会場でひときわ目を引くのが17bもの長さの年表。竹中工務店の祖は竹中藤兵衛正高。織田信長の普請奉行を転じて名古屋で工匠となり、400年もの間、脈々とその技術が受け継がれてきた。その膨大な足跡が年表に描かれているのだ。 神戸市立博物館で開かれている特別展「建築と社会の年代記―竹中工務店の400年の歩み―」は、神戸の地で創立し昨年120周年を迎えた竹中工務店に着目した展覧会だ。長年にわたり造られてきたさまざまな建築物がどのように人と関わり、また地域社会に受け入れられてきたかを、神戸との関わりも交えて八つのカテゴリーで紹介している。 「はじまりのかたち」では竹中工務店の原点である工匠時代を探り、「出会いのかたち」では劇場やホテルなど非日常を演出する商業施設を。また「はたらくかたち」ではオフィスビルや研究所といったように展開される展示。そして最新の技術と災害が相次ぐ時代における建築の未来を考える。 建物の模型や図面、写真はもとより、建物完成時のパンフレットや当時の風景を描いた絵画など約1千点の資料を展示。あべのハルカスや東京タワーなど誰でも知っている建物も数多い。時代に沿って、そして街とともに歩んできた建物の魅力に迫る展覧会だ。
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