2025年 編集サービス 4.20 #2 労働 メーデー祝日法制化実現に向けて 「太陽と緑の週」制定めざす 連合大阪 政治・連帯・組織拡大グループ 副事務局長 浜口正人 メーデーとは  ゴールデンウィークになると、全国各地でさまざまなイベントが報じられるが、その中の一つに「メーデー」がある。全国で10万人以上が参加する大きなイベントである。  メーデーの起源は1886年の5月1日、アメリカのシカゴで、1日12〜14時間勤務が当たり前だった労働環境の改善を求めて、労働者がゼネラルストライキ(全国的な規模で行われる労働争議)を起こし、8時間労働の実現を要求したことに由来する。  以降、労働者たちが集まり権利を主張する日として、アメリカから各国に広がったのがメーデーである。今では5月1日を「労働者の祭典」として祝日とする国も多く、ヨーロッパでは「夏の訪れを祝う日」として古くから祝日とされている。 日本と大阪の メーデーの歴史  日本では1920年に第1回メーデーが東京・上野公園で開かれた。当時、労働運動は弾圧されており、メーデーも時には「血のメーデー」と言われたほど闘争の歴史を持つ。  第2次世界大戦中は、政府により禁止されたが、戦後には労働運動の自由が認められ、堂々とメーデーが開催された。そこでは戦後の日本復興を支えた労働者の地位や労働条件の向上、権利拡大をはじめ、人権・労働基本権の確立、民主主義の発展、恒久平和の希求が訴えられ、その実現に深く貢献、役割を果たしてきた。  大阪では1921年、中之島に5000人が結集したのが始まりである。その後、労働団体の離合集散を繰り返し、1963年以降の大阪地方メーデーは、大きく総評大阪地評と大阪同盟がそれぞれ二つの会場に分かれて開催することが続いた。その後、両団体は協議を重ね、1987年の第58回メーデーで25年ぶりに大阪城公園に結集した。  1989年には労働戦線を統一し、大阪最大のナショナルセンターとして連合大阪が結成され、同年の第59回大阪地方メーデーは、大阪城公園に25万人の労働者が結集した。以降、5月1日に大阪城公園で大阪地方メーデーを開催している。 *2019年の「第90回大阪地方メーデー」は、平成から令和になる改元により、4月29日の開催となった 祝日法制化に向けた 取り組み  「国民の休日法」によれば、5月1日を祝日にすると、前日(4月30日)と翌日(5月2日)の両方が「国民の祝日」に挟まれるため休日となる。連合は、政策・制度要求と提言の中で、5月1日を国民の祝日とし、4月29日の「昭和の日」から5月5日の「こどもの日」までを連休とする「太陽と緑の週」の制定を訴えてきた。  連合大阪は、2023年「メーデー祝日法制化について」のアンケートを組合員を対象に行った。回答者のうち、連合が祝日法制化に取り組んでいることを知っていたのは26・1%だった。このことから、私たち連合大阪が取り組むべきことは、この取り組みの認知度を高め、多くの仲間からの賛同を得て機運醸成を図り、大阪から全国に波及させていくための具体的な運動を進めていくことにある。  連合が法制化をめざす意義や目的を組合員のみならず、社会に対しても広く周知活動を展開する。大阪の労働運動によって、全国の労働者のための祝日を勝ち取るのである。 労働運動の成果で 法制化を!  前述のアンケートは、現状を把握する足掛かりとして有効な取り組みだった。しかし、そこから法制化に向けた具体的なプロセスを一つずつ積み上げていく必要がある。  大型連休が実現した場合、多くの労働者に余暇活動の時間が生まれる一方で、大型連休に関係なく働く労働者(サービス業、交通・運輸業など)がいる。また、時間給で働く労働者は休暇となることで収入が低下するなど懸念すべき課題がある。また、5月1日を休日協定としている労使の協定の取り扱いについても配慮が必要となる。  これらの課題は、業種や雇用形態によって影響の度合いと範囲が変わることから、構成組織との丁寧な意思疎通を図るなかで理解を得ていきたい。  さらに労働者のみならず社会的な支持を得るため、一人一人の賛同者を増やすための署名活動を展開していく。  そして、多くの声を国会に届けるため、支援する友好議員をはじめ、趣旨に賛同する国会議員を通じて関係省との意見交換や働きかけを行っていく。  これら一連の取り組みを着実に進め、労働運動の成果で祝日法制化を勝ち取り、全国で真の大型連休「太陽と緑の週」を実現したい。  引き続き連合大阪は5月1日にメーデーを開催する。しかし、この開催日については「太陽と緑の週」が制定されることになれば、歴史的な議論を始めていきたい。 (11字×173行) ミニ情報 地元が生んだおいしい味・郷土料理 <愛媛県・松山鮓(まつやまずし)>  松山では祝い事や来客の際、松山鮓というばら寿司を振る舞う。特徴的なのは瀬戸内の魚をふんだんに使っているところ。また酢飯にはエソやトラハゼなどの小魚で取っただしに甘めの合わせ酢を入れたものを使い、刻みアナゴや季節の野菜を混ぜ込む。そして飾り付けはタコやエビなどの魚介類と錦糸卵。その昔、松山市を訪れた夏目漱石が正岡子規の家に寄った際、この松山鮓を振る舞われ、大いに喜んだという。現在、高級寿司店や居酒屋、大衆向けの食堂などで提供されており、地元に人たちは、ハレの日、普段の食事など、さまざまなシーンに合わせて店を選んでいる。地元はもちろん観光客にも喜ばれる料理だ。 #3 ボランティアインフォメーション  各種の団体やイベントでは、広くボランティアを募集している。単発のボランティア(1回だけの活動)や初心者、親子参加を歓迎するものも多い。興味のある活動、分野に参加し、新しい世界にチャレンジしよう。 *掲載している情報はKVネット(https://www.kvnet.jp)から転載したものです。 ▼内容の詳細、相談、参加希望などは、それぞれの活動の「問い合わせ先」に直接連絡を。 ●道頓堀で楽しく清掃しましょう!  観光地としても有名な道頓堀の戎橋。たくさんの観光客が訪れますが、毎日たくさんのごみがあふれています。国内外からの来客に気持ちよく楽しんもらおうと、界隈(かいわい)の清掃奉仕をしている「道頓堀を楽しく掃除する会」と一緒に清掃活動をします。清掃する場所は御堂筋から堺筋までの間です。 ▼日時/5月10日(土)早朝6時半〜8時▼待ち合わせ場所/スターバックスコーヒーTSUTAYA EBISUBASHI店前▼費用/交通費は自己負担▼募集対象・人数/10人。男女国籍年齢は不問。ただし15歳以下は保護者同伴を▼参加条件/飲酒している方は参加不可▼申込締切/5月9日▼申込方法/参加希望者は、ハンズオン東京のホームページ(https://www.handsontokyo.org/topics/28/)よりボランティア登録を。その後イベントカレンダー(https://www.handsontokyo.org/events/)でハンズオン関西をソートし、この活動を見つけてサインアップ▼問い合わせ/認定特定非営利活動法人ハンズオン東京、担当・浅沼真実TEL090(1549)5482、Eメール:mami.asanuma@handsontokyo.org URL:https://www.handsontokyo.org/ ●がん制圧・がん患者支援イベントで運営手伝い  がん征圧・がん患者支援チャリティイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2025神戸」は、がん患者や家族を支援し、がん征圧をめざすチャリティイベントです。2日間に渡って、夜通し歩き・走り・音楽でバトンをつなぎます。このイベントの運営ボランティアを募集しています。がん患者やその家族と語らい、ともに過ごしませんか。あなたの一歩が、がん患者支援につながります。 ▼日時/@6月14日(土)9時〜15時、A6月14日(土)15時〜21時、B6月14日(土)21時〜翌朝8時、C6月15日(日)8時〜12時、*希望の時間帯を選ぶ▼場所/神戸震災復興記念公園みなとのもり公園(各線「三宮駅」から徒歩12分、ポートライナー「貿易センタービル駅」から徒歩5分)▼活動内容/<時間帯@AB>:ステージセッティング、<時間帯@AC>「設営・撤収」、「受付」、「ルミナリエ袋の設置」、<時間帯@ABC>「記録」▼費用/交通費は自己負担▼募集対象/学生、一般▼参加条件/大学生は学則で許される時間帯で。時間帯Bに参加希望の未成年は保護者の同意が必要。高校生以下は全て保護者の同意と引率者が必要▼申込締切/5月31日▼ボランティア説明会/5月31日14時から予定。Zoom併用(詳細は締切後、申込者に通知)▼申込み方法/次のフォームから申し込む。URL:https://ws.formzu.net/dist/S31430107/ ※エントリーフォームのプライバシーポリシーに同意を▼問い合わせ/リレー・フォー・ライフ・ジャパン神戸実行委員会、担当・相川尚子、Eメール:info@rfl-kobe.deca.jp URL:https://relayforlife.jp/kobe/ <情報提供/大阪ボランティア協会TEL06(6809)4901> (11字×118行) #4 労働ニュース 24年度の企業倒産 1万件超える  樺骰巣fータバンクは4月8日、倒産集計2024年度報を公表した。  2024年度の倒産件数は1万70件(前年度比13・4%増)となり、3年連続で前年度を上回った。2013年度以来、11年ぶりの1万件超えだ。そして負債5千万円未満の倒産が2000年度以降で最多となるなど、中小零細規模の倒産が増加している。負債総額は2兆2525億7200万円(同7・5%減)で、前年度から微減となったものの、3年連続で2兆円を超えた。  倒産の主因では「販売不振」が8261件(同17・6%増)で最も多く、全体の82・0%を占めた。「物価高倒産」は925件(同10・5%増)で、4年連続で前年度を上回り、過去最多を更新した。2024年度に発生した倒産全体の約1割が物価高を要因としている。  また、「人手不足倒産」は、350件(同11・8%増)で2年連続で300件を超え、過去最多を更新した。 (11字×36行) アルバイト先の服装 学生の方が関心高く  潟}イナビは4月4日、「アルバイトの服装・身だしなみに関する調査レポート」を公表した。  アルバイト就業者に、「職場の服装や身だしなみの自由が認められること」の賛否を聞くと、賛成が55・8%だった。学生(高校生・大学生等)に限定すると、賛成が64・1%で全体より8・3ポイント高く、服装・身だしなみの自由への関心が高い。  アルバイト就業者に、「就業先を決める上で服装・身だしなみ規定をどの程度重視するか」を聞くと、重視するが47・6%だった。学生に限定すると、重視するが61・4%で、全体より10ポイント以上高かった。  「服装・身だしなみが自由である職場は、応募意欲が上がる」とした割合は、アルバイト就業者全体が53・6%に対し、学生は65・4%で、「服装・身だしなみが理由で応募を辞退した経験がある」とした割合は、アルバイト就業者全体が20・1%に対し学生は34・2%だった。  企業のアルバイト採用担当者に、直近5年間で従業員の服装・身だしなみの決まりを緩和したか聞いたところ、緩和した割合は31・8%だった。緩和した内容では「服装」が51・9%で最も多く、「服装の色」「髪色」と続いた。 (11字×46行) フリーランスとの取引 45事業者に是正指導  公正取引委員会は3月28日、フリーランス・事業者間取引適正化等法に基づく指導状況を公表した。  フリーランスとの取引が多い業種のゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業、フィットネスクラブの事業者について集中的に調査し、その結果、フリーランス・事業者間取引適正化等法第22条の規定に基づき、45の事業者に契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方などの是正を求める指導を行った。  指導の対象となった主な事例は以下のとおり。 事例@:給付を受領する期日及び報酬の額を明示していなかった【取引条件の明示義務】 事例A:検査完了日並びに報酬の額及び支払期日を明示していなかった【取引条件の明示義務】 事例B:報酬の支払期日を「翌月10日まで」と記載し具体的な期日を特定していなかった【期日における報酬支払義務】 事例C:業務委託の開始後に取引条件の明示を行っており、明示を直ちに行っていなかった【取引条件の明示義務】 (11字×39行) 法定雇用率の引き上げ 認知度は54%  エン・ジャパン鰍ヘ4月16日、障がい者雇用実態調査(2025)の結果を公表した。  2026年7月から民間企業の障がい者法定雇用率が2・7%に引き上げられることの認知度を聞くと、54%が「知っている」と答えた。  現在障がい者を雇用しているか聞くと、53%が「雇用している」と答えた。雇用している企業に雇用のきっかけを聞くと「法定雇用率を達成するため(63%)」、「企業としての社会的責任を果たすため(58%)」が上位となった。また、障がい者を雇用した経路は「ハローワーク」(48%)が最多だった。  雇用していない企業に雇用していない理由を聞くと「障がい者に適した業種・職種ではないから(41%)」、「雇用義務のある企業(従業員40.0人以上)ではないため(39%)」、「受け入れる施設が未整備だから(31%)」と続いた。  障がい者雇用に関する今後の予定を聞くと、36%が「法定基準を満たすよう雇用したい」と答えた。 (11字×38行) #5 労働安全衛生 数える労働安全衛生(200) 3年連続30人の死亡 職場における熱中症  仕事中の熱中症で死亡した労働者数は、毎年10〜20人台で推移していたが、昨年までの3年は連続して30人を超えた。  死亡者の7割は屋外作業であるため、気候変動の影響が懸念されている。熱中症で死亡災害に至る割合は他の災害の5〜6倍とされるが、厚生労働省が死亡に至った直接の原因を分析すると、初期症状の放置・対応の遅れがほとんどだったという。重篤化してからの発見や、異常時に医療機関に搬送しなかったという具合だ。  熱中症を予防するためには、客観的な指標である暑さ指数(WBGT)にもとづき、作業の可否を判断するなどの対策が必須だ。しかし実際に症状が現れた労働者に適切に対応することは、命を守るためにさらに大切になる。  屋外作業の熱中症対策で法令上の明確な規定はなかったが、事業者への義務付けが次のように追加される。  暑さ指数28度又は気温31度以上の作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるときは、@熱中症の自覚症状がある作業者、A熱中症のおそれがある作業者を見つけた者が、その旨を報告するための体制を定めて周知する。  熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際には、あらかじめ作業ごとに、作業から離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察などを受けさせるなど、症状の悪化を防止するために必要な措置内容や実施手順を定め周知する。  この新しい義務付けはこの6月1日から施行される。救える命は救わねばならない。 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸 (10字×65行) 情報 大阪歴史博物館「日本刀1000年の軌跡」 日本刀の過去・現在・未来  日本刀の1000年の歴史と現在の刀匠の活躍を見る特別展、「全日本刀匠会50周年記念 日本刀1000年の軌跡」が大阪歴史博物館で開かれている。  刀そのものの歴史は相当古い。この特別展のプロローグでも古墳時代の直刀が展示されている。それが完成された日本刀となったのが平安時代、鎬造(しのぎづく)りで反(そ)りのある姿となった。展示された草創期を代表する刀工、安綱の作品の美しい姿に、それ以前の刀との違いがはっきりと見て取れる。  それから1000年、戦後の一時期を除き、日本刀は製作され続けてきた。平安、鎌倉から室町、江戸へと時代に沿うように形を変え、そして現在へ。その流れを追うように展示は進む。  目を引くのは戦後、連合国占領軍によって刀剣の製作が禁止された時期だ。刀匠たちは困難を極め、廃業するものも多かったという。そんな中、後に人間国宝になった月山貞光は技術維持のため包丁製作を手がけた。その信念を体現した包丁も展示されている。  美術品として高い価値を持つようになった刀剣、中には重要文化財も。そして現在の刀匠たちが生み出した数々の新作刀も並び、日本刀の魅力を伝えている。  日本刀の軌跡と今、そして未来を見つめる展覧会だ。 ▼会期/5月26日(月)まで▼会場/大阪歴史博物館(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅、9番・2番出口からすぐ)▼開館時間/9時半〜17時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/火曜日、ただし4月29日、5月6日は開館、5月7日休館▼特別展観覧料/一般1500円、高・大学生500円、中学生以下・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人含む)は無料▼TEL06(6946)5728 (11字×65行) *アニメ作品などとコラボした日本刀も誕生。写真は映画「バケモノの子」で活躍する熊徹の大太刀を再現した刀だ #6 コラム ニュースな暮らし(71) 校内放送が 閉山や事故を伝えた時代  「○○炭鉱の子どもはすぐに家に帰りなさい」。高校の授業中、急に緊迫した声が校内放送のスピーカーから流れた。学区に筑豊炭田の地域の一部があり、炭鉱勤めの人の子や弟妹も通っていた。アナウンスは復唱され、教室内は「事故やろか閉山やろか」と一気にざわつき、先生も授業を中断し職員室に駆けていった。  石炭から石油へのエネルギー革命は、1960代後半に決着の時を迎えていた。黒いダイヤモンドと呼ばれた石炭を掘る炭鉱は、斜陽産業の代名詞へと変わった。その時代に私は高校生だった。  TBS系列で昨年秋、海底炭鉱の軍艦島(端島)を舞台にしたドラマが放映された。毎週ストーリーを追いながらも、当時の炭鉱のことを思い出していた。時代設定では、主人公が島から急に姿を消す頃が、私の高校時代と重なる。  同級生が住む炭住(炭鉱住宅)に遊びに行ったことがある。軍艦島では鉄筋コンクリート造りだったが、そこは古い木造の4軒長屋が活気なさげにずらっと並んでいた。  ドラマではほとんど触れられなかった閉山離職。炭鉱の閉鎖が続いていたので、離職者の新しい職場への斡旋(あっせん)も身近にあった。夕食時に父が「うちの職場にも炭鉱から4人来た。あいつら全く違う仕事をせんといかんから、やおいかん(大変)やろ」と話していた。筑豊炭田の急激な衰退はその後、製鉄所を中心に栄えていた北九州市を「鉄冷え」の街に変えた。  炭住跡の多くは、新興住宅地や公園に姿を変えたと聞く。実家近くの坂道の上から見えていた、雑草に覆われたボタ山も姿を消した。TVドラマが残像を見せてくれた。 浜床たかし (11字×61行) 労働コラム 労基法でよもやま話(49) 健康診断の費用はだれが持つ? 《質問》健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか? 《回答》労働安全衛生法等で事業者に義務付けられている健康診断の費用は、法により、事業者に健康診断の実施が義務付けられている以上、当然に事業者が負担すべきものとされています。 (厚生労働省サイト「安全衛生に関するQ&A」)  先日健康診断の結果が帰ってきたのですが、数値が悪くなっている項目があって、同じ状態の上司とともに「う〜ん」と唸(うな)ってしまいました。過去の診断表と見比べると年を重ねるごとに内蔵の機能が低下している感じです。  労働安全衛生法では従業員に健康診断を受けさせなければならないとしており、年に1回定期健診を行わなければなりません。いわゆる正社員だけでなく、パートや有期雇用でも1年以上の雇用継続が見込まれ、所定労働時間が正社員の4分の3以上の労働者に対しては実施する必要があります。また、所定労働時間が正社員の2分の1以上の場合は、「健康診断の実施が望ましい」とされています。  健康診断の費用については回答にあるとおり、企業が負担すべきとされています。ただし、安衛法で決められている項目以外のオプション検査は基本的に従業員の自己負担となります(会社によっては福利厚生として負担しているところもあります)。会社は健康診断の結果を5年間保管する必要があります(オプション検査の結果は会社に提出する義務はありません)。  ところで、ここのところ病気が判明したという女性が複数人身辺にいます。特に自覚症状はなく、たまたま受診したところ、病気がわかったという方ばかりで、あとちょっと発見が遅かったら命が危なかった方や重篤な障害が残ったかもしれないという方もいました。この方たちは専業主婦や自営業で、長らく健康診断を受けてこなかったそうです。  毎年継続して健康診断を受ける機会があることはありがたいと改めて思いました。 大阪産業労働資料館 エル・ライブラリー 千本沢子 (11字×79行) #7 社会 介護保険 255年の歩みとこれから(1)  2000年4月、介護を社会全体で支え合うとの理念で介護保険制度がスタート。それから25年、四半世紀を経て制度は大きく「変節」している。 1980年代、家父長制が色濃く残る中「家族は福祉の含み資産」と言われ、介護は嫁・娘・妻の無償労働が当たり前だった。しかし、家族構成が三世代同居から夫婦と子ども世帯に、そして夫婦世帯や、親と単身子世帯へと変遷し、家族介護の限界が明らかとなった。そんな中、「高齢社会をよくする女性の会」「認知症の人と家族の会」などを中心に「社会化」を求める運動が起こり、1997年介護保険法が成立、2000年に施行された。  一方、80年代、90年代には、働く女性の増加と働く環境改善を求める運動が起こり、女性差別撤廃条約の批准などもあって、育児介護休業法や男女雇用機会均等法、男女共同参画基本法などの法整備が行われた。  介護保険制度は、従来、行政がサービス内容を決め、費用を税金で賄う「措置」だった老人福祉政策を、利用者が自らサービスを選ぶ「契約」に、税と利用料、そして保険料で賄う「社会保険」へと大転換したものだ。その設立の理念は、「社会的介護・自己決定・保険料の応能負担とサービス利用料の応益負担・尊厳ある介護・自立支援」だ。また、「介護報酬制度」により全国一律(地域差は加味)の「公定価格」での利用となり、市町村が「保険者」となった。だがこの25年で自治体間の格差は広がっている。  今年は団塊世代が全員後期高齢者になる節目で、介護の需要はこの先急増していく。しかしこの間、制度は複雑になり、3年に1回の見直しのたびに保険料は上がり、サービスの切り下げが目立つ。また、さまざまな制約で肝心な場面で使えないことが多く、「保険あって介護なし」が顕在化。今こそ保険給付の財源確保に向け、公費負担増などの議論が必要だ。何のための介護保険か、原点に返っての制度立て直しが求められている。 高齢社会をよくする女性の会・大阪 代表 植本眞砂子 (11字×73行) 労働運動史 大阪の労働争議アレコレ(1) 団結した米つき職人  「令和の米騒動」と騒がれるこの頃ですが、1894年〜95年にかけての日清戦争の時期にも、米価が高騰しました。  当時の大阪には、農村からの出稼ぎ者など貧しい人も多く暮らしていました。そのような人びとが仕事を得ようとする時には「口入屋」と呼ばれる斡旋(あっせん)業者の力を借りるしかありませんでした。口入屋とは、今でいう、職業紹介事業やスキマバイトアプリのようなもので、仕事を紹介して一定の手数料を徴収していました。  手に職を持たない出稼ぎ者は、口入屋によって「米つき職人」の仕事を紹介される例が圧倒的でした。米つきとは、玄米を精米する作業のことです。昭和初期までは、土の中に埋めた臼に玄米を入れて、臼の上に置かれた杵(きね)を足踏みして精米を行っていました。  米つき職人は、単純な肉体労働だったため、極めて低賃金でした。1888年の調査によると、大阪に米つき職人は2000人以上いたとされます。  低賃金労働にあえいでいた米つき職人は、日清戦争による米価高騰にもかかわらず、自分たちの賃金が上がらないことに怒りを爆発させました。彼らは肉体労働なので食費もかかるうえ、毎日銭湯に通って汗を流さねばなりません。それにもかかわらず日当は12〜15銭に据え置かれ(当時の銭湯の入浴料1銭、米3キロの価格は最低24銭)、米つき職人の生活は困窮を極めていました。    日清戦争に従軍する軍夫(軍隊の下働き)募集のため肉体労働者の賃金が上昇していたタイミングでもあったため、米つき職人は初めて自ら団結し、白米商の同業組合に賃上げを要求することにしました。  1894年10月、大阪市中心部の生玉神社と高津神社に集結した360人あまりの米つき職人は、同業組合に団体交渉に行く予定でしたが、この動きを察知した警察により解散させられ、交渉はできませんでした。  それでも、初めて団結した意味は大きく、これ以降、米つき職人の賃金は4倍近くに上がりました。団結して声をあげることの重要性は100年前から変わりません。 エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織 (11字×80行) #8 健康 こころとからだの健康づくり(300) 眠る力を引き出す 快眠術あれこれ 運動を習慣に!  快眠のための運動は、夕方から夜にかけてがおすすめです。  体内時計の働きで夜の休息モードに入ると体温は徐々に下がり始めます。この体温がスムーズに下がっていくことで、良い眠りにつくことができます。そのため就寝の3時間くらい前に運動をし、一時的に体温を上げておくと、入眠のための体温の下げ幅を確保できます。また好きな運動であれば、リラックス効果も大きくなります。  運動習慣のある人は、寝つきが良く、深い睡眠を得やすいことがわかっています。特別な運動でなくても、ウォーキングのような有酸素運動を行うのもひとつです。大切なのは毎日続けることです。激しい運動は逆効果になるので、気をつけましょう。リラックスが目的であればストレッチ、ヨガなどゆったり呼吸をしながら行う体操も良いでしょう。 眠りを誘う 簡単な体操 ・両肩を真上にしっかり上げて、ゆっくり下げます。10回繰り返します。 ・肘を軽く曲げて、肩の力を抜いて円を描くように、肩を回します。前回しと後ろ回しを交互に10回行います。 ・椅子に座り、片足をまっすぐ伸ばし、足首をゆっくり曲げ伸ばしします。15回繰り返します。反対の足も同様に行ってください。 熟睡のための入浴法  快眠のための入浴の目的の一つは、運動と同様、一時的に体温を上げて、眠りにつくまでの体温の下げ幅をつくることです。体を芯から温める必要があるので、シャワーではなく、湯船にしっかり浸かりましょう。また就寝直前では体温がなかなか下がらず、逆効果になることがありますので、布団に入る1時間前くらいがおすすめです。  38度から40度のぬるま湯に、みぞおちくらいの深さの半身浴で20分くらい浸かると良いでしょう。血行が良くなり、副交感神経が優位になるので、リラックス効果もあります。冷え症の解消にも効果的です。 眠りやすい環境を 作りましょう <騒音>  音が気になるときには二重窓や遮光カーテンで防いだり、耳栓をしましょう。 <明るさや明かり>  明かりは、暖色系の暗めの間接照明が望ましいです。反対に家庭用照明の300ルクスを2時間浴びると、眠りのホルモンのメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。 <室温と湿度>  夏は18度、冬は25度が目安と言われます。熱帯夜にはエアコンと扇風機を使い、冷風が体に直接当たらないようにしながら室温を下げましょう。アイスパックや水枕などでわきの下や首すじ、後頭部を冷やすと体温を下げる助けになります。  湿度は1年を通して50〜60%が適してます。  眠る力をしっかりつけて、心身ともに健康を維持しましょう! 健康運動指導士 竹田 薫 (11字×100行) 情報 西宮市大谷記念美術館 展覧会とコレクション  西宮市大谷記念美術館では、展覧会とコレクションの関わりという視点で美術館の歴史を振り返るシリーズ「西宮市大谷記念美術館の―展覧会とコレクション」を開いている。第3弾となる今回のテーマは「つなげる美術館ヒストリー」。  近代日本デザインのパイオニア・今竹七郎、油彩画の技法を取り入れた異色の日本画家・山下摩起など、数多くの作家の作品が展覧会や作品収蔵をきっかけに所蔵されることとなった。  この展覧会ではそんな作品と作家にまつわるさまざまな資料を展示し、作家たちの独自の活動や制作活動を探る。新たな発見や知見を得る可能性を持つ資料たちと作品を見ながら、豊かな創作世界をたどる機会となる。 ▼会期/5月18日(日)まで▼会場/西宮市大谷記念美術館(阪神「香櫨園」駅下車、南西に徒歩6分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/水曜日▼入館料/一般1200円、高・大学生600円、小・中学生400円、ココロンカード・のびのびパスポート・障害者手帳などを提示の方(介助者1人含む)は無料、西宮市内在住の65歳以上の方は一般料金の半額(要証明書)▼TEL0798(33)0164 (11字×45行) #9 自然 生命の海の生きもの(63) 海岸の危険な忍者 「ヒョウモンダコ」  海岸の岩場などで岩や海藻に擬態している小さなタコ、ヒョウモンダコ。普段は黄色と褐色の地味な模様で風景に溶け込んでいるが、ひとたび興奮すると派手に現れて毒で敵を一撃に葬り去る、海の危険な忍者、ヒョウモンダコについて紹介する。  暖かい海の浅瀬に広く分布し、日本近海からオーストラリアにかけての西太平洋熱帯〜亜熱帯域に生息している。日本近海では主に九州、一部で房総半島以南の太平洋岸で多く見られていた。しかし、温暖化の影響か、日本海側などでの確認事例も増加しており、その危険性から多くの都道府県の海水浴場などで警告が発されるようになった。大きさは最大でも10aほど、体重はわずか25グラムほどの小型のタコだ。  ヒョウモンダコの名は「豹紋」から来ている。普段は黄色の身体に褐色のしま模様が入ったトラ柄が基本だが、身の危険を感じるなどして威嚇する際には胴体に線状の、脚の部分にリング状の蛍光ブルーの美しくも毒々しい模様が多数現れる。これがヒョウ柄のようにみえるのでヒョウモン、というわけだ。とはいえ擬態の名手タコの仲間。周囲に溶け込むときにはまわりの色に合わせて体色を変化させるので、全く別モノといえるほど色を変えることもある。  有名になった最大の特徴は猛毒を持つことだ。テトロドトキシンというフグ毒を唾液腺に蓄えており、その小さな身体が持つ毒は1匹分でも成人男性10人もの致死量に匹敵する。これは、ドラマでよく使われる青酸カリの千倍もの毒性をもつ神経毒で、わずか3_c、塩30粒ほどの量で人を殺せる。おまけに解毒剤もない。この毒を噛(か)みついて注入し、あっさりと敵を葬るのだ。  なお、この毒は最近まで唾液腺にしかないと言われてきたが、近年の研究で筋肉や皮にも存在することが確認されている。また加熱にも強く、タコが死んでも毒は消えない。つまり死骸に触るのも危険だ。  ただ、ヒョウモンダコは毒に頼りすぎているのか、他のタコの仲間に比べて身体機能が低い。吸盤が小さいためひっつく力が弱く、また泳ぐのも苦手で動きは鈍い。タコとイカの代名詞ともいえる墨さえ持たない。危険さを強調してきたが性格も大人しい。わざわざ触ろうとしたりしなければ大丈夫なので、発見したら遠くから観察するだけにしておこう。 (和) (11字×87行) *エビを捕食中のヒョウモンダコ。脚の模様がわかるだろうか 情報 大阪歴史博物館で タイムカプセル開封  大阪歴史博物館の特集展示。今回は「オープン the タイムカプセル」として6月23日まで開いている。  1970年に開かれた日本万国博覧会を記念してつくられたタイム・カプセルEXPO70。当時の文化を5000年後の人類に残すためのカプセルで、2機を大阪城公園本丸御殿跡の地下15bに埋設し、1機はパナソニックミュージアムに、残る1機は大阪歴史博物館で展示されている。  特集展示では、このカプセルを開封し、2000点以上ある収納品の中から「20世紀」「継承」「進歩」の視点で選りすぐった約130点を展示している。  55年前の暮らしや技術に目を向け、未来に思いをはせる機会となる。 ▼会期/6月23日(月)まで▼会場/大阪歴史博物館(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅下車、2・9番出口)▼開館時間/9時半〜17時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/火曜日、ただし4月29日、5月6日は開館、5月7日休館▼観覧料/一般600円、高・大学生400円、中学生以下・大阪市内在住の65歳以上・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人含む)は無料(要証明証)▼問い合わせ/大阪歴史博物館TEL06(6946)5728 (11字×47行) #10 デジタル 個人的DXのススメ(23) AIの思考に「分業」を取り入れる ―ひとり社内会議を開く方法  ChatGPTの応答を浅く感じるとき、それは質問の仕方に工夫が足りないのかもしれない。ネタ的に扱われがちだが、実は多角的な思考を引き出すのに役立つのが、AIに「三つの人格」を持たせるマギシステムだ。  マギシステムは、アニメ『エヴァンゲリオン』に登場し、作中では、科学者・母・女性の三つの視点が合議して結論を導くスーパーコンピュータとして描かれる。この構造は、AIに思考を枝分かれさせて考えさせるToT(Tree of Thought)プロンプトの実例としても優れている。ToTの詳細は別に譲るが、ここではマギシステムの構造をChatGPTに応用する方法について軽く触れたい。  今回のマギシステムでは、AIに「思考の分業」をさせるため、三つの人格を設定する。例えば、@論理的に考える人格、A感情的視点を重視する人格、B直感やひらめきに優れた人格、という具合だ。その上で各意見を統合する「ナビゲーター」の役割も与える。  「リモートワークを続けるべきか?」とこの3人格に問いかけると、それぞれが異なる立場から意見を述べ、AIはそれをもとに総合的に判断をまとめる。まるで社内会議を、自分とAIだけで再現しているような仕組みだ。このプロンプトを使えば、AIは単なる答え手ではなく、ともに考えるパートナーとなる。 (11字×50行) 食べもの おいしいもんめぐり大阪(96) 韓国のり巻き、キンパ  キンパ、日本の巻き寿司とそっくりな姿の韓国の料理だが、味付けが全く違う。ご飯にはごま油や塩を混ぜ込み、具材は調理した牛肉やほうれん草、そしてキムチなど。初めて見たのは10年以上も前に行った釜山の売店。その時は食べることができなかったが、それからずっと気になっていた。  そのキンパがデパートで販売されていると知った。もちろん韓国の家庭料理店では提供されているが、そこでも食する機会がこれまでなかった。そこで今回はキンパ。  購入したのは卵やハム、キュウリなどを巻いた定番キンパとプルコギが入ったキンパ。黄色やピンク、グリーンにオレンジと、さまざまな具材でキンパの断面は華やかだ。さてそのお味は。  まずはごま油の香り、これが食欲をそそる。そのため濃い味付けかと思いきや、これが意外とあっさりしている。韓国では日本のおにぎり感覚で、遠足やハイキングに持って行くというが、それも納得だ。巻き寿司に慣れている私たちにとっては、ちょっと戸惑う軽めの味だ。だがいくら食べても飽きないおいしさをすぐに発見できた。  具材次第でさまざまなバリエーションができるのも魅力的。ぜひ食べてみてほしい。 <キンパ> ▼価格/1人前761円(税込み)〜▼販売店/妻家房(阪急うめだ本店B1)▼営業時間/阪急うめだ本店に準ずる▼URL:https://www.saikabo.com/foodstore/hankyu-umeda/ (11字×56行) *家でも簡単に作ることができるキンパ。さまざまな食材を具にしてチャレンジしてみては #11 本 最近読んだ本 折々のうた 三六五日 日本短詩型詞華集 大岡 信 著 慌ただしくとも一日一頁 ゆったり気分に……  四月。子どもの入学・進学、親の転勤・配置転換などなど、なにかと慌ただしい季節だろうか。  そんな、読書などとんでもない季節に、一日一頁、目を通すだけでもよいこの本はお勧めかもしれぬ。      *  「短詩型文学から一作ずつ抜きだし、短文でそれを鑑賞する」という狙いで、1979年1月から2007年3月まで『朝日新聞』に連載した文章から選りすぐった一冊。  掲載作品の時代は古代から現代まで。  作品の種別も和歌・短歌・誹諧(はいかい)・俳句、古歌謡から近世歌謡、諸外国の児童によるハイクなど多岐にわたる。  とにかく一頁に一篇の作品。  作品に添えて、作者の来歴、制作時代の状況、時代背景、関連作品の引用、著者の寸評などが加わる      *  四月一日の頁。  <またや見ん交野(かたの)の御野(みの)の桜狩(さくらが)り花の雪散る春の曙(あけぼの)>  『新古今集』から。作者は藤原俊成。平安末期を代表する歌人。交野は淀川左岸、今の枚方(ひらかた)市一帯の野、当時桜の名所として知られた。      *  五月一日の頁。  <照準つけしままの姿勢に息絶えし少年もあり敵陣の中に>  『渡辺直己歌集』から。作者は昭和十四年中国で戦死した広島出身の将校。  確かに、掲載作品の時代は「古代から現代まで」だ。      *  小生、この本は二月中旬に購入した。が、いまだに読了していない。  ときどき頁をめくる。その日の頁は無論だが、ぱっと開いた頁に目を通す。「なるほど」「ふーん」「へえー」となる。  いくつか、四月の作品を紹介しよう。      *  <山里の春の夕ぐれ来て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける>  <空をゆく一とかたまりの花吹雪>  <東大寺湯屋(とうだいじゆや)の空ゆく落花かな>  <ぜんまいののの字ばかりの寂光土> 《窪田聡》 (11字×76行) *岩波文庫 本体1190円+税 本 おすすめBOOK 切手デザイナーの仕事 〜日本郵便 切手・葉書室より〜 間部香代 著  思いを込めた手紙を彩る切手は、どのように生み出されているのか。  本書は日本にたった8人しかいない切手デザイナーたち一人ひとりに取材し、それぞれの思いや仕事観、企画から発行までのプロセスや、遊び心たっぷりのアイデアを紹介している。  最も身近で馴染(なじ)みのある普通切手ひとつをとってみても知らないことだらけで興味深い。  例えば、特殊切手が6色の掛け合わせで印刷されるのに対し、普通切手はたった3色で刷られている。写実的で繊細な動物の毛並みや植物の花びらが限られた色だけで表現されているとは驚きだが、大量に印刷される切手ならではの納得の理由があり、これも面白い。  指先サイズの小さな切手に、プロの技術やこだわり、大きな思いが込められている。(ア) (11字×30行) *グラフィック社 本体 1800円+税 #12 食べもの 暮らしの中の魚(176) ニシン  「春告魚」と呼ばれるニシンの季節がやってきました。「幻の魚」と呼ばれるまでに激減したのですが、今は少し回復の兆しが見えています。  ニシンの大群が産卵をめざして沿岸に押し寄せ、雄の精子で海面が白濁することを「群来(くき)」と呼びます。これが近年北海道のあちこちで観測されています。  ニシンにはかつて大漁をもたらした「北海道・サハリン系群」と呼ぶ大回遊をする群れと、「石狩湾系群」という日本海沿岸を回遊する地域的な群れがあります。近年増えているのは後者で、これは1996年から12年にわたり北海道主導で人工授精で育てた稚魚を放流する事業「日本海ニシン資源増大プロジェクト」が実施されたことがきっかけです。また、地元の漁業協同組合も網目を広げるなど資源保護の自主的な取り組みを続けてきました。  こうしたことから大阪の市場でも生ニシンを見かけるようになりました。新鮮なニシンが手に入ったら煮つけにしましょう。ウロコをとり、頭と尾を落とし、卵や白子は残して内臓をとって洗います。次に表面に十字の切り込みを入れ、料理酒を振って15分くらい置き、キッチンペーパーでふいて生臭みを取ります。煮汁は100c位のニシン3尾に対して水100t、料理酒100t、濃口しょう油大さじ3、ミリン大さじ2、砂糖大さじ1です。これを火にかけ、沸いたらニシンとスライスしたショウガ適量を入れ、紙の落しぶたに加え鍋ぶたをし、10分くらい中火で煮ます。次に弱火にして煮汁をスプーンで回しかけ、じっくり味をしみこませるとおかずに最適な一品となります。  近年はスルメイカやサンマの水揚げが激減し、サバも7月から漁獲枠を大幅に減らすことが決まっています。温暖化による生息環境の悪化に加え、小さい魚や産卵親魚(しんぎょ)の獲りすぎにより、日本の水産業は危機的な状態です。ニシンの回復の兆しが見える今こそ資源を守り、持続的な漁業を。これからも私たちの食卓に新鮮な魚がのぼることを願ってやみません。 (11字×76行) *ニシンは煮つけのほか、振り塩をして1時間おき、じっくりと塩焼きにするのもよい エッセイ いつもランラン(340) 開幕してしまった  大阪・関西万博が始まったが、開幕日は大混乱だった。  大阪府民4万人が招待された直前のテストランでは、パビリオンに長蛇の列ができ、昼食を食べる場所も少なかったほか、案内板の不足やパビリオンの予約システムの課題などが指摘されていた。1日最大24万人の入場者になるというが、それよりはるかに少ない人数でもこの状況。不安を感じた。  その不安が的中したのが開幕日だ。通信障害で入場までに数時間、雨風を防ぎ切れない大屋根リング、トイレの数も少ない上に一部が使用不可など。報道されただけでもいくつトラブルがあっただろうか。   博覧会協会はそれらのトラブルに対処するため、Wi―Fiを設置したり、給水スポットを増やしたりしているというが、どうも小手先の処置に思えてしまう。  これから先もさまざまなトラブルが生じるだろう。夏の熱中症にメタンガス問題、台風だってやってくる。会場の隣ではIRの建設工事が本格的に始まる。会場への少ない交通手段も心配だ。  国際的なイベントだというのにあまりにもお粗末な運営。大きな事故など起こさず、無事閉幕までたどり着ければよいのだが。(ぴ) (11字×46行) #13 映画 太陽(ティダ)の運命 2025年/日本/2時間9分/ドキュメンタリー/監督:佐古忠彦/撮影:福田安美/音声:町田英史/編集:庄子尚慶/語り:山根基世/配給:インターフィルム 2人の沖縄県知事の 苦悩と闘いの記録  1972年の本土復帰以来、沖縄県には8人の知事が就任した。本作ではそのうち、第4代の大田昌秀(1990〜98年)と第7代の翁長雄志(おながたけし)(2014〜18年)に焦点を当て、沖縄県知事という、全国で最も複雑な立場に立たされる知事の苦悩を浮き彫りにしていく。  琉球大学教授から転身した大田革新知事の8年間は、政府に妥協することをたびたび余儀なくされ、自らの思想信条を貫くことができない苦汁をなめさせられた年月でもあった。  一方の翁長は自民党県議であり、革新と保守という立場の異なる二人であったが、実は政治の根本、思想の原点は共通していた。それは沖縄戦で犠牲になった県民への鎮魂の思い、そして平和を希求する思いである。  1925年生まれの大田は師範学校生だった45年3月、鉄血勤皇隊に動員された。戦争で亡くなった同級生たちの名が刻まれた「沖縄師範健児之塔」の前で、晩年の大田が語る言葉の重みがずしりと響く。  喪(うしな)った息子の名前が刻まれた碑をじっと見つめながら座り込み、ただ涙を流す母親の姿。自分の目の前で焼き殺された級友たち。  「自分が生かされている意味があるとすれば、死者たちの霊を弔って二度と沖縄を戦場にさせないこと。基地があれば次の戦争で沖縄が戦場になる」と死去の前年に語る、老いた大田の眼差(まなざ)しがまぶしい。  しかし現実は厳しかった。基地撤去をめざす大田知事は県民世論と日本政府の圧力の狭間(はざま)で苦しんだ。側近や教え子らの口から、当時の大田の苦悩が語られる。  そして、大田県政の時代に県議として舌鋒(ぜっぽう)鋭く大田を徹底的に批判したのが1950年生まれの翁長であった。ところが、2014年の知事選に臨むころ、翁長は普天間基地撤去・県外移設という考えに変わっていた。大田と同じ主張、大田と同じ口ぶり。翁長の姿が大田のそれと重なっていく様子が画面に映し出されると、鳥肌が立つような感動を覚える。  多数決で物事を決めて、沖縄県民という少数者を犠牲にする安全保障でよいのか。それが民主主義なのか。翁長はそう問いかける。そしてウチナーグチ(沖縄語)で集会参加者に訴える。「沖縄の人をないがしろにするな」と。  任期を全うすることなく病死した翁長は日を追うごとにやせ細り、画面に映るその姿に戦慄(せんりつ)すら覚える。死の直前まで文字通り命を賭して政府に抗(あらが)い、基地の撤去を求め続けた。  「太陽(ティダ)」とは沖縄古語で、リーダーを表す。リーダー=首長としての覚悟に生きた二人の姿が、多くの証言により刻まれる、必見作。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館)館長 谷合佳代子 ▼公開日程/<大阪>5月3日(土)〜第七藝術劇場TEL06(6302)2073、<京都>5月2日(金)〜京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>5月10日(土)〜元町映画館TEL078(366)2636 (11字×110行) *大田と翁長、理不尽に抗い信念に生きた二人の沖縄県知事。その闘う姿が多くの証言によって刻まれた *(C)2025映画「太陽の運命」製作委員会 #14 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 太陽(ティダ)の運命 ▼2025年/日本/2時間9分/ドキュメンタリー/監督:佐古忠彦/撮影:福田安美/音声:町田英史/編集:庄子尚慶/語り:山根基世/配給:インターフィルム▼公開日程/<大阪>5月3日(土)〜、<京都>5月2日(金)〜、<兵庫>5月10日(土)〜 2人の沖縄県知事の 苦悩と闘いの記録  1972年の本土復帰以来沖縄県知事に就任した8人のうち、第4代の大田昌秀(1990〜98)と第7代の翁長雄志(おながたけし)(2014〜18)に焦点を当て、沖縄県知事という、全国で最も複雑な立場に立たされる知事の苦悩を浮き彫りにしていく。  革新の大田と保守の翁長。元々二人は鋭く対立していたが、政治思想の原点は共通していた。それは沖縄戦の犠牲になった県民への鎮魂の思いである。  過酷な戦争体験を持つ大田は基地の撤去を政府に迫ったが、県民世論と政府の圧力の狭間(はざま)で妥協せざるを得ないという苦汁もなめた。  一方の翁長は知事選に臨む頃には、普天間基地の県外移設という考えに変わっていた。大田と同じ口ぶりが画面で重ね合わされると、鳥肌が立つような感動を覚える。  民主主義の名の下、多数決で物事を決めて、沖縄県民という少数者を犠牲にする安全保障でよいのか。  任期を全うすることなく病死した翁長が日々やせ細っていく姿に息を飲む。最期まで首長としての覚悟に生きた二人の姿が、多くの証言により刻まれる、必見作。 エル・ライブラリー 館長 谷合佳代子 (11字×45行) *大田と翁長、理不尽に抗い信念に生きた二人の沖縄県知事。その闘う姿が多くの証言によって刻まれた *(C)2025映画「太陽の運命」製作委員会 情報 あべのハルカス美術館「ジャン=ミッシェル・フォロン」展 作品を通して世界と向き合う  シンプルな線で描かれたドローイング、淡い色彩が温かい気持ちを呼び起こす水彩画。初めて見た作品でも、どこか見たことがあるような親近感を抱く。そんなフォロンの世界を旅する展覧会「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」があべのハルカス美術館で開かれている。  フォークやプロペラといった無機質な物を擬人化させた彫刻は、ユーモラスでまか不思議。帽子にコート姿の等身大の彫刻は作品に度々登場するWリトル・ハット・マンWか。そして背中についているネジはなにを意味する…。来場者は会場に足を踏み入れた途端、フォロンのとりことなり空想が広がる。  日本で30年ぶりとなった大回顧展には初期から晩年まで、彫刻やドローイング、水彩、ポスターなど多彩な作品、約230点がそろう。  そして会場には、頭から矢印が伸び、さまざまな方向を指している人の絵、一見美しいが実は多数のミサイルが飛んでいる絵などが並ぶ。フォロンの創作の源はこの日常、現実世界だ。そして日々感じる小さな疑問や、環境、平和といった深い問題までもが作品の中にちりばめられている。  作品に秘められた謎やメッセージ、それを見つける空想旅行となる。 ▼会期/6月22日(日)まで▼会場/あべのハルカス美術館(近鉄「大阪阿部野橋」駅、地下鉄・JR「天王寺」駅下車すぐ、あべのハルカス16階)▼開館時間/火〜金は10時〜20時、月・土・日・祝日は10時〜18時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/5月12日▼観覧料/一般1900円、高・大学生1500円、小・中学生500円、障がい者手帳をお持ちの方(付添者1人含む)は美術館チケットカウンターでの購入で当日料金の半額▼TEL06(4399)9050 (11字×66行) *ブロンズ彫刻の《人》は“リトル・ハット・マン”か。背中のネジ巻きから空想が広がる #15 パズル クロスワードパズル <タテのカギ> 1 濃縮レモンジュースをソーダ水で割った飲み物 2 ←→音 3 西瓜 4 相撲取り 5 ◯◯、現在、未来 6 アルコールに硫酸を加えて作る麻酔用の液体 7 昔風の考え方ややり方 8 サケの卵をほぐして食塩水に漬けた食品 9 ディアー 10 わずかな暇 11 元素記号I 12 ◯◯◯◯もと暗し 13 オリックス・杉本選手の愛称 14 ◯◯忍者、甲賀忍者 <ヨコのカギ> 1 余暇を利用した運動や娯楽 5 雄しべから出る粉状の細胞 15 猿 16 車 17 都市、都会 18 銅鑼 19 煙の中に含まれる黒い粉末 20 明るさの単位 21 絹の生産のために家畜化した昆虫 22 入り乱れて争うこと 23 刀剣の手で握る部分 24 牛 25 ◯◯は小を兼ねる 26 〇◯◯◯←→敵対 27 ムービー *■AからIまでの文字をならべかえると… *■答えは「フライトレコーダー」 情報 竹中大工道具館 企画展「建具解体新書」  竹中大工道具館では、開館40周年記念企画展として「建具解体新書 ほどく・くむ」を5月11日まで開いている。  建物の空間を仕切る扉や戸を「建具」という。これらは頻繁に開け閉めをする建築装置で、神社仏閣などの文化財建造物の建具は数百年の間、機能し続けてきた。  この企画展は、解体することで見えてくる建具の内部構造と、損傷した材を補修して機能を再生させる建具師の技に着目して構成。江戸時代の建具の内部構造を国宝や重要文化財建造物に用いられていた建具の原寸模型から見たり、あえて修理部分がはっきりわかる修理模型を展示し、1厘(0・3_)を揺るがせにしない修理の技を見たりする。  見えないところにこそ仕事を凝らす建具師の真髄を実感する企画展だ。▼会期/5月11日(日)まで▼会場/竹中大工道具館(神戸市営地下鉄「新神戸」駅北出口2より徒歩3分)▼開館時間/9時半〜16時半(入場は16時まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌平日▼入館料/一般700円、高・大学生・65歳以上500円、中学生以下無料▼TEL078(242)0216 (11字×43行) #16 情報 シネマはやっぱりおもしろい −5月公開の映画− サブスタンス  美と若さに執着することの滑稽さは誰もが認識している。だが、それが仕事を得るための基準となっていたらどうだろう。これは美と若さを求め暴走し、やがて狂気に陥る女優の話だ。  かつてはオスカーも手にした元人気女優のエリザベス。容姿が衰え仕事が減っていた。そして50歳の誕生日、プロデューサーのハーヴェイからレギュラー番組の降板を告げられる。  さらに車を運転中、自身がモデルになった広告が外されるところを見て気が動転、事故を起こす。幸いケガもなく病院を出るが、コートのポケットに見知らぬUSBが入れられていた。  USBにあったのは「若く完璧なもう一人のあなたを作り出す」という再生医療WサブスタンスWの広告映像。躊躇(ちゅうちょ)したものの意を決してその連絡先に電話したエリザベス。そしてWサブスタンスWのキットを手に入れた。さっそく説明書通りに治療薬を注射をすると、瞬く間にDNAが分裂し、背を破って上位互換体のスーが現れた。  エリザベスの経験を持ち若さと美貌を備えたスーは新番組の出演を手に入れ、あっという間にスターへと駆け上がった。仕事も恋も思うがままとなったスーは、やがて唯一のルール「一週間ごとに母体のエリザベスと入れ替わらなければならない」を破るようになり…。  背筋がぞっとするような狂気が展開する。主役のデミ・ムーアの怪演に注目したい。 ▼2024年/イギリス・フランス合作/R15+/2時間2分/監督・脚本:コラリー・ファルジャ▼出演:デミ・ムーア(エリザベス)、マーガレット・クアリー(スー)、デニス・クエイド(ハーヴェイ)/配給:ギャガ▼公開日/5月16日(金)全国ロードショー▼上映館/<大阪>TOHOシネマズ梅田TEL050(6868)5022、他、<京都>TOHOシネマズ二条TEL050(6868)5035、他、<兵庫>OSシネマズミント神戸TEL078(291)5330、他 (11字×73行) *(C)The Match Factory #17 情報(シネマ) か「」く「」し「」ご「」と「  少しだけ相手の気持ちが見えたりしたら、そのために素直に自分の気持ちが打ち明けられないかもしれない。そんな互いの気持ちがすれ違うピュアな青春ラブストーリーだ。  引っ込み思案で自分に自信が持てない高校生の大塚京。彼が憧れているのはWヒロインじゃなくてヒーローになりたいWといつも言っているクラスの人気者、三木直子、通称ミッキーだ。そのミッキーの幼なじみは、京の親友の高崎博文、通称ヅカ。京はヅカを通してW友達の友達Wをいうポジションでミッキーを見つめていた。  そんなある日、内気で繊細なエルの不登校を巡り、ミッキーとその親友のパラが動き出す。エルの不登校の原因は何、それを解消すればエルは再び学校に来るのではと。それに京とヅカも加わることになって、彼らの距離が近くなった。  そんななか京は複雑な思いを抱えていた。実は彼にはみんなに秘密にしている力があった。それは、少しだけ人の気持ちが見えるというもの。しかし、他の4人もそれぞれ秘密にしていることがあって…  ナイーブな心を抱えた5人の若者たち。友情、恋、自尊心。それぞれの思いが交錯する切ない物語だ。 ▼2025年/日本/1時間55分/原作:住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』(新潮文庫刊)/監督・脚本:中川駿/出演:奥平大兼(京)、出口夏希(ミッキー)、佐野晶哉(Aぇ! group)(ヅカ)/配給:松竹▼公開日/5月30日(金)全国ロードショー▼上映館/<大阪>大阪ステーションシティシネマTEL050(6861)8100、他、<京都>T・ジョイ京都TEL075(692)2260、他、<兵庫>OSシネマズ神戸ハーバーランドTEL078(360)3788、他 (11字×67行) *(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 *(C)2017住野よる/新潮社 情報 みんぱくの特別展 民具のミカタ  国立民族学博物館では、みんぱく創設50周年記念特別展として「民具のミカタ博覧会―見つけて、みつめて、知恵の素」を開いている。  日常生活のためにつくられ、使われてきた民具。これは暮らしの造形であり、知識や技、人々の自然観や世界観にふれることができるものだ。また民具は、研究者の手によってさまざまな地域や生活文化の中から収集され、博物館のコレクションになった。  特別展では1970年の大阪万博のために世界各国から収集された民具と、同時代、日本文化の多様性に着目し全国から収集された武蔵野大学所蔵の民具の中から選りすぐられた物を展示、紹介する。  さまざまな切り口から世界と日本の民具の魅力に迫ることとなる。 ▼会期/6月3日(火)まで▼会場/国立民族学博物館特別展示館(大阪モノレール「万博記念公園」駅・「公園東口」駅から徒歩約15分、自然文化園を通り抜ける)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/水曜日▼入館料/一般880円、大学生450円、高校生以下・障がい者手帳をお持ちの方(付添者1人含む)は無料(要証明書)▼問い合わせ/国立民族学博物館TEL06(6876)2151 (11字×47行) 情報 大丸神戸店で 世界ふしぎ発見!  大丸ミュージアム<神戸>にTBSテレビの人気番組が初めて展覧となってやってくる。5月1日から19日を会期とする展覧会「世界ふしぎ発見!展in神戸」がそれだ。  会場には番組のスタジオセットが再現され、1986年から1700回続いている番組の貴重映像や、出演者と制作者のインタビュー映像が流れる。また世界中から収集したふしぎなモノを興味深いエピソードやクイズとともに展示。ほかにも番組を体験できるコーナーがあり、世界探検旅行を楽しみながら知的好奇心を満たすことになる。 ▼会期/5月1日(木)〜19日(月)▼会場/大丸ミュージアム〈神戸〉(JR「元町」駅下車南へ徒歩3分、大丸神戸店9階)▼開場時間/10時〜18時、最終日は16時閉場(入場は閉場の1時間前まで)▼入場料/一般・大学生1400円、中・高校生900円、小学生700円▼TEL050(1781)5000 (11字×34行) #18 アートが好き 開催中とこれからの展覧会 細見コレクション「若冲と江戸絵画」 ▼会期/5月11日(日)まで▼会場/細見美術館(京都市バス「東山二条・岡崎公園口」下車、東へ徒歩約3分、地下鉄東西線「東山」駅2番出口より北へ徒歩約10分)▼開館時間/10時〜17時▼休館日/月曜日、ただし5月5日開館、7日休館▼入館料/一般1800円、学生(中学生〜大学生)1300円▼TEL075(752)5555 (11字×14行) *伊藤若冲 《群鶏図》 寛政8(1796)年頃 細見美術館蔵 コレクション展「新・古美術鑑賞 New Ways of Seeing Japanese Art ―いにしえを想いて愛せる未来かな」 ▼会期/5月18日(日)まで▼会場/奈良県立美術館(「近鉄奈良」駅1番出口から東へ徒歩約5分)▼開館時間/9時〜17時(入館は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日と5月7日、ただし5月5日は開館▼観覧料/一般400円、大学生250円、小・中・高校生・18歳未満・障がい者手帳などをお持ちの方(介助者1人を含む)は無料、65歳以上は平日無料▼TEL0742(23)3968 (11字×17行) *伝雪舟 《秋冬山水図屏風》 室町時代・15-16世紀 「パウル・クレー展――創造をめぐる星座」 ▼会期/5月25日(日)まで▼会場/兵庫県立美術館(阪神「岩屋(兵庫県立美術館前)」駅から南へ徒歩約8分)▼開館時間/10時〜18時(入場は閉館の30分前まで)▼休館日/月曜日、ただし5月5日は開館、7日休館▼観覧料/一般2000円、大学生1500円、高校生以下無料、70歳以上1000円、障害者手帳等をお持ちの方(一般)500円、障害者手帳等をお持ちの方(大学生)350円(要証明書)、障害者手帳等をお持ちの方一人につき介助の方1人は無料▼TEL078(262)1011 (11字×21行) *パウル・クレー 《熱帯の花》 1920年 パウル・クレー・センター 「生誕150年記念 上村松園」 ▼会期/6月1日(日)まで(前期:5月11日まで。後期:5月13日〜)▼会場/大阪中之島美術館 4階展示室(京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ徒歩約5分)▼開場時間/10時〜17時(入場は16時半まで)▼休館日/月曜日と5月7日、ただし4月28日、5月5日は開館▼観覧料/一般1800円、高・大学生1500円、小・中学生500円、障がい者手帳をお持ちの方(介助者1人含む)は当日料金の半額(要証明書)▼問い合わせ/大阪市総合コールセンターTEL06(4301)7285 (11字×21行) *上村松園 《母子》 (重要文化財) 1934年 東京国立近代美術館蔵 後期展示 「動物画譚展 おもしろくて不思議な動物たちの絵物語」 ▼会期/6月1日(日)まで▼会場/市立伊丹ミュージアム(阪急「伊丹」駅から北東へ徒歩約9分、JR「伊丹」駅から北西へ徒歩約6分)▼開館時間/10時〜18時(入館は17時半まで)▼休館日/月曜日、ただし5月5日開館、5月7日休館▼観覧料/一般1000円、高・大学生700円、小・中学生400円▼TEL072(772)5959 (11字×15行) *森二鳳 《稲荷狐図》 安政6(1859)年 関西大学図書館蔵 特別展「すべてを描く萬(よろず)絵師 暁斎(きょうさい)―河鍋暁斎記念美術館所蔵」 ▼会期/4月26日(土)〜6月1日(日)▼会場/中之島香雪美術館(京阪中之島線「渡辺橋」駅12番出口、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口直結、中之島フェスティバルタワー・ウエスト4F)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日(祝・休日の場合は開館)、5月7日▼入館料/一般1600円、高・大学生800円、小・中学生400円▼TEL06(6210)3766 (11字×17行) *河鍋暁斎 《鳥獣戯画 猫又と狸 下絵》 河鍋暁斎記念美術館蔵 #19 ミニニュース デジタル庁が 公金口座を誤停止  デジタル庁は4月17日までに、マイナンバーとひも付ける公金受取口座のうち、約2万口座を誤って利用停止にしたと発表した。金融機関側から伝えられた情報が間違っていたのが原因で、対象者に個別に連絡し、利用再開に向けた作業を進める。  年金や児童手当など公的な給付金を受け取る公金受取口座は、マイナカード保有者向けの「マイナポータル」などを通じて任意で登録する。デジタル庁は、口座が解約済みでないかどうかなどを金融機関側に照会し、利用できない場合は登録を無効としている。  11日、各地の信用金庫が加盟する「しんきん共同センター」(東京)からの情報に基づき約2万口座の利用を停止し、対象者に「口座の登録が無効になっています」と連絡した。しかし、その後センターの情報が誤っており、利用可能な口座が含まれていたことが判明した。 (11字×34行) 公正取引委員会 対「GAFA」で新部署  公正取引委員会は4月1日、「GAFA」などの巨大IT企業の取り締まりや調査を担う新部署を発足した。デジタル分野を担当する局長級幹部をトップに据え、担当職員と民間から採用するIT専門家を従来の3倍となる60人に増やす。デジタル分野の政策立案や調査能力を高め、巨大ITの問題行為に迅速に対応する体制を整える。  新部署は、12月に全面施行する巨大IT規制の新法「スマホソフトウェア競争促進法」の執行や、人工知能(AI)などデジタル分野の実態調査を担う。そしてITやクラウド、セキュリティーの民間専門家らを統率する「チーフテクノロジスト」も新たに採用し、巨大ITに技術面で対抗できるようにする。  巨大ITは豊富な資金力を生かし、強力な弁護士集団と「エコノミスト」と呼ばれる経済分析の専門家を擁することで知られる。中央省庁の官僚を採用し、政府渉外として政府や政治家との折衝にあたらせるなど、政策への影響力も強めている。 (11字×37行) 京都大、iPSで 糖尿病の治験実施  京都大病院は4月14日、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病の患者1人に対し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した「膵島(すいとう)細胞」というインスリンを出す細胞を移植する臨床試験(治験)を実施したと発表した。患者は経過良好で既に退院しており、最大5年間にわたり経過観察する。  今回の治験は、治療の安全性を確かめることが目的で、今後、2例目に向け準備を進める。  手術は今年2月に実施し、作製した膵島細胞を薄いシート状にし、腹部の皮下に移植した。  1型糖尿病は、膵臓の細胞が自己免疫などによって壊れて発症する。血糖値を下げるため毎日インスリンを皮下に自己注射する必要があるほか、低血糖による失神が起こることもあり、実用化すれば患者の負担軽減につながる可能性がある。 (11字×32行) お知らせ ログインにはユーザー名とパスワードを  機関紙編集者クラブの公式ホームページ「機関紙@編集者クラブ」をご活用いただき、ありがとうございます。  毎月本紙「編集サービス」発行から2〜3日後に更新しているこのホームページですが、会員向けのメンバーページへアクセスするためには、ユーザー名とパスワードを入力するログインが必要となっています。またパスワードは毎月1日を基準として1カ月ごとに変更しています。なお、ユーザー名およびパスワードにつきましては別表をご確認下さい。  会員の皆様にはお手数をおかけすることになりますが、セキュリティーの強化のため、ご協力いただきますようにお願いします。  なお、記事や写真のダウンロードなどメンバーページの利用方法は従来通りですので、会員皆様の機関紙作成にご活用ください。 ホームページ URL http://www.club2010.sakura.ne.jp メンバーページ ログイン  <ユーザー名>  club  <パスワード>  993p698u(4月末日まで)  545dtw6p(5月1日より) #20 データウォッチング 学校の情報端末持ち帰りで ネット利用時間が増加傾向  小・中学校で1人に1台配布された情報端末。宿題で使うため持ち帰ることが多くなっている。 しかし、実際には宿題以外に動画サイトや勉強に関係のないページを見たりしているようだ。そのため私有端末なども含めて、子どもたちのインターネット利用時間が増加傾向にある。  保護者たちはこれにどう向き合えばいいのか。専門家は「子ども自身が納得し、守ることができるルールー作りを促して」とアドバイスしている。 (11字×18行) *2025年3月24日朝日新聞