浮世絵の祖といわれる菱川師宣から幕末に活躍した葛飾北斎、歌川広重まで、浮世絵の200年の歴史を網羅する約160点の作品が公開されている。それが「サンタフェ リー・ダークスコレクション 浮世絵最強列伝―江戸の名品勢ぞろい」展だ。会場は、江戸時代の絵師、伊藤若冲が「動植彩絵(どうしょくさいえ)」を寄進したことで有名な相国寺の承天閣美術館。まさに浮世絵をじっくり鑑賞するにふさわしい環境だ。 1958年から61年まで米空軍士官として来日したのをきっかけに、日本美術に関心を持ったリー・ダークスさん。その後、感銘を受けた浮世絵の名品を収集し始めたという。そのコレクションは、名だたる浮世絵師の作品はもちろん、私的なものとして精緻な彫や金銀摺を施し制作された摺物(すりもの)や世界に数点しかない貴重な作品まであり、また保存状態が極めて良く、美しい発色を誇る第一級の内容となっている。 展覧会では6章に分かれて展示。墨摺絵に始まった浮世絵が丹絵や漆絵を経て錦絵に発展していく過程を追いかけるほか、単独の章として北斎や幕末の歌川派作品が紹介されるなど、見応えたっぷりだ。またそれぞれの作品からは、当時の流行や世相、庶民の暮らしなどが垣間見え、美人画や役者絵だけでない浮世絵の別の面、魅力を実感することとなる。 専門家から初心者まで楽しめる展覧会。夏の京都で楽しみたい。
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