明治３９年（１９０６）にアメリカから日本にやってきたメアリー・エインズワースは浮世絵に魅せられ収集を始めます。帰国後も引き続き集められた浮世絵は１５００点以上に及びました。このコレクションはエインズワースの母校オーバリン大学（米・オハイオ州）に寄贈され、同校のアレン・メモリアル美術館が所蔵・管理しています。
　そんなコレクションの展覧会「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション―初期浮世絵から北斎・広重まで」が大阪市立美術館で開かれています。
　コレクションには浮世絵の初期から幕末までの作品がそろっているため、所蔵の作品で浮世絵の歴史をたどることができます。特に初期の浮世絵は世界でも数少なく大変希少です。また、六大浮世絵師―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重―が集められているのも特徴。中でも歌川広重の作品はコレクションの半分以上を占めており、エインズワースの広重への思い入れが感じられます。
　本コレクションはアメリカでもこれまで大規模な展覧会は行われていません。今回の展覧会は初の里帰り展というだけでなく、世界で１点しか確認されていない稀少な作品を含んだ質の高い作品が集まった、よりすぐりの２００点を鑑賞できる貴重な機会となります。