「書聖」と仰がれた王羲之(おうぎし)筆(搨本(とうほん))の《喪乱帖(そうらんちょう)》や元寇(げんこう)の有様を描いた絵巻物の《蒙古襲来絵詞(えことば)》、近世絵画では狩野永徳や円山応挙、伊藤若冲といった人気が高い絵師の作品など、宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵品を中心に100件が展示される特別展が始まった。それが京都国立博物館で開かれている御即位記念特別展「皇室の名宝」だ。 三の丸尚蔵館は、1989年に、皇室に受け継がれてきた絵画や書、工芸品など約6000点が国に寄贈されたことを機に開館した美術館だ。日常は収蔵品の調査研究を中心に活動を進め、作品の一部を一般公開している。だが、今回のような大型の展覧会を東京以外では開くのは初めて。これまでなかなか見ることがかなわなかった作品に出会えることとなった。 また皇室ゆかりの地、京都での開催ということもあり、100年以上前の京都御所・飛香舎(ひぎょうしゃ)のしつらいを再現、優雅な装束なども展示される。 中国など漢の文物に学びながら、固有の美意識を加えて和の文化を創造してきた日本。その中核を担ってきた宮廷の雅な文化を体感する展覧会となった。
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