古くは《鳥獣人物戯画》にあるように、動物を擬人化した絵は昔から数多くあった。そして江戸時代に入ると猫を擬人化したものが目立って多くなったように思われる。江戸の人々はそれほど猫好きが多かったということなのかもしれない。 京都文化博物館で開かれている「もしも猫展」京都展では、猫好きで有名な浮世絵師、歌川国芳の作品を中心に江戸時代から明治にかけて描かれたさまざまな擬人化作品を集めている。猫はもちろん、犬やスズメ、馬などさまざまな動物の擬人化表現があり、その発想力に驚かされる。 序章でまず国芳が紹介される。展覧会のタイトルにあるように、もし猫が人であったらという夢想を突き詰め表現した人物だ。そして第1章から終章まで、ユーモアあふれる擬人化作品が怒濤(どとう)のように並ぶ。鞠(まり)を操る10匹の着物を着た猫に、顔は猫で体は人間のお相撲さんたち。猫のおこまの一代記や実在する役者を猫に見立てて描いたもの、そして猫の着せ替え人形まで。そのアイデアに思わず脱帽だ。 見れば見るほど引き込まれる擬人化の世界。同時に浮世絵がいかに庶民に愛されていたのか、その魅力にも気づかされる。愛猫家にお勧めしたい展覧会だ。 *一部の作品を除いて写真撮影OK(ただしフラッシュ・動画は禁止)。
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