2005年の国勢調査で約97%の人が「しあわせ」と回答したブータン。そのニュースは世界を駆け巡り、日本でも大きな話題となった。2016年は、そのブータンと日本が外交関係を樹立して30年。周年を記念する事業、巡回展覧会「ブータン〜幸せに生きるためのヒント〜」が昨年から各地で行われている。そしてこの7月からは兵庫県立美術館で開かれることとなった。 ブータン最大の祭り、パロ・ツェチュ祭の映像と、壁一面に展示されたさまざまな仮面が人々をブータンへと誘う。ここから始まる展覧会は、第1章「ブータン的生活様式」、第2章「ブータン仏教と信仰」、際3章「愛されるブータン王室」へと続く。 地域ごとの織物文化を体現する美しい手織りの布たち。伝統的な生活を感じさせる装身具や日用品。繊細な仏教美術の数々はブータンの思想や精神文化を伝えてくれる。そして現国王と王妃の衣装や数々のロイヤルコレクションと、見る者の目を奪う展示となった。 ヒマラヤの東端に位置する小さな国、ブータン。物質的に豊かとは言えないかもしれないが、自然環境を大事にし、緩やかな近代化を進める国には笑顔があふれていた。「しあわせに生きる」。ブータン展でそのヒントを見つけたい。
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