兵庫県立美術館「ベルギー奇想の系譜展」奇想の表現の流れを追う
 

 巨大な人頭、頭上には横たわる裸の男とそれにまといつく蛇、猿、フクロウ、そしてなんだかわからぬ生き物。鼻から噴出した金貨が大樽でワインに浸かる男女に降り注ぎ…。この展覧会のポスターにも用いられているヒエロニムス・ボス工房《トゥヌグダルスの幻視》。見るからに奇妙な絵である。奇才ヒエロニムス・ボスはベルギー・フランドル地方で中世に活躍した画家。写実的な技法で創造力豊かな世界を描き出した。大変な人気を博したボスの作品は後世の作家にも大きな影響を与えていく。
 展覧会は、ベルギーに生まれた奇想の表現を、15、16世紀のフランドル絵画から現代のコンテンポラリー・アートに至るまで紹介する内容となっている。
 「第二のボス」と言われたブリューゲル(父)、巨匠ルーベンスなどの中世フランドル絵画の流れ、産業革命以後の象徴派の作家たち、ロップス、アンソールなどの死とエロスをモチーフとした退廃的な表現、20世紀のシュールレアリスムから現代までの絵画や版画のみならず、彫刻、音、インスタレーションなどさまざまな表現による作品にも奇想の系譜が見いだされている。

 
期間 7月9日(日)まで
会場 兵庫県立美術館(阪神「岩屋(兵庫県立美術館前)」駅から南へ徒歩約8分、JR「灘」駅南口から南へ徒歩約10分)
開館時間 午前10時〜午後6時、金・土曜日は午後8時閉館(入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日
参観料 一般1500円、大学生1100円、70歳以上750円、高校生以下無料、障がいのある方は各当日料金の半額(70歳以上除く・要証明)。その介護の方1人は無料
問い合わせ TEL078(262)0901