1300年の歴史を持つ奈良・薬師寺は幾度となく火災に遭い、ほとんどの伽藍(からん)を焼失。創建当時の姿を伝えているのは唯一、東塔だけだった。だが、1968年に始まった伽藍復興で金堂や大講堂、西塔など主要な建物が再建され、また2009年からは国宝である東塔の全面解体修理が行われてきた。 あべのハルカス美術館で開かれている「国宝東塔大修理落慶記念 薬師寺展」は、12年にも及んだ大修理の完了を記念する展覧会で、東塔の頂を飾っていた水煙や建築資料、創建以来伝えられてきた薬師寺の寺宝などを紹介するものだ。 展示は「第1章・聖観音菩薩立像(しょうかんのんぼさつりゅうぞう)」「第2章・玄奘三蔵―慈恩大師―行基菩薩 法相教学と舎利の伝来」「第3章・東塔・西塔」「第4章・吉祥天女」に分かれ、薬師寺の魅力を余すことなく伝えている。 最初に観客を出迎えるのは国宝・聖観音菩薩立像だ。その凛とした美しい姿に見る者は引き込まれ、続く寺宝や資料の展示で薬師寺の由緒や教えを知ることになる。そしてなんといっても国宝・吉祥天女像。そのふくよかな姿に誰もが目を奪われるだろう。 ここでしか出会えない薬師寺の寺宝の数々。ぜひ足を運びたい。
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