あべのハルカス美術館「奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―」
斬新表現の江戸絵画を
 

 江戸時代に活躍した絵師たち。その主流は狩野派や円山派といった各流派の絵師だ。だがそんな流派の様式にとらわれず、新しい表現を試みた絵師たちも数多くいた。彼らは「異端」とされ、永く正当な評価を受けていなかったが、そこに光を当てたのが日本美術史学者の辻惟雄さん。著書「奇想の系譜」で6人の絵師を紹介した。
 あべのハルカス美術館で開かれている「奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―」展。そのタイトルにある「奇才」とは、優れた、たぐいまれな才能という意味で、有名、無名問わず新しい表現を求めた人たちのことを指す。
 葛飾北斎80歳半ばの作品、《上町祭屋台天井絵 男波》と《東町祭屋台天井絵 龍図》が来場者を迎える会場。京都、大坂、江戸、諸国と地域ごとに章立てされた展示は、「奇想の系譜」にあった伊藤若冲などの絵師だけでなく、地方の一地域だけで活躍した絵師や、主流と言われた円山応挙などが取り組んだ新しい表現まで、全国津々浦々の奇才35人の作品が並ぶ。
 原色の衣をまとう奇っ怪な姿の仙人を描いた蕭白(しょうはく)。ユーモアや温かみがある年中行事絵は耳鳥斎(にちょうさい)。大胆な筆致と構図で巨大なとんぼを描く林十江(じゅうこう)などなど。江戸期、斬新な表現に挑んだ絵師たちの作品に酔いしれたい。

 
会期 11月8日(日)まで(展示替えあり)
会場 あべのハルカス美術館(近鉄「大阪阿部野橋」駅、地下鉄・JR「天王寺」駅下車、あべのハルカス16階)
開館時間 10時〜20時、月土日祝は18時閉館(入館は閉館の30分前まで)
休館日 9月28日、10月12日、26日
観覧料 一般1400円、高大学生1000円、小中学生500円、障がい者手帳をお持ちの方(付添者1人含む)は当日料金の半額
問い合わせ TEL06(4399)9050