首をかしげてつぶらな瞳でこちらをみつめる牛。乳房からでた牛乳はアイヴォリーの石鹸(せっけん)をかたちづくっている…。なんともユーモラスでかわいらしい牛乳石鹸のポスターを一度はどこかでごらんになったことがあると思います。フランスで活躍したポスター作家レイモン・サヴィニャックの作品です。 兵庫県立美術館で開かれている「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展。彼の作品は単純化された造形と鮮明な色彩に特徴があります。それは一瞬にして人の関心を引くという広告にとって一番重要な役割を果たすのに有効でした。また、そのポスターがアピールしているものがなにか―食品や文具、家電、自動車など―が一目で理解できる絵でもありました。展覧会ではパリの街中で掲示されていた原寸のポスターが展示されており、その存在感を実感することができます。 サヴィニャックの作品の多くはリトグラフで印刷されています。リトグラフによる柔和かつクリアな線、あざやかで温かみのある色が作品を一層引き立てていることは、並んで展示されている原画と比べると明白でしょう。 作品の中には東京の遊園地「としまえん」や森永チョコレートのポスターもあります。世界中の人々から愛されてきた陽気あふれる作品が一望できる展覧会です。
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