世界でも屈指の知名度と規模を誇るボストン美術館。「百科事典的」と言われるそのコレクションの中から選ばれた作品による巡回展「ボストン美術館の至宝展」が神戸市立博物館で開かれている。
市民たちの寄贈で建てられた美術館であるボストン美術館は、収集品もまた多くを寄贈によっている。今回の展覧会では、特に重要な収蔵品をもたらした寄贈者、収集家たちにも焦点があてられており、その中には私たちも知るモースやフェロノサも含まれている。
海外の美術館が所蔵する日本美術品の中でもボストン美術館の所蔵品は量・質ともに優れており、今回の展覧会にも曾我蕭白(そがしょうはく)、喜多川歌麿などの作品が里帰りした。中でも英一蝶(はなぶさいっちょう)の『涅槃図(ねはんず)』は、その大きさと経年による劣化のため、ボストン美術館でも長年にわたり展示が不可能であったものを、今回の展示のために修理・修復、1886年にアメリカにわたって以来の日本での展示となった。
他に、古代エジプト美術、中国美術、フランス絵画、アメリカ絵画・版画・写真、現代美術などのコーナーが設けられている。特にアメリカの19世紀の絵画は見る機会も少なく新鮮な印象を受けることだろう。
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