クロード・ロランの「エウロペの略奪」。花を摘む侍女たち、白い牡牛(おうし)の背に乗る王女エウロペ。牡牛は実は神々の父ゼウスが姿を変えたもので、エウロペはこのまま海の向こうのクレタ島に略奪されてしまいます。 しかし、この絵で力点が置かれているのは有名な神話の主題を表す人物たちではなく、晴れ渡る空、波打つ海、浮かぶ船、そびえる樹々、遠くの城塞(じょうさい)、背後に連なる山々…つまり「風景」なのです。 国際美術館で開催中の「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」では、フランス絵画コレクションで知られるモスクワのプーシキン美術館が所蔵する、17世紀から20世紀の風景画65点が展覧されています。 第1部「風景画の展開―クロード・ロランからバルビゾン派まで」では風景画が深まり広がっていく過程を時系列で追い、第2部「印象派以後の風景画」ではパリという空間を軸に風景画が洗練され、多様化していく様子を見ることになります。 会期中、毎週金曜・土曜の夜間開館中(午後5時〜9時)は、会場内での写真撮影が可能です。SNSにアップすることも推奨されていますので、ぜひ名画を写して共有してください。
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