国立国際美術館「クラーナハ展」
クラーナハの全貌に迫る
 

 現在、大阪・中之島の国立国際美術館で開催中の「クラーナハ展―五〇〇年後の誘惑」。世界13カ国から貴重な作品が集められた日本で初めての大回顧展である。
 「五〇〇年後の誘惑」のサブタイトルのとおり、クラーナハの描く女性像が持つ奇妙なアンバランスさ、冷めた視線は、時を超えても見るものを落ち着かない心持ちにさせ、また引き付ける。
 クラーナハというと、このような魅惑的な女性画がすぐに思い起こされるが、実は彼の画業の一部でしかない。16世紀初頭のドイツで宮廷画家として活躍したクラーナハは多数の肖像画を制作しており、それらは厳格さと 端正さをもって描かれている。また、著名なマルティン・ルターの肖像画もクラーナハの手によるものである。
 工房での効率的な協同制作システムを確立していたクラーナハは、息子や多くの弟子たちとともに絵画を大量生産していた。多数制作された版画も今回見ることができる。また、ピカソやマルセル・デュシャンら近代美術の巨匠たちの クラーナハに触発された作品も併せて展示されている。
 剣と男の生首を持つ《ホロフェルネスの首を持つユディト》は3年の修復を経ての展示。よみがえったみずみずしい色合いを鑑賞したい。

 
期間 4月16日(日)まで
会場 国立国際美術館(京阪電車中之島線「渡辺橋」駅下車、2番出口より南西へ徒歩約5分)
開館時間 午前10時〜午後5時、金曜日は午後7時閉館(入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日、ただし祝日は開館、翌日休館
観覧料 一般1600円、大学生1200円、高校生600円、中学生以下・心身に障害のある方(付添者一人含む)無料(要証明)
問い合わせ TEL06(4862)5777(同展事務局)