京都市京セラ美術館「草間彌生 版画の世界」
小宇宙、草間の版画芸術
 

 リボンの付いた帽子に百合やチューリップなどの花々、そのカラフルな版画に目を奪われる。前衛芸術家として世界に名をはせる草間彌生の展覧会「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」だ。松本市美術館が所蔵する作品に作家蔵作品を加えた約330点が京都市京セラ美術館に集まった。
 種苗業を営む家で育った草間、動植物から話しかけられる幻覚の体験の中で描くことを決意した。1957年、28歳の時、単身渡米して網目や水玉といった独自のモチーフを確立したが、1973年、体調を崩して帰国。その頃から版画作品を手がけるようになった。
 展覧会は、華やかな色使いの初期の作品に始まり、ラメを使って光の揺らぎやきらめきを表現した作品、草間の代名詞ともなった水玉の南瓜(かぼちゃ)たち、空間全体を網目や水玉で埋め尽くす境界なきイメージへと続く。
 中でも圧巻なのが伝統木版と草間の前衛芸術が共創した七色の富士。草間が描いた巨大な富士山の原画をベテランの彫り師たちが版木に写し取り、刷り上げた木版画だ。原画のパネル(原寸大)とともに展示された作品たちに誰もが引き込まれる。
 壮大な草間の創作活動の一つ版画芸術。ほとばしる生命力に魅了される。

日時 9月7日(日)まで(前期・後期で作品を全点入れ替え)
10時〜18時(入場は閉館の30分前まで)
会場 京都市京セラ美術館(京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ)
休館日 月曜日、ただし7月21日、8月11日は開館
観覧料 一般2200円、高・大学生1400円、小・中学生600円、ペアチケット4000円、障害者手帳などを提示の方(介護者1人含む)は無料(要証明書)
問い合わせ TEL 075(771)4334