大阪歴史博物館で開いている特別企画展「大阪の近代化と町―水帳から公文書へ―」。これは江戸時代の町人身分の共同体であった町が、明治以降の近代化によってどのように変化したのかを、残された資料をひもときながら明らかにするものだ。 三つの章に分かれた企画展。第1章は、町が形成される初期段階だ。豊臣秀吉による城下町建設から道頓堀開発までの時代状況を背景に、町を形成する困難性、つまり町人が都市に定着することの難しさを見る。第2章では、構成員である町人の財産や生業(なりわい)を守るため、家屋敷の譲渡や売買を町が規制し、その所有者を把握するため、水帳(みずちょう)と呼ばれる土地台帳が町ごとに作成していたこと、また捨て子の養育を斡旋(あっせん)する相互扶助機能を紹介し、成熟した町の様子を明らかにする。 第3章は明治に入り、水帳が区役所に移管され公文書となり、町が持っていた家屋敷の取得規制という機能が失われたことや、町に新たな町会という議会が導入され、これまでの身分共同体として存在していた町が解体されていく様子を紹介している。 企画展では、町という身分共同体の形成から成熟、解体までを追い、そして身分社会制度の解体へとつながる近代化の意味を考えることとなる。
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