東洋の美を称揚し、明治から戦前期にかけ代表的日本画家として活躍した橋本関雪の生誕140年を記念する特別展「橋本関雪生誕140周年 KANSETSU―入神の技・非凡の画」が、ゆかりの地、京都にある3美術館を会場に同時並行で開かれている。 関雪が自ら建物や庭園を設計し、その地に住んだ白沙村荘・橋本関雪記念館には9年前に敷地内に新築された美術館があり、そこで《玄猿》(東京芸術大学大学美術館蔵・後期)など代表作を前後期とも約20点展示。新緑のこの時期、庭園風景とともに楽しめそうだ。 福田美術館では、第1室で関雪貧困期の文展褒状受賞作である《失意》(京都国立近代美術館蔵・前期)と《琵琶行》(橋本関雪記念館蔵・前期)のほか、中国に関連する作品を中心に展示。第2・3室では、その優秀さが喧伝(けんでん)される動物画がずらりと並ぶ。《香妃戎装》(衆議院蔵・前期)や《防空壕》(東京国立近代美術館蔵・後期)などの戦争画も興味深い。この2点は前後期入れ替えで東山会場でも展示される。 嵯峨嵐山文華館は関雪記念館所蔵のものが圧倒的だが、少し趣が違う模写などの作品も並び、関雪の「日常」が垣間見られるような展示となっている。 京都東西の美術館。散策も兼ねて出かけたい。
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