今年は明治元年から150年目にあたり、各地で記念イベントが開かれています。国立京都近代美術館では明治時代の優れた日本画、工芸にスポットを当てた「明治150年展 明治の日本画と工芸」が開催中です。 欧州で日本美術への関心が高まっていた明治初期、政府の主導のもと殖産興業や輸出振興政策を推し進めていた日本では、輸出品である各種の工芸品の向上に取り組んでいました。一方、政治の中心が東京に移り経済基盤を失った京都では、地場産業である工芸品の振興を目的として京都府画学校が設立されました。 今回の展覧会には、京都府画学校や工芸図案に関わった岸竹堂、今尾景年などの日本画家たちが当時描いていた作品が出品されています。また工芸品は「博覧会の時代」「ワグネルと旭焼」「明治の名工」の三つのテーマに分かれた展示となっています。 日本の美術品を紹介するのに絶好の機会であった万国博覧会、そこに出品された技術の粋を尽くした工芸品とその制作を導いた資料、有田焼などで近代的化学知識を指導したワグネルが開発した旭焼、近年超絶技巧として注目されている職人の高度な技術を受け継ぎ発展させた工芸品の数々。近代化を推し進めた明治時代、その空気に出会える展覧会です。
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