あべのハルカス美術館「密やかな美 小村雪岱のすべて」
モダンで端麗な世界を
 

 大正から昭和初期にかけて活躍した美術家、小村雪岱の画業を「人」とのつながりから再考する展覧会が、あべのハルカス美術館で開かれている。それが「密やかな美 小村雪岱のすべて」だ。
 プロローグで観客をまず迎えるのは日本画の《青柳》。柳の枝越しに俯瞰(ふかん)で捉えた室内には三味線と鼓。柔らかな色彩と大きくとった余白で、静かで穏やかに流れる空気までも表現している。この懐かしくも新しい、洗練されたスタイルが小村雪岱の真骨頂だ。
 そんな彼の仕事は日本画だけでなく、書籍の装幀(そうてい)に挿絵、映画の美術考証に舞台装置と多岐にわたる。展覧会ではその画業を章をわけて紹介している。
 装丁家としてのデビューは泉鏡花の『日本橋』。苦労して制作した装幀は、日本橋の河岸蔵に蝶ちょうが舞うモダンな構図だ。装幀界に新風を吹き込んだこの作品をはじめ、鏡花本を中心に、美しい装丁本の数々が並ぶ。
 また生涯で6000を超えるという新聞や雑誌に描いた挿絵の原画と下絵、舞台装置の原画などの展示で多岐にわたる画業を紹介。同時に文学者や日本画家、出版人や舞台人たちとの交流と協働にも光をあてている。
 雪岱のモダンで美しい独自の世界を堪能する展覧会となった。

日時 3月1日(日)まで。※会期中展示替えあり
火〜金10時〜20時、月土日祝10時〜18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 あべのハルカス美術館(近鉄「大阪阿部野橋」駅、地下鉄・JR「天王寺」駅、あべのハルカス16階)
休館日 2月2日
観覧料 一般1800円、大高生1400円、中小生500円、障がい者手帳をお持ちの方は美術館チケットカウンター購入で当日料金の半額
問い合わせ TEL 06(4399)9050