戯画で思い出すのは鳥羽僧正の「鳥獣人物戯画」。動物を擬人化し当時の文化や遊びを表現したもので、漫画の原点とも言われている。 大阪市立美術館で4月17日から始まった特別展「江戸の戯画―鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」では、「鳥獣人物戯画」に由来する鳥羽絵(とばえ)をはじめ、江戸時代に活躍した絵師たちの戯画、約280点を展示している。 江戸時代の庶民生活をユーモアたっぷりに描いた戯画は、大坂を中心に始まったもの。日常の出来事を面白おかしく描くところなど、やはり笑いの文化を培ってきた大坂ならではだ。展示は鳥羽絵を集めた第1章から始まり、大坂の絵師・耳鳥斎(にちょうさい)や天才絵師・北斎の「北斎漫画」、戯画の名手・歌川国芳の作品などが並ぶ。 世界初となった国芳の「金魚づくし」全9図の一挙公開。江戸・京都・大坂の名所を題材にした「滑稽名所」には、現存する場所が多数あり、ゆかりの地を巡りたくなる。そして河鍋暁斎(かわなべきょうさい)。師である国芳の影響を受けた戯画を国芳のそれと比較できるなど、見どころあふれる特別展だ。 戯画に描かれた江戸時代の人々の営みに思わず”クスッ”。浮世絵などの専門知識がなくても気軽に見られるユニークな美術展だ。
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