止」が目的とされている。その割には、集団分析を実施した事業場は85%、職場改善を実施した事業場は49%という数字だ(2020年)。  改善につながらない理由の一つに、政府が示しているマニュアルが健康管理担当者を念頭に置いたものとなっていて、事業者や人事労務部門を想定できていないという点が指摘されている。  また以前から問題となっているのは、50人未満の小規模な事業場は例外になっていることだ。産業医などの選任義務がないなど、適切な情報管理の体制整備についての懸念から、ストレスチェックの実施は、「努力義務」とされてきた。  しかし、制度の効果が認められている以上、支援策を整備して、全体の6割を占める50人未満事業場についても、今年の法改正で義務化の道筋をつけることとなった。  ストレスチェックから職場改善へ、まさにこれからの課題だ。 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸 (10字×65行) 情報 京都国立近代美術館「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」 きものの美の表現に迫る  鮮やかな色と文様に彩られたきものが所狭しと並ぶ会場。反物を直線縫いしたきものは平面的なものですが、身にまとうことで立体的になります。この平面と立体を行き来するきものの秘密に迫った「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」が京都国立近代美術館で開催されています(9月15日まで)。  きものというと、現代の私たちは振袖などにみられる華やかな染色を思い起こしますが、実は江戸時代半ば以降に発達した友禅の技術によって、あのような繊細で華麗な表現が可能になりました。そしてこの確かな技術を裏付けに、時代ごとにさまざまな意匠や構成が生み出されてきました。そんな意匠と構成の変遷を示しているのが展示されたきものや雛形(ひながた)本などの資料です。  併せてきものの図案と関連の深い円山応挙から始まる京都画壇の作品や彼らが手がけた下図、そして染織図案も展示されており、図案から染色作品へと応用されていく過程や他の工芸作品へ与えた影響も示されます。  この展覧会には今年創業470周年を迎えた京友禅の老舗「千總(ちそう)」が特別協力しています。同社と千總文化研究所が所蔵する作品に京都国立近代美術館の所蔵品を加えて構成されたこの企画、京都ならではといえるでしょう。 ▼会期/9月15日(月・祝)まで▼会場/京都国立近代美術館(京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ)▼開館時間/10時〜18時、金曜日は20時閉館(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし9月15日は開館▼観覧料/一般2000円、大学生1300円、高校生600円、中学生以下・心身に障がいのある方(付添者1人含む)無料(要証明書)▼TEL075(761)4111 (11字×65行) *江戸時代中期に技法が完成した友禅染。絵画的な意匠や模様も発達し、繊細で華麗なきものが次々とつくられた #6 コラム ニュースな暮らし(75) 文化財的価値ある教会が戦災遺構に  昭和のドラマを彩った脚本家としてファンが多い向田邦子。エッセイも人気で読み継がれている。彼女の父が保険会社の転勤族のため、1939年1月に鹿児島市の城山の麓(ふもと)に引っ越し、小学3年から5年まで山下尋常小学校(現・山下小)に通った。  最初のエッセイ集「父の詫(わ)び状」のなかに、同市に住んでいた頃を思い出し「フランシスコ・ザビエル教会の静かなたたずまい」となつかしむ一文がある。この教会は「ニュースな暮らし」bT0の「記念碑にザビエルのルがない理由」で触れた、石造りの初代の建物だ。小学校の斜(はす)向かいに建っていたので、毎日のように目にしていたのだろう。  教会建設を計画中に台風が襲来し、1000戸以上の家屋が倒壊し死傷者もおびただしかったという。ザビエル渡来350年を記念して建設に当たったラゲ神父は、頑丈な石造りにし08年に完成させた。資金は神父が編纂(へんさん)した「仏和辞典」の売上金が当てられた。石造り教会としては長崎の浦上天主堂より6年早い。  文化財としても価値がありそうなロマネスク様式の聖堂は、45年4月8日に米軍の空爆を受けた。屋根が壊され、内部は全焼し外壁を残すだけの無残な姿になった。この日の空爆だけでも、250`の大型爆弾が約60個落とされ死傷者約1000人、約2600戸の家屋が被害にあった。天災に備えた石造りも空襲にはひとたまりもなかった。  61年12月、向かいの公園にザビエル「滞鹿記念碑」が建てられた。これは焼け残った教会の外壁の一部で造られたもの。戦後80年。記念碑としてだけではなく戦災遺構としても見つめ直したい。 浜床たかし (11字×61行) 労働コラム 労基法でよもやま話(53) 面接で聞くべきでないことは? 《質問》我が社のある面接担当官が踏み込んで訊(き)いてしまったのか、労働局から指導を受けました。就職面接の際にはどのような点に留意すればよいのでしょうか? 《回答》企業の採用については、採用の自由が保障されており、誰をどのような条件で採用するのかは、基本的には企業の自由ですが、法律その他の制限がない限りという限定が付いています。就職面接も採用活動の一環として、どのような方法で、どのような時間に、実施するのかについての法的な規制はありませんが、学生・求職者の基本的な人権を尊重するものでなければならず、質問内容については、プライバシーを侵害することのないようにしなければなりません。(後略) (厚生労働書サイト「スタートアップ労働条件」)  「お父さんはなにしてるの?」と面接で聞かれたと学生が大学の就職支援センターに話したところ、大学から労働局へ通報があり、その会社が指導を受けたと聞いたことがあります。  大阪労働局のウェブサイトには「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」が挙げられています。例えば「あなたのお父さんとお母さんの出身地はどこですか」、「あなたの住んでいる家は一戸建てですか」、「尊敬する人物を言ってください」など。  応募者本人の責任でない事柄(出身・家族構成・資産)や、思想・信条など憲法で保障されている個人の自由に関する事柄を選考に持ち込むことは避けなければいけません。また、「(男性だけに、または女性だけに)残業は可能ですか、また転勤は可能ですか」など男女雇用機会均等法の趣旨に違反する質問も、性別を理由とする差別につながるとしています。  対人関係やコミュニケーションを重視する日本の企業では、どうしても「ひととなり」を探る質問をしてしまう傾向があるかと思います。しかし、仕事をする上で必要な能力と適正を確かめることに主眼を置いて、プライバシーに踏み込まないようにしなければなりません。 大阪産業労働資料館エル・ライブラリー 千本沢子 (11字×78行) #7 社会 介護保険歩みとこれから(5) 参院選、各党の公約  7月の参院選は、衆院選に続いて与党過半数割れとなり、今後の行方が見通せなくなっている。物価高の中、「消費税減税」「定額給付金」が争点になったが、その根本の税と社会保障制度についてきちんとした争点は提示されなかった。  社会保障財源の各政党の主張は、維新の「社会保険料を下げる→保障を減らす」、参政の「国民負担率上限35%に」以外は、消費税問題のみ。とりわけ「介護保険財源」は共産と社民が「国費負担を25%から35%に」、れいわが「国負担50%以上」とあるのみだ。  深刻な人材不足に対しては、自民は「物価高や他産業の賃上げに負けない公定価格(医療・介護)の引き上げ」、立民は「給与を全産業平均に引き上げ、訪問介護の基本報酬引き上げ」、公明は「給与を全産業平均に引き上げ」、共産は「訪問介護の基本報酬を元に。介護職の賃金を全産業平均に」、国民は「介護・看護・保育の給料を10年で倍増」、れいわは「介護・保育の月給10万円アップ」、参政は「介護と農業の両立のケアファーム」、社民は「介護報酬を引き上げ介護従事者の賃上げ・処遇改善」とある。  一方、参政の終末期医療を全額自己負担や、国民の安楽死法案検討など、世代間の分断と対立を煽(あお)る政策もだされた。  今後、立民・国民・維新共同提案の「介護・障害福祉従業者処遇改善法案」などへの対応や、2025骨太方針にある「ケアプランの有料化、利用料の2割負担の標準化、要介護1・2の総合事業化」などへの取り組みが一層必要となる。  この間の選挙の投票率は60歳台と比べて70歳台以上では約10%低い。2017年に総務省は、「投票環境の向上方策等に関する研究会報告(高齢者の投票環境の向上について)」で要介護5に認められている「郵便投票」の対象を要介護3・4に拡大する旨の報告を行っている。8年経つのにいまだ実現していない。 高齢社会をよくする女性の会・大阪 代表 植本眞砂子 (11字×73行) 情報 奈良国立博物館「世界探検の旅」 時空超え文化に出会う  人類の約6000年にわたる文明の変遷を、時空を超え旅するように見ることができる展覧会が奈良国立博物館で開かれている。それが特別展「世界探検の旅―美と驚異の遺産―」だ。そしてこれは、30万点にのぼる考古資料、民族資料を所蔵する天理大学附属天理参考館と、数々の仏教美術を所蔵する奈良国立博物館との初のコラボレーション展でもある。  展示は三つの章で構成されている。第1章「文明の交差する世界」ではオリエントと中国に焦点をあて、文明の誕生を起点に各地の文明が交流していく様や、仏教の伝来などが見て取れる資料を展示。第2章の「神々と摩訶(まか)不思議な世界」では、パプアニューギニアの精霊仮面「コヴァヴェ」やインドネシアの儀礼劇チャロナランの仮面などを展示し、信仰と死後の世界を紹介する。  そして第3章の「追憶の20世紀」では、北米の先住民が身につけていた戦士の栄誉礼冠や、北京の商店が掲げていたさまざまな効果看板などを展示。懐かしさを感じる20世紀の文化と先人の知恵が紹介される。  また会場全体にはドラマティックな照明が施されており、異世界感を醸し出すのに一役買っている。人類が歩み育んできた文化と歴史を体感できる展覧会だ。 ▼会期/9月23日(火・祝)まで▼会場/奈良国立博物館東西新館(「近鉄奈良」駅から登大路を東へ徒歩約15分)▼開館時間/9時半〜17時、ただし土曜日は19時閉館(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/8月25日、9月1日、8日、16日▼観覧料/一般1800円、高・大学生1300円、中学生以下・障害者手帳などをお持ちの方(介護者1人を含む)は無料▼TEL050(5542)8600(ハローダイヤル) (11字×65行) *ニューギニアの人々は精霊を畏怖するとともに「かたち」として表現。その迫力ある姿に見る者は圧倒される #8 労働運動史 大阪の労働争議アレコレ(5) 大正の米騒動Bー地主襲撃  都市部の暴徒化した人びとは、日頃のうっぷんを晴らすかのように米屋を襲ったため、大阪府は、8月14日に夜間外出禁止令を発しました。  これにより、大阪市・堺市などは平静を取り戻しましたが、逆に郡部では、暴動の気運が高まっていました。郡部で暴動の標的とされたのは、村の有力者や地主、資産家でした。  とくに地主が狙われたのは、戦前の日本農業のあり方が影響していました。日本の農地のほとんどが地主のものだったため、農民(小作人)は地主から土地を借りて耕作し、そのかわりに小作料を地主に支払っていたからです。なかでも大地主は、働かなくても小作料だけで十分に生活が成り立っていました。  寄生地主制と呼ばれるこのようなシステムは、明治時代から本格化。日本の敗戦後に連合国軍総司令部により農地改革が実施されて小作人が土地を持てるようになるまで続きました。とくに高率の小作料を小作人に課すような地主は、小作人から憎まれていました。  3人の大地主が支配する村(現在の大阪市平野区)では、それら地主のもとで働く小作人ら40人が「大地主征伐」を掲げて次々と地主宅を襲っています。小作人に厳しい態度を取る大地主が、困窮する村民への米の安売りを拒否したことから、その大地主の自宅を打ち壊した村(現在の堺市北区)もありました。  村内の対立関係が米騒動をきっかけに表面化することもありました。ある村(現在の大阪市住吉区)では、貧民救済のために米を安く買おうとした在郷軍人会が、不足する資金を村長に借りに行ったところ、嫌な態度を取られたため、村長のライバルの府会議員に資金を借りて米を購入し、府会議員の家に持ち込みました。このあてつけに怒った村長は釈明のため村民会議を開きましたが、逆に村民の怒りを買い、村長の自宅は石油をまかれて全焼したのです。  8月11日に始まった大阪の米騒動が収束したのは20日のことでした。終始騒動の鎮圧にあたった警官の負傷率は、大阪が全国1位で、いかに大阪の米騒動が激しかったのかがわかります。 エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織 (11字×80行) 情報 京都市京セラ美術館「どこ見る?どう見る?西洋絵画!」 絵画史600年を展観  米国サンディエゴ美術館のヨーロッパ絵画コレクションの中から54点の作品が初来日、そこに東京の国立西洋美術館の6作品を加えて公開されている。それが京都市京セラ美術館で開かれている「どこ見る?どう見る?西洋絵画!―ルネサンスから印象派まで」だ。  展示は四つの章に分かれ、ルネサンスから印象派まで600年にわたる西洋絵画の流れを紹介。そして章ごとに説明パネルや鑑賞のヒント、作品個々にも解説を付けて、より深く鑑賞できる仕掛けとなっている。  また興味深い作品も数多い。その一つが17世紀初頭、スペインで花開いたボデゴンと呼ばれる独自の静物画ジャンルだ。始祖とされるフアン・サンチェス・コターンの《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》は、まるで現代のモダンアートだ。その静謐(せいひつ)な構図に見入ってしまう。  18世紀、フランスで描かれたマリー=ガブリエル・カペの《自画像》にも目を奪われる。絵画制作中のシーンを描いているのだが、その姿は華やかな巻き毛に優雅な青いドレスと当時の最先端ファッション。見る者の関心を引く演出だ。  初めて絵画鑑賞する人はもちろん、何度も展覧会に足を運んでいる人も、西洋絵画の面白さをあらためて知る展覧会となった。 ▼会期/10月13日(月・祝)▼会場/京都市京セラ美術館(京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ)▼開館時間/10時〜18時(入場は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし9月15日、10月13日は開館▼観覧料/一般2200円、高・大学生1400円、小・中学生900円、障害者手帳などを提示の方(介護者1人含む)は無料(要証明書)▼TEL075(771)4334 (11字×66行) *作品の横にある解説が作品鑑賞をより深くし、楽しませてくれる。フアン・サンチェス・コターン 《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》 1602年頃 サンディエゴ美術館蔵 #9 健康 こころとからだの健康づくり(304) 生命維持の要 水分補給をしっかりと  猛暑が続きますが、水分補給はこまめにしていますか?1日どのくらい水分を摂取していますか?  人間が生命を維持するために水は最も重要です。人間の体の中で水の占める割合は、新生児で体重の75%、子ども70%、成人男性60%、成人女性50%、高齢者50%となります。年齢とともに体の水分は減っていきます。  あらゆる生命は水に依存し、水を飲まなければ、どんな健康な人でも4〜5日で体調を崩してしまいます。人間の体の半分以上を占める水。その水の約6割は細胞の中にあり、残りは細胞の外、血液や体液などに含まれています。  細胞は体を構成する一番小さな単位で、人間の体は約37兆個もの細胞が集まってできています。そしてその細胞の7割の部分を水が占めています。つまり水がないと人間の体は作れず、再生もできません。  1日中、何もしていなくても約2400〜2800_gの水が体から出ていくと言われます。その約1500_gが尿です。腎臓で濾過(ろか)された老廃物は、水と一緒に尿として体から排出されます。もし尿が出なくなると体内に毒素が溜まり、尿毒症になってしまいます。また呼気や皮膚からの蒸散もあります。失われた水分はしっかり補給しなくてはいけません。  1日の食事に含まれる水分は平均700〜1000_gですが、3回の食事だけでは水分は不足します。そのため食事以外で約1日1500〜2000_gの水をしっかり摂って、体内の水分の巡りを良くしなくてはいけません。 水分補給に 適する飲み物  @水=何も含まず基本的に適しています。A麦茶=ミネラルを含むため適しています。Bルイボスティー=ミネラルを含み、リラックス効果も期待できます。C=経口補水液=脱水症状や熱中症予防、回復に効果が期待できます。D味噌汁=水分だけでなく塩分やミネラル、タンパク質が補給でき、具材によってはビタミンやミネラルの摂取も可能です。  一方、ジュースなどの糖質の多いものや、運動などで体を動かしていないのに、過剰にスポーツドリンクを飲むと血糖値が上がります。気をつけましょう! 水を蓄える 筋肉を増やそう  体の組織の中で一番水分を蓄えているのは筋肉です。筋肉はグリコーゲンという糖質をエネルギー源として蓄えています。グリコーゲンは水とともに貯蔵されるので、筋肉量が多いほど水分量も多くなります。  生活の中でできるだけ体を動かして筋肉を増やし、また筋肉を落とさないようにして、体の水分調整をしっかり行いましょう! 健康運動指導士 竹田 薫 (11字×97行) 情報 大阪くらしの今昔館 「都市の祝祭」  大阪くらしの今昔館では万博記念展として「都市の祝祭―造り物から博覧会へ 賑(にぎ)わうまち大阪―」を開いている。  江戸時代、大坂のまちでは祭などの際に造り物と呼ばれる飾りを施し、寺社の境内で芸の披露をしていた。明治時代になると第5回内国勧業博覧会が開かれ、モニュメントの設置や諸芸の披露があった。その後も数々の博覧会があり、新しい技術の普及や発展に寄与。そして博覧会を迎えるためまちは整備され国際都市として成長してきた。  記念展では近世の造り物の再現展示をはじめ、近代の博覧会から70年の大阪万博、その後の博覧会までの「都市の祝祭」を表す資料を展示、その様相を探る。 ▼会期/10月19日(日)まで▼会場/大阪くらしの今昔館(大阪メトロ谷町線・堺筋線「天神橋筋6丁目」駅下車すぐ、住まい情報センター8階)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/火曜日と9月8日〜13日、ただし9月23日は開館▼観覧料/企画展:1000円、常設展+企画展:一般1400円、高・大学生1100円(要学生証)▼問い合わせ/大阪くらしの今昔館TEL06(6242)1170 (11字×44行) #10 自然 生命の海の生きもの(67) フグを超える猛毒カワハギ 「ソウシハギ」  大きなカワハギが釣れた!あれ、カワハギにしては細長い?こんな青い線入ってたっけ…。こんな時はご用心。フグより強い毒を持つこの魚、ソウシハギかもしれない。注意喚起を兼ねて今回はこの猛毒カワハギについて紹介する。  フグ目カワハギ科ウスバハギ属に分類されるソウシハギは、最大で全長1bにもなる大型のカワハギの仲間だ。カワハギの仲間らしく厚い皮に覆われた平べったい身体で、通常のカワハギより細長く、体型は食用のウマヅラハギに似ている。黒い斑紋と青から紫の不規則な線模様が特徴で、いかにも毒がありそうな見た目をしている。  世界中の熱帯海域の沿岸部に分布し、日本では従来、主に沖縄県近海に生息していた。しかし近年、温暖化による海水温度の上昇で分布域が広がり、瀬戸内海や三重県鳥羽湾、石川県沖の日本海などで確認されている。18度以下の海域では死滅すると言われており、暖かい海水の流れに乗って北上するものの冬を越すことはできない、典型的な「死滅回遊魚」だと言われている。  このソウシハギ、内臓に「パリトキシン」という毒を持つ。パリトキシンは海産動物が生成する毒物としては最強クラスの強さを誇り、その強さはフグ毒で有名なテトロドトキシンの数十倍。加熱しても分解されない猛毒だ。その強力さから、ハワイの先住民族はこのパリトキシンを矢に塗って用いていたという。  海底に生息する刺胞動物(クラゲやイソギンチャクの仲間)のスナギンチャクの一部に、体内にこのパリトキシンを持つものがいる。ソウシハギはこのスナギンチャクを食べてパリトキシンを体内に取り込み、内臓に蓄積する。ただし最強の毒とはいえ、食によって取り込むことからソウシハギすべてが必ず強い毒を有するわけではない。  また、内臓以外には毒はないため、沖縄県では流通量は多くないもののソウシハギの身の部分を食用にする。普通のカワハギよりかなり身が柔らかいようだが、数日寝かせて水分を抜くとなかなかの美味らしい。沖縄では刺身のほか、鍋や煮つけ、天ぷらなどにして食べるとのことだ。  フグと違って調理に免許はいらないが、命に関わるレベルのリスクがあるのは間違いない。内臓は絶対に食べないのはもちろん、よほどの理由がなければ手を出さない方がいいだろう。(和) (11字×87行) *内臓に猛毒をもつソウシハギ。海水温度の上昇で分布域が北上、広がっている 情報 京都文化博物館で 「青の祓魔師展」  京都文化博物館では特別展「青の祓魔師(エクソシスト)展」を9月15日まで開いている。これは「ジャンプスクエア」(集英社刊)に連載中の人気まんが『青の祓魔師』の15周年を記念した原画展だ。  作品は、サタンの血を引く奥村燐が悪魔を祓(はら)う祓魔師をめざす物語で、特別展では、著者の加藤和恵さんによる解説も交えて燐たちが歩んできたこれまでの物語を振り返ることになる。  加藤さんの圧倒的な画力と筆致を感じる直筆原画や初公開の制作資料が展示されるほか、来場者特典として書き下ろしの記念写真風ブロマイドが配布される。 ▼会期/9月15日(月・祝)まで▼会場/京都文化博物館(地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から東へ徒歩約3分)▼開室時間/10時〜18時、金曜日は19時半閉室(入場は閉室30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし9月15日は開館▼観覧料/一般・大学生1800円、高校生1300円、小・中学生800円▼問い合わせ/京都文化博物館TEL075(222)0888 (11字×39行) #11 デジタル 個人的DXのススメ(27) 「枝分かれ思考」から結論へ ――統合役の設計術  AIに複数の人格を与え、異なる視点から意見を述べさせる「枝分かれ思考(ToT)」は、物事を多角的に捉えるのに役立つが、AIが最後に示す「まとめ」は、意見を並べただけの要約であり、「納得できる結論」になっていないことが多い。「判断は人がする」で正しいのだが、せっかくなら、もう一歩踏み込んだ出力が欲しい。  こうしたときに必要なのが、構造的な意思決定を行う「統合する人格」を適切に設定することだ。統合役を機能させるには、判断の土台として、目的との整合性・関係者への影響・実行可能性など、複数の評価軸を明示し、それに基づき意見を比較・重みづけさせる必要がある。また、優先すべき観点や許容できるリスク、除外する要素なども、制約条件としてAIに明確に指示する。統合役の役割は、AIが出力した各意見を調整し、折り合いをつけることだ。  具体的には、「各人格の意見を評価軸A・B・Cに照らして統合し、最も目的にかなう方針を提示してください」といったプロンプトを統合役に与える。評価軸の例としては、ユーザーの問いに対し、目的に合うか(整合性)、関係者が納得できるか(影響)、制度や費用の面で実行できるか(実行性)などがある。  統合役を置くことで、「枝分かれ思考」の終着点は、情報の整理にとどまらず、判断の根拠や優先順位、実行の前提条件を含めて、より明確に示されるようになる。 (11字×53行) 食べもの おいしいもんめぐり大阪(98) パイの中からトローリ  Wみたらし小餅W、大阪に住んでいる人は何度か目にし、食べたことのある人も多いだろう。老舗和菓子店「千鳥屋総本家」が製造販売している。この商品の売りは、みたらし団子を手を汚さず食べられるよう、小餅の中にみたらしのタレを入れたこと。「大阪産(もん)」にも認定されている。  そんな千鳥屋総本家の唯一のカフェ「みたらし小餅茶屋」が天王寺の駅ビルにある。ここで提供されているのがWみたらし小餅パイWだ。読んで字のごとし、みたらし小餅が入ったパイ、この店限定で販売されていると知り、和洋折衷の味を味わうことにした。  店内の専用工房で焼き上げられたみたらし小餅パイは、以外とずっしりしてボリューム感がある。一口食べるとサクサク食感のパイ生地のおいしさが口に広がる。そして次にくるのが甘さ控えめのあんこ。これがパイと相性抜群で、思わずおいしいとつぶやく。食べ進めるとみたらし小餅が登場。弾力のあるかみ応え、そしてみたらしのタレがトローリあふれだし、初めての味わいにほおが緩んだ。  カフェでは飲み物とのセットや、ボリューム満点の「みたらし小餅パイパフェ」などの和スイーツを提供している。パイ単品でのテイクアウトもOK。小腹がすいたときに最適のスイーツだ。 ▼価格(税込み)/300円▼販売店/みたらし小餅茶屋(JR天王寺駅直結・天王寺ミオ1F)▼営業時間/10時〜21時▼不定休▼TEL06(6776)0733 (11字×55行) *おいしくて食べ応えがある。和洋折衷のスイーツをどうぞ #12 本 最近読んだ本 NHKラジオ深夜便 絶望名言 頭木弘樹/NHK<ラジオ深夜便>制作班/川野一宇/根田知世己 著 暗があるから明がある 絶望があるから……  <人間は昼と同じく、夜を必要としないだろうか>[ゲーテ]。なるほどとうなずく思いがある。<「どん底まで落ちた」と言えるうちは、まだ本当にどん底ではない>[シェークスピア]も。追い打ち的な言は<明けない夜もある>[シェークスピア]だ。これについて解説の頭木さんはこう述べている。「夜はたしかに時間が経(た)てば必ず明けるわけですけれども、心の闇は、朝六時になったから明けるとか、そうはいかないと思うんですね。ずっと明けないこともあると思うんですね」。      *  本のタイトルは『絶望名言』。NHK「ラジオ深夜便」の中のコーナーを収録したもの。文学紹介者頭木弘樹(かしらぎひろき)とNHKアナウンサー川野一宇(かわのかずいえ)の対話による番組。12回分を収録している。  名言の発言者は12人。  カフカ・ドストエフスキー・ゲーテ・太宰治・芥川龍之介・シェークスピア・中島敦・ベートーヴェン・向田邦子・川端康成・ゴッホ・宮沢賢治。      *  <将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです>[カフカ]。  <どうせ生きているからには、苦しいのはあたり前だと思え>[芥川龍之介]。  <厄介な病気を背負い込んだ人間にとって、一番欲しいのは「普通」ということである>[向田邦子]。  <風のなかを自由にあるけるとか、はっきりした声で何時間も話ができるとか、じぶんの兄弟のために何円かを手伝えるとかいふやうなことはできないものから見れば神の業(わざ)にも均(ひと)しいものです。そんなことはもう人間の当然の権利だなどといふやうな考では、本気に観察した世界の実際と余り遠いものです>[宮沢賢治]。      *  ちなみに、NHK「ラジオ深夜便」は夜の11時5分から翌朝5時まで毎日放送されている。小生はラジオつけっ放しで就寝。ときどき聞いている。 《窪田聡》 (11字×76行) *飛鳥新社 本体864円+税 本 おすすめBOOK 「もう歩けない」からが始まり 〜自衛隊が教えてくれた「しんどい日常」を生きぬくコツ〜 ぱやぱやくん 著  「自衛隊って、実際どんなところ?」。世間ではあまり知られていない自衛隊のリアル。それもそのはず、隊員は情報発信に制限があり、外からはなかなか見えない世界だからだ。そんなW閉ざされた組織Wの内側を、少しだけ覗(のぞ)ける一冊。  著者は、防衛大学を卒業し、陸上自衛官として勤務した「ぱやぱやくん」。退官後、民間企業に就職した彼は、世間の自衛隊に対するイメージと、実際に自分が体験した現実とのギャップに驚き、この本を執筆することにしたという。  理不尽な命令、過酷な訓練、「これって本当に必要?」と思わずにはいられない日々。自衛隊という、日常の中では決して体験することのない生活で培った「折れない心」と「しなやかな思考」とともに、自衛隊ならではのライフハックを知ることができる。(T) (11字×31行) *育鵬社 本体1400円+税 #13 食べもの 暮らしの中の魚(180) カンパチ  カンパチはブリやヒラマサと同じくアジ科ブリ属の魚で、お寿司屋さんでもよく見かける高級魚です。カンパチとブリは見た目が似ているので違いがわかりにくいのですが、カンパチは漢字で「勘八」とか「間八」と書くように、生きている時に上から見ると、頭に「八」の字のような模様があります。また、体表がやや黄色っぽく口先が赤身を帯びているのが特徴です。  世界中の、温帯から熱帯の海に分布しています。日本近海では北海道から沖縄まで日本中を回遊しており、釣りや定置網などで漁獲されます。天然物はブリの旬が冬であるのに対しカンパチやヒラマサは夏場が旬になります。養殖は水温が高く成長の早い鹿児島県や愛媛県、宮崎県などで盛んに行われています。スーパーや回転寿司で提供されるものの多くは養殖物ですから、私たちにとってはこちらの方がなじみ深いですね。  新鮮なカンパチはコリコリした弾力のある食感と、甘みのある程よい脂ののりが特徴です。ブリよりも白身魚に近く、クセも少ないので食べやすい魚です。  さて今回はさっぱりした夏向けのカルパッチョを紹介しましょう。材料は2人前でカンパチお造り用160c、新玉ねぎ2分の1個、大葉3枚を用意します。ドレッシングはしょう油、レモン汁、オリーブオイル各大さじ1・5を混ぜ合わせ、すりおろしたニンニク1個分とこしょう少々を加えます。新玉ねぎは5分ほど水にさらして水気をよく切ります。大葉は軸を落として千切りにします。カンパチは包丁をねかせて薄く切り、冷凍庫でよく冷やした薄いお皿に放射状に盛り付けていきます。真ん中にタマネギと大葉をのせ、ドレッシングをかけるとできあがりです。  毎年8月は猛暑で海水温も上がるため、魚も夏バテで入荷が少なくなります。食べる側もさっぱりしたものを食べたいところです。こんな時こそ入荷が安定した養殖のカンパチを食べて良質なたんぱく質を補給。長引く猛暑を乗り切っていきましょう。 (11字×76行) *脂がのったカンパチは塩焼きや照焼きにしてもおいしい エッセイ いつもランラン(344) もう一度  7月末、古い友人が天国に旅立った。膵臓(すいぞう)がんだった。昨年2月に余命8カ月と宣告され、抗がん剤治療を中心に闘病を続けていたがついに力尽きた。  ミュージシャンである彼は、若い頃から曲を創り続け、ライブやコンサートで発表。たくさんの観客を前に抜群のギターテクニックを披露しながら歌声を響かせていた。  闘病中もその創作意欲は衰えず、「6曲完成させてCDを」を目標にパソコンに向かい録音していたと聞く。だが、2カ月で1曲完成していたのが3カ月に1曲となり、3曲目ができたあとは、創りたい気持ちがあっても抗がん剤の副作用もあり、身体がいうことをきかなかったようだ。   下痢に手足のしびれ、食欲不振に味覚障害。高熱で入院したことも。抗がん剤治療の副作用は日を追って厳しくなり、やりたいことがだんだんできなくなっていく日々。そのつらさは想像以上のものだったろう。それでも希望を捨てず、生き続けることを選択した彼は強い人だ。  彼と出会い、一緒に笑い、歌い、音楽活動をしていた遠い昔が走馬灯のようによみがえる。TOMさん、ありがとう。もう一度、ステージに立って歌うあなたの声を聴きたいよ。(ぴ) (11字×46行) #14 映画 壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記 2025年/日本/1時間44分/ドキュメンタリー/監督・撮影・編集・製作:川上泰徳/編集協力:大重裕二/ガザ写真:ムハンマド・マスリー/字幕・ナレーション:川上泰徳/配給:きろくびと イスラエルの占領と 暴力を告発する  本作は中東問題ジャーナリスト・川上泰徳による、イスラエルのパレスチナ占領と暴力を告発するドキュメンタリーである。川上はガザに入ることができなかったため、2024年7月にパレスチナ自治区の大半を占めるヨルダン川西岸とイスラエルを取材した。  次々と映し出される分離壁の外側、つまりパレスチナの様子は、不思議なぐらい明るく静かだ。世界遺産に登録されているヘブロン市内ではごく普通の街並みや市場の様子が映る一方、町へと続く車道の途中にはコンクリートブロックが置かれていて、いつでも町を封鎖できるようになっている。ここはアラブ人の自治区のはずだが、実際にはイスラエルが軍事支配しているのだ。  アラビア語で「無人地帯」を表すマサーフェル・ヤッタという村は、文字通りの荒野であり、見渡す限りなだらかな丘陵地帯には灰色の大地が広がる。ここで羊を飼って暮らす人々がいることに驚くばかりだ。すぐそばではイスラエル軍の演習が行われているような土地なのだ。  近隣の村では、違法建築という口実で住戸や学校が重機で破壊されていく。家を失った人々はテントや洞窟で暮らしている。ガザで見るような瓦礫(がれき)の山となった光景には、言葉もない。  川上は次に壁の内側、つまりイスラエルのエルサレムに入る。ここではハマスに捉えられている人質の解放を訴える数千人のデモが行われているが、停戦を叫ぶ彼らの眼にはアラブ人の悲惨は映らない。  一方で、兵役を拒否する若者たちがいることが救いになる。シュプレヒコールを上げる左派の若者たちのすぐそばで、兵役拒否を訴えるユダヤ教超正統派の黒づくめの人々もいて、なにやら不思議な光景が広がっている。拒否者たちは刑務所に収容されていくのだ。  川上はパレスチナ人を支援するイスラエル人のグループにも出会った。彼らは住居を失った人々に食糧配給と医療援助を行っている。人と人とのつながりで人道支援する人たちの存在が、かすかな希望なのだと思いたい。確かに思いたい。  問題はイスラエルの人々にはガザの現状を知らされておらず、自分たちが加害者であることを認めないということだ、と川上は述べている。それは世界中で今広がっている不寛容と「自国ファースト」の思潮と軌を一にしていると私には思える。以(もっ)て他山の石とすべき一作である。  暴虐はガザのみで起きているのではない。この事実は映像でこそ確認してほしい。パレスチナの青い空も灰色の大地も子どもたちのかわいい笑顔も、そしてそれらを覆いつくす非道も。一日も早いガザ戦争の終結を願う人々に見てほしい。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館)館長 谷合佳代子 ▼公開日程/<大阪>9月6日(土)〜第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>9月5日(金)〜京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>順次公開、元町映画館TEL078(366)2636 (11字×111行) *パレスチナ自治区のヨルダン川西岸でもイスラエル軍は口実を設け住居や学校を破壊する。そして辺りは瓦礫の山となり、人々はテントや洞窟での暮らしを余儀なくされる *(C)Kawakami Yasunori #15 映画 ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう 2025年/日本/1時間46分/ドキュメンタリー/監督:平良いずみ/撮影:大城学、赤嶺信悟/出演:仲宗根ユミ、町田直美、アマラ・ストランディ(アメリカ)/配給:太秦 水質汚染への怒り 立ち上がる女性たち  衝撃だった。PFAS(ピーファス)を知らなかったことに。いや知ろうとしなかったことに。知る機会は何度もあったのに。今年に入ってからも横田基地周辺の敷地外に漏出した疑いがあると報道されていた。  PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称だ。水や油をはじく特性を生かし、焦げ付かないフライパンや防水スプレー、半導体、泡消火薬剤などあらゆる生活用品に使われてきた。  2016年、沖縄県は県民45万人に供給する水道水にPFASが含まれていたと公表する。これを知った沖縄の女性たちは、わが子に猛毒入りの水を知らず、知らずのうちに飲ませてきたことにショックを受け、それが憤怒になり苦しみになる。  その時、監督の平良いずみは生まれたばかりの子どもに水道水で作ったミルクを飲ませていた。すぐ浄水器を買いに走り、「絶対、許さない」と思ったそうだ。  母体は自分の身体を守ろうとする仕組みを持つため、体内に入ってきた有害物質は胎児にいく。そして胎児は、スポンジのように母の汚染を吸収する。  アメリカではPFASの、癌(がん)や低体重出生といった健康への影響が確認されていた。そして、その有害性を重く見て規制が進められている。そのきっかけを作ったのは現地の女性たちだ。20歳のアマラ・ストランディさんはミネソタ州議会で「私に何の落ち度もないのに有害な化学物質にさらされてしまいました。そして私はこの癌で死ぬことになります」とスピーチ。そしてPFASを全面禁止する「アマラ法」法成立の3日前に亡くなる。  沖縄では、米軍基地周辺地域から高濃度のPFASが検出されたとして調査を求めているが、日米地位協定が壁となり調査は実現していない。この身動きが取れない状況を打破しようと、これまで政治とは無縁だった女性たちが選挙に立候補し、政治につながっていく。  こんなに涙をながした映画は初めてかもしれない。明るい風景の中で、声をつまらせて語る彼女たちの言葉が、怒り、悔しさ、苦しみを伴い重く響いてくる。それに比べ国連で政府関係者が語る言葉、なんと心のないことか。  平良いずみ監督がインタビューに答えている。「各地で汚染はみつかっているのに汚染源は特定されず浄化も進まない。飲み水の基準も緩いまま。沖縄でさえ世論を動かすほどの動きは生まれていません。だからこそ、全国のあちこちで、小さくてもいいから声をあげてほしい。この映画がそのきっかけになればうれしいです」  映画の題名『ウナイ』とは沖縄の言葉で「姉妹」。そして姉妹のように力をあわせることを意味する。世界中のウナイがPFAS汚染に立ち向かっていく物語だ。1人でも多くの人に見てもらいたい。 岡野万里子 ▼公開日程/<大阪>8月30日(土)〜第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>8月22日(金)〜京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>8月30日(土)〜元町映画館TEL078(366)2636 (11字×116行) *安全だと信じていた水道水がPFASに汚染されていたと知った女性たちは、汚染問題の解決を求め行動を開始した *(C)2025 GODOM 沖縄 #16 映画 原爆スパイ 2022年/イギリス、アメリカ/1時間41分/ドキュメンタリー/監督:スティーヴ・ジェームス/登場人物:セオドア“テッド”・ホール、ジョーン・ホール/日本版字幕:若林信乃/配給:パンドラ 原爆スパイと呼ばれた 天才物理学者の人生  「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマーがロスアラモス国立研究所で原爆開発=「マンハッタン計画」に没頭していた1944年、最年少の18歳で同研究所に迎え入れられた天才物理学者がいた。その彼が本作の主人公、セオドア(愛称テッド)・ホールである。  本作はテッド・ホール本人の晩年の証言映像に加えて、当人亡き後20年後に本作の監督によって撮影された、妻ジョーンのインタビュー映像から成る。さらに過去の出来事は再現ドラマによって可視化される。  主要な登場人物であるホール夫妻からの証言によって、なぜテッドが原爆製造の機密情報をソ連に流したのか、そしてその後の彼らの生活にどのような困難が待ち構えていたのかが明らかになる。原爆スパイと呼ばれた男がどんな家庭生活を営んでいたのかは娘たちの語りからも伺え、この夫婦がどれほど深い絆で結ばれていたのかが痛いほど伝わってくる。  夫妻の姿をさらに彩深(ふか)くしていくのは、テッドのスパイ活動を1997年に著した二人のライターと、テッドの親友の息子である。オッペンハイマーや、ソ連のスパイとして死刑になったローゼンバーグ夫妻に比べて、テッド・ホールは圧倒的に日本での知名度が低い。だが、テッドがソ連に流した情報の重さはローゼンバーグ夫妻の比ではないという。  テッドは語る。「アメリカだけが核兵器を独占することは危険だと思った」と。彼と妻ジョーンはともに飛び級で大学に進学した左翼であり、とりわけジョーンは一家がイギリスに移住した60年代以降、ますます活発な活動家として生きた。実に豊かな知性と才能を持ち合わせた女性であったことに驚嘆させられる。  テッドが行ったことは正しかったのか? ソ連に原爆の情報を与えたことは核軍拡競争を進めただけではないのか? 映画を見終わった後、私は自問自答した。歴史に ifはタブーだというが、もしソ連が1949年に原爆実験に成功していなかったら、アメリカは翌年から始まった朝鮮戦争で核兵器を使用していたかもしれない。そう考えれば核抑止力が働いた、つまりテッドの思惑通りになったともいえるのではないか。  しかし晩年のテッドはソ連とスターリニズムの実態を知り、後悔にさいなまれていた。  通常、この手のドキュメンタリーに挿入される再現ドラマは興ざめなことが多いのだが、本作では緊迫感にあふれており観客を飽きさせない。スパイの生涯への興味がそそられるというだけではなく、今に続く核軍拡競争への警鐘を鳴らす作品として深く受け止めたい。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館)館長 谷合佳代子 ▼公開日程/<大阪>9月6日(土)〜12日(金)第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>8月22日(金)〜28日(木)アップリンク京都TEL075(600)7890、<兵庫>近日公開、元町映画館TEL078(366)2636 (11字×110行) *原子爆弾の研究・開発に参加していた天才物理学者テッド。彼は米国の“原爆の独占”を危険視し、原爆製造の機密情報をソ連へ密かに流した *(C)Participant Film #17 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記 ▼2025年/日本/1時間44分/ドキュメンタリー/監督・撮影・編集・製作:川上泰徳/編集協力:大重裕二/ガザ写真:ムハンマド・マスリー/字幕・ナレーション:川上泰徳/配給:きろくびと▼公開日程/<大阪>9月6日(土)〜、<京都>9月5日(金)〜、<兵庫>順次公開 イスラエルの占領と 暴力を告発する  中東問題ジャーナリスト・川上泰徳による、イスラエルのパレスチナ占領と暴力を告発するドキュメンタリー。川上はガザに入ることができなかったため、2024年7月にパレスチナ自治区の大半を占めるヨルダン川西岸とイスラエルを取材した。  「壁」とは、イスラエルがパレスチナとの国境を封鎖するべく建設した長大な分離壁を指す。ここはアラブ人の自治区のはずだが、実際にはイスラエルが軍事支配している。住民を追い出してユダヤ人たちが入植するために軍事演習を繰り返し、違法建築という口実で住戸や学校を重機で破壊していく。ガザで見るような瓦礫(がれき)の山となった光景には言葉もない。  川上は次に壁の内側、つまりイスラエルのエルサレムに入る。ここでは兵役を拒否する若者たちに出会ったことが救いになる。彼らは刑務所に収容されていくのだ。  暴虐はガザのみで起きているのではない。この事実は映像でこそ確認してほしい。パレスチナの青い空も灰色の大地も子どもたちのかわいい笑顔も、そしてそれらを覆いつくす非道も。一日も早いガザ戦争の終結を願う人々に見てほしい。 エル・ライブラリー館長 谷合佳代子 (11字×45行) *パレスチナ自治区のヨルダン川西岸でもイスラエル軍は口実を設け住居や学校を破壊する。そして辺りは瓦礫の山となり、人々はテントや洞窟での暮らしを余儀なくされる *(C)Kawakami Yasunori 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう ▼2025年/日本/1時間46分/ドキュメンタリー/監督:平良いずみ/撮影:大城学、赤嶺信悟/出演:仲宗根ユミ、町田直美、アマラ・ストランディ(アメリカ)/配給:太秦▼公開日程/<大阪・兵庫>8月30日(土)〜、<京都>8月22日(金)〜 水質汚染への怒り 立ち上がる女性たち  2016年、沖縄県は県民に供給する水道水に有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)が含まれていたと公表した。  PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称。水や油をはじく特性を生かし、フライパンや防水スプレー、泡消火薬剤などあらゆる生活用品に使われていが、癌(がん)や低体重出生といった健康への影響が確認されていた。米国や欧州では規制が進められており、そのきっかけを作ったのは現地の女性たちだ。  水道水の汚染を知った沖縄の女性たちは、わが子に猛毒入りの水を知らず、知らず飲ませてきたことにショックを受け、それが憤怒になり苦しみになる。しかも、米軍基地周辺地域から高濃度のPFASが検出されたにもかかわらず、日米地位協定が壁となり調査は実現しない。この状況を打破しようと、女性たちが選挙に立候補し政治につながっていく。明るい風景の中で、声をつまらせて語る彼女たちの言葉が、怒り、悔しさ、苦しみを伴い重く響く。  映画の題名『ウナイ』とは沖縄の言葉で「姉妹」。そして力をあわせること。世界中のウナイがPFAS汚染に立ち向かっていく物語だ。多くの人に見てもらいたい。 岡野万里子 (11字×45行) *安全だと信じていた水道水がPFASに汚染されていたと知った女性たちは、汚染問題の解決を求め行動を開始した *(C)2025 GODOM 沖縄 #18 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 原爆スパイ ▼2022年/イギリス、アメリカ/1時間41分/ドキュメンタリー/監督:スティーヴ・ジェームス/登場人物:セオドア“テッド”・ホール、ジョーン・ホール/日本版字幕:若林信乃/配給:パンドラ▼公開日程/<大阪>9月6日(土)〜12日(金)、<京都>8月22日(金)〜28日(木)、<兵庫>近日公開 原爆スパイと呼ばれた 天才物理学者の人生  「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマーがロスアラモス国立研究所で原爆開発=「マンハッタン計画」に没頭していた1944年、最年少の18歳で同研究所に迎え入れられた天才物理学者がいた。その彼が本作の主人公、セオドア(愛称テッド)・ホールである。  なぜテッドが原爆製造の機密情報をソ連に流したのか、そしてその後、彼らの生活にどのような困難が待ち構えていたのかが、本人と妻の証言で明らかになる。  ソ連のスパイとして1953年に死刑になったローゼンバーグ夫妻に比べて、テッド・ホールは圧倒的に日本での知名度が低い。だが、テッドがソ連に流した情報の重さはローゼンバーグ夫妻の比ではないという。  テッドは語る。「アメリカだけが核兵器を独占することは危険だと思った」と。しかし晩年のテッドはソ連とスターリニズムの実態を知り、後悔にさいなまれていた。  スパイの嫌疑をかけられたテッドたちの、手に汗握る状況は再現ドラマによって描かれる。これがまた緊迫感にあふれており観客を飽きさせない。  ラストは今に続く核軍拡競争への警鐘を鳴らす作品として心に残る。 エル・ライブラリー館長 谷合佳代子 (11字×45行) *原子爆弾の研究・開発に参加していた天才物理学者テッド。彼は米国の“原爆の独占”を危険視し、原爆製造の機密情報をソ連へ密かに流した *(C)Participant Film 情報 ピースおおさか 被爆体験証言会  ピースおおさかでは、被爆・戦後80年特別企画「ヒロシマ・ナガサキ被爆体験証言会」を9月14日に開く。  1945年8月6日広島、8月9日長崎。それぞれに落とされた爆弾はたった一発。だがその一発の原子爆弾がすべてを変えた。  あの日から80年。体験者から直接話を聞く機会が少なくなっている。この特別企画では、広島と長崎の被爆体験者を招き、被爆体験を聞く。貴重な機会だ。 ▼日時/9月14日(日)14時〜16時▼会場/ピースおおさか講堂(大阪メトロ「森ノ宮」駅1号出口から西へ200b、JR環状線「森ノ宮」駅北出口から西へ400b)▼参加費/無料、ただし入館料(大人250円、高校生150円、中学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)が必要▼定員/160人(先着順)▼申込方法/電話またはホームページから▼申込先・問い合わせ/ピースおおさか(大阪国際平和センター)TEL06(6947)7208、URL http://www.peace-osaka.or.jp/ (11字×39行) 情報 大阪歴史博物館 「大阪の宝」  大阪歴史博物館では特別企画展として「大阪の宝in大阪歴史博物館」を9月13日から開く。  大阪・関西万博にあわせて選ばれた「大阪の宝」。これは、大阪市の六つの博物館・美術館が収蔵する、大阪の繁栄とともに先人たちが収集、継承してきた資料・作品のコレクションの中から各館20点、計120点を選定したもののことだ。  企画展では、大阪歴史博物館の「大阪の宝」20点に、学芸員がよりすぐった収蔵品を加えた約130件180点を五つのインデックスに分類し、展示する。大阪の特徴をさまざまな角度から照らし出す数々の資料、これらが示す大阪ならではの人間ストーリーを堪能したい。 ▼会期/9月13日(土)〜10月13日(月・祝)▼会場/大阪歴史博物館(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅下車、2・9番出口)▼開館時間/9時半〜17時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/火曜日、ただし9月23日は開館、翌日休館▼観覧料/一般600円、高・大学生400円、中学生以下・大阪市内在住の65歳以上(要証明証)・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人含む)は無料▼問い合わせ/大阪歴史博物館TEL06(6946)5728 (11字×46行) #19 パズル クロスワードパズル <タテのカギ> 1 ←→フィクション 2 あきない。ばいばい 3 ←→アウト 4 ネズの実で香りをつけた蒸留酒 5 状態や体制などを移行すること 6 溶岩が急に冷え、固まったもの 7 合図のための片目のまばたき 8 矢の先のとがった部分 9 サキソホン 10 ←→武 11 県の首長 12 主題 13 ←→往 <ヨコのカギ> 1 道場に乗り込んで勝負を挑むこと 9 秋刀魚 11 J、〇〇、L、M 14 麒麟 15 すぐれた業績を成し遂げた人 16 フロアー 17 施設などを保存維持していくこと 18 ビジネスカード 19 さめ類の特に大きいもの 20 選手権をかけた試合 21 元素記号P 22 ホエール 23 石で造ったうす *■AからIまでの文字をならべかえると… *■答えは「ウィンドサーフィン」 情報 深刻な労働問題 野党の政策を聴く  研究会「職場の人権」の例会が9月15日に開かれる。テーマは「深刻な労働問題にどう取り組むか―各野党の政策を聴く」だ。  日本の労働問題は多岐にわたる。実質賃金の低下、非正規労働者に対する差別的な処遇、長時間労働と過重労働、パワハラに過労死・過労自殺、果ては労働運動への弾圧と深刻さを増すばかりだ。これらの問題を解決するためには労働組合の活動が必要だが、それに加え政治が果たす役割が重要となってくる。  この例会では各野党(依頼中)を招き、それぞれの労働政策を聴き、意見を交わすこととなる。 ▼日時/9月15日(月・祝)13時半〜16時半▼会場/エル・おおさか(京阪・大阪メトロ谷町線「天満橋」駅2番出口より西へ300b▼参加費/無料▼オンライン/ZOOM併催▼申込み方法/ホームページの申込みフォーム(https://syokuba-no-jinken.org)、またはメールで申し込む▼問い合わせ/NPO労働と人権サポートセンター・大阪TEL06(6352)3400、メール:2022jinken@gmail.com (11字×42行) #20 情報 シネマはやっぱりおもしろい −9月公開の映画− ヒックとドラゴン  2010年、アニメーション作品として公開され大ヒットとなった「ヒックとドラゴン」。その作品がスケールアップ、完全実写映画となって公開される。  長年の間、バイキング一族が襲来するドラゴンと戦いを繰り広げているバーグ島。その族長ストイックの息子ヒックは父のようになりたいと願っているものの、やさしい彼が得意とするのは戦いではなく発明や創意工夫だった。そんなヒックがドラゴンを倒す訓練W炎の試練Wに参加。そこにはヒックが憧れている少女アスティもいた。  そんなある日、またもやドラゴンが襲来。大人たちが戦う中、ヒックも自作の投石機で参戦。なんと1匹のドラゴンを仕留め、森の中に落ちていくのを確認した。翌日、森に分け入ったヒックは、投石機を身体に巻き付け動くことができないドラゴンを見つけた。父に認めてもらうためにとどめを刺そうとするヒックだったがどうしてもできず、逃がしてしまう。  その後もドラゴンのことが気になるヒックは再び森の中へ。そこにはしっぽが傷つきうまく飛ぶことができないドラゴンがいた。そこでヒックは彼をトゥースと名付け、再び飛べるために手助けをすることにした。そして縮まっていくドラゴンとの距離。やがて相棒同士といってもよい仲になっていった。だがそれはバイキングの掟に反することであり…。  ヒックがドラゴンに乗って空を飛ぶシーンが圧巻だ。子どもから大人まで楽しめる作品だ。 ▼2025年/アメリカ/2時間6分/監督:ディーン・デュボア/出演:メイソン・テムズ(ヒック)、ニコ・パーカー(アスティ)、ジェラルド・バトラー(ストイック)/配給:東宝東和▼公開日/9月5日(金)〜▼上映館/<大阪>TOHOシネマズ梅田TEL050(6868)5022、他、<京都>TOHOシネマズ二条TEL050(6868)5035、他、<兵庫>OSシネマズミント神戸TEL078(291)5330、他 (11字×74行) *(C)2025 UNIVERSAL PICTURES.ALL RIGHT RESERVED. #21 情報(シネマ) 遠い山なみの光  2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ。その彼の長編デビュー作「遠い山なみの光」が映画化された。  1982年のイギリス。長崎で被爆し、戦後、娘の景子を連れイギリスに渡り再婚した悦子だったが、今ではその夫に先立たれ、景子も失っていた。そして思い出の詰まった家の売却を決め、片付けをしているときにイギリス人の夫との間に生まれた次女のニキが帰郷してきた。ロンドンで暮らしている彼女は大学を中退し、作家をめざしている。  そんなニキがイギリスに来る前、長崎にいた頃のこと聞きたいという。彼女は悦子の半生を作品にしたいと考えていた。そして悦子が語り始める過去の話。  1952年の長崎。妊娠中だった悦子は夫と団地で暮らしていた。終戦から少し時間がたち、世の中は変わろうとしていた。そんな頃に知り合ったのが佐知子とその娘の万里子だった。彼女たちも被爆者で、暮らしは困窮していたが、佐知子は燐とした強さを持っていた。全く性格が違う悦子と佐知子。だがどこか共通するものを感じた二人は、娘も含めて一緒にひと夏を過ごすことにした。やがて佐知子は付き合っている米兵と一緒に自由の国アメリカに渡るといい…  1950年代から1980年代へ。3人の女性を通して描くヒューマンミステリーだ。 ▼2025年/日本・イギリス・ポーランド/2時間3分/監督・脚本・編集:石川慶/原作:カズオ・イシグロ「遠い山なみの光」(ハヤカワ文庫)/出演:広瀬すず(悦子)、二階堂ふみ(佐知子)、吉田羊(1980年代の悦子)/配給:ギャガ▼公開日/9月5日(金)〜▼上映館/<大阪>大阪ステーションシティシネマTEL050(6861)8100、他、<京都>MOVIX京都TEL050(6865)3125、他、<兵庫>OSシネマズ神戸ハーバーランドTEL078(360)3788、他 (11字×72行) *(C)2025 A Pale View of Hills Film Partners 情報(シネマ) ファンファーレ! ふたつの音  生き別れた兄弟が再び出会い、互いに助け合い未来へと歩き出す物語。フランスで大ヒットした注目作が公開される。  世界的に有名な指揮者のティボが、ある日突然、練習中に倒れてしまう。そして白血病と診断され骨髄移植が必要となった。妹のローズが適合検査を受けたのだが、そこでわかったのが二人には血のつながりがないということ。実はティボは養子でその事実を今まで知らされていなかったのだ。だが、実の弟がいることがわかった。  弟のジミーはフランス北部の田舎町で養母のクロディーヌと暮らしていた。実の母はジミーが5歳の時に亡くなっていたので、ティボの存在は全く知らなかった。そこの現れたティボ。突然、兄だと名乗り骨髄移植への協力を依頼する。戸惑い反発するジミーだったが、クロディーヌにいさめられ力になることにする。  骨髄移植は成功。元気になったティボはお礼を伝えようと再びジミーを訪ねる。そこでジミーが地元の吹奏楽団でトロンボーンを吹いていることを知るティボ。さらにジミーには絶対音感があることに気づいたティボは、彼の才能を伸ばしたいと考える。そんなときだった。ジミーの楽団で問題が発生したのは。楽団の指揮者が転勤でルーマニアへ行くというのだ。シミーは悩んだすえ、ティボに指揮を頼むことにしたのだが…  生き別れになっていた兄弟の共通点は音楽だった。全編を彩るクラシックやジャズは隠れた主役だ。 ▼2024年/フランス/1時間43分/監督・脚本:エマニュエル・クールコル/出演:バンジャマン・ラヴェルネ(ティボ)、ピエール・ロタン(ジミー)、サラ・スコ(サブリナ)/配給:松竹▼公開日/9月19日(金)〜▼上映館/<大阪>大阪ステーションシティシネマTEL050(6861)8100、他、<京都>MOVIX京都TEL050(6865)3125、<兵庫>kino cinema 神戸国際TEL078(230)3580 (11字×75行) *(C)2024 - AGAT Films & Cie - France 2 Cinema #22 情報 アートが好き 開催中とこれからの展覧会 「深堀隆介展 水面(みなも)のゆらぎの中へ」 ▼会期/9月7日(日)まで▼会場/あべのハルカス美術館(近鉄「大阪阿部野橋」駅、地下鉄・JR「天王寺」駅下車すぐ、あべのハルカス16階)▼開館時間/火〜金は10時〜20時、月・土・日・祝日は10時〜18時(入館は閉館の30分前まで)▼観覧料/一般1600円、高・大学生1200円、小・中学生500円、障がい者手帳をお持ちの方(付添者1人含む)は美術館チケットカウンターでの購入で当日料金の半額▼TEL06(4399)9050 (11字×19行) 夏季特別展「そうぞうのかけら 砂で紡ぐたなかしんの物語」 ▼会期/9月7日(日)まで▼会場/明石市立文化博物館(JR・山陽電車「明石」駅より北へ徒歩約5分)▼開館時間/9時半〜18時半(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/会期中無休▼観覧料/一般1000円、高・大学生700円、中学生以下無料、65歳以上・障害者手帳などをお持ちの方(介護者1人含む)は当日料金の半額▼TEL078(918)5400 (11字×15行) *たなかしん 《動物と縁》 特別展「藤田嗣治 7つの情熱」 同時開催:小磯良平作品選U ▼会期/9月15日(月・祝)まで▼会場/神戸市立小磯記念美術館(JR「住吉」駅、または阪神「魚崎」駅乗り換え六甲ライナー「アイランド北口」駅下車、西へ徒歩すぐ)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし9月15日は開館▼入館料/一般1200円、大学生600円、高校生以下無料(要証明証)、障がい者手帳などを提示の方は無料▼TEL078(857)5880 (11字×17行) *藤田嗣治 《ミルクを飲む猫がいる食卓につく少女》 1950年 油彩、カンヴァス 個人蔵 (C)Fondation Foujita/ADAGP,Paris & JASPAR, Tokyo,2025 G3848 ルイ・ヴィトン「ビジョナリー・ジャーニー」展 ▼会期/9月17日(水)まで▼会場/大阪中之島美術館(京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ徒歩約5分。大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口から西へ徒歩約10分)▼開場時間/10時〜17時(入場は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし9月15日は開館▼観覧料/一般2000円、大学・専門学校生1500円、高校生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方(介護者1人含む)は当日料金の半額(要証明)▼問い合わせ/大阪市総合コールセンターTEL06(4301)7285 (11字×21行) *(C)LOUIS VUITTON 「万博・日本画繚乱―北斎、大観、そして翠石―」 ▼会期/9月28日(日)まで▼会場/〈第1会場〉福田美術館(阪急嵐山線「嵐山駅」から徒歩約11分)、〈第2会場〉嵯峨嵐山文華館(阪急嵐山線「嵐山駅」から徒歩約13分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/8月26日、9月9日、18日は嵯峨嵐山文華館のみ休館▼入館料/<2館共通券>一般2300円、高校生1300円、小・中学生750円、障がい者と介添人1人まで各1300円▼TEL075(863)0606(福田美術館) (11字×19行) *《瑞祥(鹿)》(部分) 20世紀 福田美術館蔵 NO−MAコレクション Part4「色、いろ、イロ」 ▼会期/9月28日(日)まで▼会場/ボーダレス・アートミュージアムNO−MA(JR「近江八幡」駅から近江鉄道バス(長命寺行き)乗車、「八幡掘八幡山ロープウェイ口」下車、徒歩約8分)▼開館時間/11時〜17時▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌平日▼観覧料/一般300円、高・大学生250円、中学生以下無料、障害のある方(付添人1人含む)無料▼TEL0748(36)5018 (11字×17行) *橋脇健一 《無題》 1978年頃〜2001年頃 #23 ミニニュース 絶滅危惧のゾウ 広島で国内初出産  広島市安佐動物公園は8月5日、絶滅の恐れのあるマルミミゾウの雌メイが出産したと発表した。マルミミゾウの出産は国内初。  同園によると、メイは同日午前4時55分ごろ、体高約75センチの子を出産した。性別は不明で生まれたゾウは既に立ち、メイの乳を吸おうとする姿も確認されている。 (11字×13行) 依存性ない鎮痛薬 開発に成功  激しい痛みを伴うがん患者の苦痛緩和などに使用でき、依存性がない鎮痛薬を開発したと、京都大の萩原正敏特任教授らのチームが8月5日発表した。マウスの実験でモルヒネと同等の効果を確認、肺がん患者での臨床試験でも痛みを抑える傾向がみられたという。  現在、医療用麻薬のオピオイドは、非常に激しい痛みの「がん性疼痛」などに使われているが、依存性や副作用が課題だった。海外ではオピオイドの一種フェンタニルの過剰摂取が問題になっており、新薬はオピオイドに代わる薬として期待できるとしている。  チームは、人間が生命に危機が及ぶような状況になると、神経伝達物質のノルアドレナリンが分泌されて痛みを抑えることに着目し、開発を進めた。 (11字×29行) チャットGPT利用 1週間当たり7億人  米新興企業オープンAIは8月4日、対話型生成人工知能(AI)「チャットGPT」の1週間当たりの利用者が週内にも世界で7億人を超える見通しだと明らかにした。3月末の5億人から約2億人増加し、前年の4倍に達するという。  オープンAIで製品責任者を務めるニック・ターリーさんがX(旧ツイッター)の投稿で公表した。ターリーさんは「多くの人が学び、創造し、より難しい問題に挑んでいる。AIの恩恵を誰もが受けられるよう尽力するチームに感謝している」と強調した。 (11字×21行) iPS細胞から 受精卵作製認める  政府の生命倫理専門調査会は7月24日、不妊症や遺伝性疾患などの研究に限って、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)などからつくった卵子や精子による受精卵の作製を認める報告書を大筋で取りまとめた。通常の受精卵研究と同様、培養期間は最大14日までとし、人や動物の子宮への移植は禁止する。政府は、関連指針の改正などを検討する方針。  今後、受精可能な人の卵子や精子がiPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)からつくられた際に、正常に機能するかどうかの確認や、病気の人からつくった卵子や精子の受精直後の異常解明などに向けた研究が進む可能性がある。その一方、子宮に移植すれば人となり得るため倫理的な課題があり、慎重な取り扱いが求められる。  iPS細胞などから人の卵子や精子をつくった事例はないが、前段階の細胞の作製まで進んでいる。マウスでは、こうした卵子や精子から子が生まれており、専門調査会は人でも近く「技術的に可能になる」と見込む。 (11字×38行) お知らせ ログインにはユーザー名とパスワードを  機関紙編集者クラブの公式ホームページ「機関紙@編集者クラブ」をご活用いただき、ありがとうございます。  毎月本紙「編集サービス」発行から2〜3日後に更新しているこのホームページですが、会員向けのメンバーページへアクセスするためには、ユーザー名とパスワードを入力するログインが必要となっています。またパスワードは毎月1日を基準として1カ月ごとに変更しています。なお、ユーザー名およびパスワードにつきましては別表をご確認下さい。  会員の皆様にはお手数をおかけすることになりますが、セキュリティーの強化のため、ご協力いただきますようにお願いします。  なお、記事や写真のダウンロードなどメンバーページの利用方法は従来通りですので、会員皆様の機関紙作成にご活用ください。 ホームページ URL  http://www.club2010.sakura.ne.jp メンバーページ ログイン  <ユーザー名>  club  <パスワード>  8xtu94r6(8月末日まで)  hc6n3pdn(9月1日より) #24 データウォッチング 大学生で増えている「心の不調」 コロナ禍やSNS利用が背景に  心の不調を訴える学生が増えている。KEIアドバンスの調査では、回答した345大学のうち75%が「コロナ禍前より心の健康に問題を抱える学生が増えた」とした。  原因としては、高校生の時に経験したコロナ禍や、自分の意志を伝える際、SNSを使用してきたことなどが影響し、人との対面活動がうまくできないことが考えられる。  手当てをしないと深刻な社会問題になる可能性もあり、各大学の対応強化が求められている。 (11字×18行) *2025年7月3日 朝日新聞