京都国立近代美術館で10年ぶりとなる横山大観の大回顧展が6月8日より開かれている。 今年で生誕150年、没後60年を記念した展覧会で、《紅葉(こうよう)》《夜桜》など代表作を含めた約100点を、前・後期に分けて展示。中には105年前、「大観画集」に掲載されて以来、行方がわからず、今日新たに発見されたという《白衣観音(びゃくえかんのん)》が初出展されるなど、見所が満載だ。 大観は明治から昭和を生き、その絵画スタイルは常に新たな技法を追求していた。伝統的な日本画技法を学んできた大観だが、独自の視点で作り上げる作品には伝統に変化を加えることを忘れず、「大観」という強い個性を表現していった。そのアイデアは、師である岡倉覚三(天心)をもって奇抜と言わしめたほどである。 展示では時代を追って変化する大観を見ることができ、さまざまな技法を用いているのがわかる。大観らしい鮮やかな色味の屏風(びょうぶ)絵や墨の濃淡を巧みに使い色彩を感じさせる水墨画、また油絵のような技法で描かれた日本画など、見る者を飽きさせない。中には実験的な作品もあり、日本一長い画巻(なんと約40b)なども展示されている。 日本画に造詣がなくとも楽しめる。ぜひこの機に日本画の妙技を体感(大観)してみては。
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