「ウィーン分離派」は19世紀末オーストリアで結成され、のちのグラフィックデザインへ多くの影響を与えた。今年はオーストリアと日本の国交150周年という節目であり、その「ウィーン分離派」の軌跡を見る展覧会が京都国立近代美術館で1月12日から始まっている。 ?分離派?とは過去の歴史様式からの自由を求めた運動で、芸術分野だけでなく、建築や工芸など市民生活にも影響を与えた運動だ。中でも「ウィーン分離派」は「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」を掲げ、グスタフ・クリムトが中心となり芸術を市民生活に根付かせるために始まったものだ。 本展では、クリムトやエゴン・シーレなど、約300点を展示している。なかには日本画や浮世絵から影響を受けたもの、版画技術を見直し、手作業の良さをデザインに生かすなどの意欲的な作品もあり、そのデザインは現在でも通じる革新的なものだ。また写真、印刷技術の向上などにより盛んに作られた雑誌やポスターから当時の風俗文化などが見てとれるなど、知識がなくても楽しめる。 優れたグラフィックデザインは大衆に向けられた芸術。時代が変われど、色あせることはない、ぜひご観賞を!
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