大阪中之島美術館「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」
山岳寺院の歴史実感
 

 これまで主として近現代の美術作品を扱ってきた大阪中之島美術館だが、今回の特別展は「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」だ。写真やパネルを積極的に活用し、展示解説も初心の観覧者でもわかりやすくするなど、さまざまな「工夫」が施されている。
 最終章にあるコーナー展示「醍醐寺の近代・現代美術」なども美術館での開催を意識したものだろう。だが、スペシャルコラボとして初音ミクのAR展示まであるあたりは評価が分かれそうだ。
 とはいえ、大阪市立美術館館長を監修に据えるなど、点数こそ多くはないが、全体として納得できる展示展開となっている。
 入口の開祖「理源大師坐像 吉野右京種久作」を眺めて、右手に進むと正面に像高が2bに近い、水牛に乗った大威徳明王像が現れる。彩色や細部補修がなされているものの、これは醍醐寺創建後まもない10世紀に笠取山上に建てられた五大堂に安置されていた五大明王像のうちの一体だ。しかも、幾多の火災を乗り越え、唯一今日まで奇跡的に伝存した像である。それが近年明らかになった。
 その偉容に圧倒されながら、厳しい山岳寺院としての醍醐寺の歴史を実感、第一章「山の寺 醍醐寺」、第二章「密教修法のセンター」展示へとスムーズに導かれる。

日時 8月25日(日)まで
会場 大阪中之島美術館 4階展示室(京阪中之島線「渡辺橋」駅2番出口から南西へ約5分。大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅4番出口から西へ約10分)
開館時間 10時〜17時(入場は16時半まで)
休館日 月曜日、ただし8月12日は開館
観覧料 一般1800円、高・大学生1100円、小・中学生500円
問い合わせ 大阪市総合コールセンター
TEL 06(4301)7285