あべのハルカス美術館「幕末土佐の天才絵師 絵金」
個性際立つ鮮烈な絵
 

 目に飛び込んでくるのは極彩色の絵。中でも赤が強烈な印象を残す。芝居の一場面を切り取った屏風(びょうぶ)絵には、血しぶきに染まる人や苦悩の表情を浮かべた人たちが描かれ、そこから叫び声が今にも聞こえてきそうだ。この緊迫感あふれる絵を描いたのは、土佐の「絵金」こと絵師・金蔵。幕末から明治初期にかけて活躍し、独自の画風で描きだした屏風絵は、今も地元高知の夏祭りを彩り続けている。
 その絵金の作品を紹介する展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金」があべのハルカス美術館で開かれている。高知県外では半世紀ぶりという大規模展覧会だ。
 展示の中心は屏風絵だが、同様に芝居を描いた絵馬提灯や土佐の風俗を描いた絵巻、そして五月の節句の幟(のぼり)なども並び、天才と言われた絵金の画業が一望できる。会場の一部には夏祭り会場が再現されており、高知の人々が絵金の屏風絵に親しんでいる様子も疑似体験できる。
 夏祭りの夜、ろうそくの揺らめく灯りに浮かび上がる屏風絵は、キャッチフレーズ通り「恐ろしいほど美しい」。異彩を放つ絵金の作品群だ。その強烈な個性に出会える展覧会となっている。

会期 6月18日(日)まで
会場 あべのハルカス美術館(近鉄「大阪阿部野橋」駅、地下鉄・JR「天王寺」駅、阪堺上町線「天王寺駅前」駅下車すぐ、あべのハルカス16階)
開場時間 10時〜20時、月・土・日・祝日は18時閉館(入館は閉館の30分前まで)
休館日 5月22日
観覧料 一般1600円、高・大学生1200円、小・中学生500円、障がい者手帳をお持ちの方(付添者1人含む)は美術館チケットカウンター購入で当日料金の半額
問い合わせ TEL 06(4399)9050