大阪市立美術館で開かれている特別展「木×仏像―飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年」は、仏像の素材である木に焦点を当てた展覧会だ。宗派を超え一同に介した仏像たちが木彫仏の流れを物語っている。 時代ごとに七つのセクションに分かれた展示、まず観客を出迎えるのは飛鳥時代に彫られた菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)だ。大きな顔に細いウエスト、長いネックレスのような飾りがついた衣を付けているのだが、横幅がなく薄っぺらで背面は彫刻が何も施されていない。なんとも不思議な姿で印象に残る。 だが時代が進むにつれ次第に丸みを帯び、均整の取れた仏像が並ぶようになる。また一木造では大きさも限られていたが、寄木造が取り入れられた時代以降は巨大な仏像も登場する。材質も飛鳥時代のクスノキ、奈良時代のカヤ、そして平安になるとヒノキ、ケヤキ、センダン、サクラと、時代によって変遷していった様子も紹介されている。 デフォルメされた奈良時代の《試みの大仏》に目を見張り、平安時代の宝誌和尚立像(ほうしおしょうりゅうぞう)では、割れた顔面から十一面観音が現れる様に驚き、南北朝時代の普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつきぞうぞう)のきめ細やかな彫刻に感心する。 360度で鑑賞できる展示がうれしい。日本の木彫仏の歩みを実感できる特別展だ。 |