ワンピースにコート、スカートとブラウスなどなど、室内の壁全面を埋め尽くすように展示された洋服に圧倒される。「森」と名付けられたこの部屋には、デザイナーの皆川明さんがブランドを立ち上げ、今日まで作りつづけてきた服、約390体が年代をミックスして展示されており、その流行に左右されない普遍的なデザインが一覧できる。 この特別展「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」は、生地の段階から関わり洋服へと仕立てていく服飾デザイン、そして人の暮らしに寄り添うものづくりと、独自の活動を展開してきたミナ ペルホネンの集大成であるとともに、未来へとつづく継続性を表現した展覧会だ。 八つに分けられた展示室にはミナ ペルホネンのものづくりの営みを自然界に例えた名称がつけられている。「実」の部屋では、ミナ ペルホネンを代表する刺繍(ししゅう)柄タンバリンの誕生とそれを洋服やインテリアに展開していく様を、「芽」の部屋では、生地のためのデザイン画とそこから生まれた生地を展示、といったように。 普遍的な価値を持ち「特別な日常服」を生み出したミナ ペルホネンと皆川明、そのものづくりの哲学を体感できる展覧会となった。
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