展覧会の終盤に現れる8800冊もの書籍を詰め込んだ圧巻の本棚に息をのむ。まさに鈴木敏夫の頭の中がそこに表現されているからだ。京都文化博物館で開かれている「鈴木敏夫とジブリ展」は、スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫の歩んできた道、そして影響を受けたさまざまなものを公開する展覧会だ。 名古屋での子ども時代、マンガや雑誌を読みふけり想像力を育んだ「四畳半」の再現にはじまり、東京での大学時代に出会った本や人、映画などを紹介。1960年代から70年代という時代を背景に独自の思考術を形成していった過程を見る。 そして社会人。徳間書店・アニメージュの編集長時代や高畑勲、宮崎駿両監督との出会い、スタジオジブリの立ち上げから現在まで、編集者の視点を持ったプロデューサーとして、手腕を発揮した仕事のすべてが公開される。そのキーポイントは言葉だ。ジブリ作品のタイトルや広告コピーなど、彼が生み出した数々の言葉が直筆の書や手書きのラフスケッチ、メモなどにあふれる。 ジブリ作品の名場面を背景に鈴木直筆の書をつり文字にしたコーナーや湯婆婆(ゆばーば)・銭婆(ぜにーば)のおみくじ、トトロのフォトスポットもある。旺盛な好奇心で活動を続ける鈴木敏夫の原点を探る展覧会に出かけたい。
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