不思議な空間を描く「だまし絵」で有名なマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898―1972)。彼の生誕120年を記念する「ミラクル エッシャー展」があべのハルカス美術館で開かれている。展示されるすべての作品は世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館の所蔵品だ。初期の作品から代表作の「だまし絵」まで、約150点が会場に並んでいる。 コンピューターのない時代に版画という手法を用い、緻密かつ独創的な作品を生み出してきたエッシャー。その唯一無二でミラクルな作品は、クリエーターだけでなく数学者や建築家など幅広い専門家たちにまで影響を与えた。 展覧会では「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」をキーワードとし、エッシャーがどのようにして?奇想の版画家?と呼ばれるようになったのか、制作過程をひもときながらその謎に迫る。そして一番の見どころはエッシャー自身の手による初版プリント、超大作の〈メタモルフォーゼU〉だ。エッシャーの代表的な構図の原点ともいえるこの作品は必見だ。 エッシャーの世界をまるごと体感できる展覧会に足を運びたい。
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