丸や線、抽象的な形が続く絵、ただ汚れているだけのように見えるキャンバス…。一見、よくわからない落書きか、と思ってしまう作品たち。しかし実際には、世界に認められる作家たちの立派なアート。 そんな日本の前衛美術を山村徳太郎(1926〜1986)が生涯をかけコレクションした作品展「集めた!日本の前衛ー山村徳太郎の眼 山村コレクション展」が、8月3日より兵庫県立美術館で開かれている。 山村は兵庫県西宮市出身の実業家。戦後まもなく経営の傍ら母とともに美術作品を買い集めた。当初は西洋絵画やモダンアートを主に集めていたが、母の死を機に関西で活動している前衛美術作家の作品を集め始めた。 山村が収集の方針にしているのは、作家本人と会うこと、そして将来公共の財産になりうる作品を収集することだった。山村の言葉によれば?アブストラクト(=抽象)と人間くさい前衛の間?。集めたコレクションは前衛美術といっても尖った作品だけではなく、どこか温かみのある人間臭さを感じる作品が多い。 本展は山村が自身の眼で見て感じ、集めた作品を?山村ならこうだったんじゃないか?と想像し構成されている。規模の大きい作品も多く見ごたえもある。前衛美術が分からなくても楽しい気持ちにさせてくれるそんな展覧会だ。
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