スペイン王家のコレクションが土台となって1819年に誕生したプラド美術館。16〜17世紀を中心にヨーロッパの優れた絵画を多数所蔵していることでも有名だ。そのプラド美術館から、巨匠ディエゴ・ベラスケスの作品7点を含む約70点が来日した。 日本スペイン外交関係樹立150周年を記念して開かれた「プラド美術館展―ベラスケスの絵画と栄光―」。芸術や知識、神話、宮廷といったテーマごとに章立てされた展示が特徴的だ。そして芸術の章には国王の彫像を彫る彫刻家の姿を描いた《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》、知識の章には哲学者の立ち姿を描いた《メニッポス》といったように、各章にほぼ1点、ベラスケスの作品が展示されている。ルーベンスやティツィアーノといった画家たちも同じテーマで作品を描いており、その違い、そして共通点など見比べるのも楽しい。 また大型の作品が多く展示されており、想像以上に迫力ある表現を堪能できるのもこの展覧会の魅力だ。国王フェリペ4世の庇護を受け、宮廷画家として存分に活躍したベラスケス。その画力に触れるとともに、17世紀のスペイン、そしてヨーロッパ絵画のすばらしさを体感したい。
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