今年で3周年を迎えるあべのハルカス美術館で「マティスとルオー―友情50年の物語―」が4月4日から開かれている。冷静と情熱=Aまるでタイプの違う二人の50年にも渡る友情の軌跡を、絵画と手紙を交えながらたどる。 1892年、パリの国立美術学校で出会い、同じ師のもとで絵画の研鑽(けんさん)に励んだ二人は、2度の大戦を乗り越えながら、それぞれの個性を表現し確固たる地位を築いていく。 フランス各地やイタリア、アフリカなどを旅して陽光に輝く自然の美しさを知り、計算された色彩を巧みに使って絵に命を吹き込むマティスに対し、娼婦やサーカスの芸人など社会の底辺で苦しみながらもたくましく生きる人々をモデルに、情熱的なタッチで内面を引き出すかのように描くルオー。 実に対照的な二人だが、手紙を見ると互いに家族のこと、健康のことを語るなど信頼と思いやりにあふれている。そして互いの芸術への理解や共感などもその文面から伝わってくる。 手紙のやり取りを軸に時代を追い作品を展示する本展、世界初となるルオーの版画集「気晴らし」の油彩原画全15点が一挙に展示されるなど見どころも多い。 絵画を楽しむのはもちろん、二人の芸術家の人間性にも注目したい。 |