天正10(1582)年2月、長崎港から4人の少年がヨーロッパに向かって旅立った。天正遣欧少年使節団である。 この展覧会では、使節団のイタリアでの行程をたどり、少年たちが見聞した当時の文化が紹介される。フィレンツェのメディチ家の人々の肖像画、ローマの教皇グレゴリウス13世の肖像、ヴェネツィアのガラス工芸など、それぞれの都市の特色ある美術品が選ばれ、?日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術?が表現されている。ブロンズィーノが描いた《ビア・デ・メディチの肖像》は日本初公開。 文書や図版による関連資料とその解説によって、少年たちがイタリアでどのように受け止められ、また彼らが何を見聞したかが理解できる。 使節団が8年半後に帰国したとき、すでに秀吉による伴天連(ばてれん)追放令が出され、4人の後半生は過酷なものとなった。イタリア各地で歓待された10代の少年たちがどれほど驚きと喜びと希望を持って未知のヨーロッパの文化に触れたかを知れば知るほど、その運命に胸詰まる思いがする。 奇跡的に発見された伊東マンショの肖像画も展示されている。 |