京都国立博物館「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」
絵巻に見る中世の日本
 

 鎌倉時代を代表する宗派で踊り念仏で知られる時宗。一遍上人(1239〜89)によって開かれ、その弟子である真教上人(1237〜1319)が教団として整備、発展させた宗派だ。そして今年は二祖である真教上人の700年遠忌。それを記念して、特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」が京都国立博物館で開かれている。
 展覧会の中心はなんといっても、関西で17年ぶりに全巻展示となる国宝「一遍聖絵」(全12巻)だ。絵と文章からなるこの絵巻は、一遍の生涯の記録であり、念仏の教えを説き全国を遊行した足跡だ。
 高い岩山に掛けたはしごを修業のために上る僧がいる。鎌倉入りを武士に拒まれた場面では、毅然と立ち向かう一遍の姿が。そして京・市屋道場での踊り念仏を取り囲む大勢の見物人の様子など、その具体性と細やかな描写に見入ってしまう。この第一級の絵巻を描いたのは円伊という絵師だが、出自も経歴も謎に包まれているというから興味深い。
 他にも時宗特有の法衣「阿弥衣(あみえ)」や真教の功績を紹介する「遊行上人縁起絵」、そして時宗寺院の名宝の数々が一挙公開されている。はるか昔、中世日本の空気を感じられる特別展だ。

 
会期 6月9日(日)まで
会場 京都国立博物館・平成知新館(京都市バス「博物館・三十三間堂前」下車すぐ、京阪「七条」駅から東へ徒歩約7分)
開館時間 9時半〜18時、金・土曜日は20時閉館(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日、ただし4月29日と5月6日開館、5月7日休館
観覧料 一般1500円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下・障害者手帳をお持ちの方(介護者1人を含む)無料
問い合わせ TEL075(525)2473