朝日新聞社の創業者、村山龍平氏(1850ー1933年)が収集した美術品を中心に構成されているのが香雪美術館だ。そのコレクションは、仏教美術から浮世絵・水墨画などの中近世絵画、そして茶道具までと実に幅広い。 香雪美術館の分館である中之島香雪美術館で開かれているこの「茶の湯の器と書画」展では、茶の湯に傾倒していた村山氏が茶事の際、実際に使っていた茶道具や、茶席を飾っていた書画などを紹介するものだ。 展示は「茶入・茶碗(ちゃわん)・茶杓(ちゃしゃく)」「花入・水差」「絵画・書跡」といったように六つのジャンルに分けられており、野々村仁清の「色絵忍草文茶碗」や重要文化財に指定されている美濃「志野松籬図水差」、千利休の孫、千宗旦が樂家三代道入のために作った「二重切花入」などの逸品が並ぶ。 また書画では戦前に美術専門誌に掲載されて以降、100年以上表に出ることがなかった勝川春章の「三都美人図」を展示(前期)。他にも尾形乾山の鉢や津田宗及の茶杓といった興味深い名品が目白押しだ。 これほどの美術品を収集した村山氏。そのコレクターとしての高い審美眼がうかがえる展覧会となった。
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