中之島香雪美術館・特別展「珠玉の西洋絵画」
作品に見る確かな審美眼
 

 中之島香雪美術館で開かれている特別展「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ」では、和泉市久保惣記念美術館の収蔵品を紹介している。
 重文の伊勢物語絵巻をはじめ古い時代の日本と中国美術の宝庫として知られる和泉市久保惣美術館。地元の大手紡績会社だった久保惣が、紡績不況などにより百年に及ぶ業務を廃業、業務転換した際(1977年)、代々の経営者が収集した美術品を市に寄贈。それを基に市施設として開館したのが同館だ。広々とした敷地には茶室や庭園、後年建てられた新館や音楽小ホールもあり、地域の文化拠点となっている。
 今回展示されているモネの睡蓮(すいれん)やルノワール、ピカソといった西洋絵画は、その久保惣記念美術館が美術館としていっそうの充実をはかるため、収集・追加寄贈されたもの。その作品たちの初の館外展覧会が、企業家個人の古美術コレクションミュージアムという、似た性格を持つ中之島香雪美術館で実現した。
 ロダンのブロンズ像2点を含む25点を展示。いずれも小ぶりな作だがゴッホの1880年代はじめの3点が印象深い。30歳前後のこの時期、ゴッホは生地であるオランダ各地を転々としていて、油彩画も描き始めたばかり。労働する人物を落ち着いた彩色で描く初期の作品に、コレクターの確かな「目」が窺(うかが)える。

日時 9月8日(日)まで
会場 中之島香雪美術館(京阪中之島線「渡辺橋」駅12番出口、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口直結、中之島フェスティバルタワー・ウエスト4F)
開館時間 10時〜17時(入館は16時半まで)
休館日 月曜日(祝・休日の場合は翌日)
入館料 一般1500円、高・大学生900円、小・中学生500円
問い合わせ TEL 06(6210)3766