「日本の美」と言ったとき、満開の桜や流れ落ちる滝の水しぶき、紅に染まる夕焼けといった四季折々の自然の風景と、それらを織りなす繊細な色彩を思い浮かべる。そんな美しい色彩を見事に組み合わせて作り上げた平安時代の服飾が、束帯や五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも=十二単)といった公家装束だ。 その公家装束を展示し、日本の歴史と美意識を紹介するのが、奈良県立美術館で開かれる特別展、「みやびの色と意匠―公家服飾から見る日本美」だ。奈良県立美術館が所蔵する吉川観方コレクションを中心に近隣の博物館などが所蔵する作品を加えて展示。約1300年という時間の中で発展し、継承されてきた装束の歩みと、そこに展開された「みやび」の世界を見る。 展覧会では公家服飾の華である五衣唐衣裳の展示はもちろん、公家装束の源流である奈良時代の復元衣装も展示。唐風だった装いが「みやび」な装いへと変貌していく道筋をもたどる。 千年を超える歴史が織りなす装束の世界。日本の美を体感する展覧会となる。
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