会場入り口に設置された巨大なパネル。そこにあるのは拡大された《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》。その光あふれる華やかさに、観客は一気にカナレットの世界に引き込まれる。 都市の景観を精密に描く景観画「ヴェドゥータ」の巨匠・カナレットは、18世紀のイタリアで活躍し、ヴェネツィアのイメージを各国に広めた。その彼の日本初の展覧会「カナレットとヴェネツィアの輝き」が京都文化博物館で開かれている。 澄んだ青空に光輝く水面。何艘(なんそう)もの舟が浮かんだカナル・グランデ(大運河)の両岸には壮麗な建物群と人々。カナレットが描いた作品は、ほぼ現在のヴェネツィアのイメージと重なる。だが彼は目に見える景観をそのまま描いたわけではない。描く視点や高さを変え、建物の組み合わせを工夫し、人々が「見たいと思う風景」を描き出した。 当然、カナレットのヴェドゥータは人気を博し、グランド・ツアーでヴェネツィアを訪れた上流階級の旅行者たちが旅の思い出にとこぞって買い求めたという。 五つの章で構成された展覧会。カナレット以前に描かれたヴェネツィアに始まり、彼が描いたヴェドゥータ、影響を受けた画家、そして、モネやホイッスラーなど近代の作品までも紹介されている。まさに景観画をめぐる表現の変化をたどる展覧会となった。
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